2024年7月10日(水)午後、福岡地方裁判所で九州訴訟の原告本人尋問期日が開かれました。梅雨の合間の晴れ間でお天気に恵まれ、たくさんの方に傍聴にお越しいただきました。
原告番号33番さんと13番さんの尋問でした。
33番さんは、中学校1年生の5月に、ガーダシルを接種し、その後頭痛や全身の倦怠感が現在まで続いています。
症状のために検査入院をしたり、大好きなピアノの稽古をやめざるをえなかったりしながらも、なんとか学校生活を送りました。
短大の幼児教育課に進学し、小さいころから憧れていた保育士の資格をとるも、保育士として働くことや連続して働くことは体力的に無理であると実感し、現在は、別の仕事をされています。
HPVワクチンの副作用を報道するニュースを見て病院を受診し、高校生のときにステロイドパルス療法、免疫吸着療法を受け、症状が改善傾向になったということでした。
尋問によって、HPVワクチン接種前までピアノが好きで元気に過ごしていた原告が、HPVワクチン接種後まもなく、頭痛や倦怠感、手の震えなど副反応の症状を発症し、とりわけ強い倦怠感から学校生活や日常生活の制限を受けながら過ごしてきたこと、それはたくさんの楽しみを制限され生きていても仕方がないと思うほど辛いことであったこと、学校や職業など進路選択の変更を余儀なくされたこと、日々倦怠感とともに日常生活を送っており仕事や遊びを制限していることで見た目には健康な人と変わらないように見えているものの明らかに同世代とは異なる生活を送っていること、その影響は現在まで続いていることがよくわかりました。
被告MSDは、カルテに現れた断片的な記載を原告に示して、繰り返し、症状の発症がHPVワクチンとは別の、原告の親子関係や家庭環境、ハードな学校生活に原因があったのではないかと指摘する質問をしていましたが、原告は、カルテの内容をしっかりと確認し、自分の発言が記載されたものではないこと等被告の質問の前提が間違っていることなどを冷静に回答していました。反対尋問によっても原告の副反応症状についてHPVワクチンとの因果関係は否定することは難しいという印象を持ちました。
13番さんは、高校1年生の時にワクチンを接種後、3回目接種の翌日に湿疹、腹痛などの症状を発症し以後倦怠感など様々な症状を発症しました。英語を使った国際的な仕事につきたいという夢をあきらめざるをえず、現在は、別の仕事をされています。
尋問のなかで、被告企業が1度だって自分に会いに来ていないにもかかわらず、ワクチンが原因ではない、心身の反応であると決めつけることに納得がいかない、裁判官には、カルテに書かれたすべてをきちんと見てほしいと発言されたことが心に響きました。
被告GSKは、原告に対して、精神科のカルテに記載されたいじめや、交際相手とのトラブルが原告の副反応の原因ではないかと尋ねていましたが、原告は副反応と関係するようなエピソードではなかったと詳細に回答していました。しかし、何度も同じような質問が繰り返しなされるなど、尋問の目的が、原告に対して、裁判をあきらめさせるとか、プライバシーを公にするとか、別に目的があるのではないかと疑うほどでした。少なくない人が学生時代に経験したようなエピソードについて多くの人が経験したような出来事がHPVワクチン接種による副反応と結び付けられていること自体、副反応の症状に苦しむ原告にとっては耐え難いことだと思います。
終了後の報告集会では、地方議員をはじめとする支援者の方々とともに、尋問を引き受けてくれた原告の方に敬意を示すとともに、尋問で感じた憤りを共有することができました。
次回九州期日は、10月7日で、被告が申請した専門家証人の尋問期日が予定されています。ぜひ傍聴支援をお願いします。
~期日後報告集会の様子~