Q どのような経過で緊急促進事業が実施されることになったのでしょうか?

 HPVワクチン(サーバリックス)が承認された後、厚労省は、予防接種制度について検討するための予防接種部会を設置し、予防接種部会では、いくつかの任意接種ワクチン(HPVワクチンも含む)について、定期接種化するかどうかの検討を開始しました。

 そのため、厚生労働大臣は、国会でも、HPVワクチンを含むワクチンの定期接種化については、予防接種部会の検討を待っていると答弁していました。

 2010年7月には、予防接種部会の中に、定期接種化を検討するワクチンごとの作業チームをつくって、これから各ワクチンの詳細な評価をしていくということが決まりました。HPVワクチンについても同様です。

 ところが、わずか1か月後の2010年8月、厚生労働大臣は、突如、HPVワクチンの公費助成について予算要求をすると表明しました。それまで予防接種部会の検討を待っているところだと答弁しており、その予防接種部会では、これから作業チームでの検討を開始するという段階だったにもかかわらずです。

 その後に開催された予防接種部会で、厚労大臣政務官は、HPVワクチンの公費助成について、「HPVワクチンにつきましては、まだいろいろ議論があるし、実際に情報を収集しなければいけない」、「国が予算事業としてしっかり情報を収集して判断、評価をすることが必要」、「本来は法に基づいてやるべきことだと私は何度も申し上げていますが、それまでの間という考え方を持っています」などと説明をしました。

 他のワクチンと異なり、HPVワクチンについては、有効性・安全性についての情報が十分でないことを認識しながら、また、本来は予防接種法に基づいて定期接種化すべきであるのに、法改正によらず予算事業で、本件緊急促進事業を行うことにしたのです。

 このように極めて不透明な事実経過で、サーバリックスについては製造販売承認からわずか1年しか使用実績がないにもかかわらず、ガーダシルについてはまだ一度も国内で使用実績がないにもかかわらず、緊急促進事業が実施されたのです。