声明 HPVワクチン薬害訴訟の原告本人尋問(前半)を終えて

 2024年10月1日、HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は、原告本人尋問(前半)を終えたことを踏まえた声明を公表しました。

 重い病状に今なお苦しむ中、公開法廷での尋問に臨んだ全国27名の原告らの被害の実情が、正しく社会に伝わることを切に願っています。


2024(令和6)年10月1日

 

声明 HPVワクチン薬害訴訟の原告本人尋問(前半)を終えて

 

HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団

共同代表 弁護士 水口真寿美

共同代表 弁護士 山西 美明

 

  2016年から全国4地裁で審理が進められてきたHPVワクチン薬害訴訟は、2023年に原告側申請の専門家証人6名の尋問を終了し、2024年1月から始まった原告本人尋問も、9月19日の大阪地裁の尋問をもって前半を終えました。

 

 これまでの原告本人尋問では、4地裁で合計27名の女性が公開法廷で証言し、居住地域や生活歴などが様々である中、HPVワクチン接種後に激しい頭痛、全身の痛み、歩行障害、視覚や聴覚などの感覚障害、著しい倦怠感などが出現し、さらには簡単な計算ができない、漢字が読めない、自宅に戻る道がわからないなどの認知・学習・記憶に及ぶ障害も重なるというように、1人の原告に多様な症状が重なって生じるという特徴的な病状が共通して認められることを立証しました。

 また、原告らが、深刻な症状のために進路変更を余儀なくされ、就労も困難な中で、根本的な治療法も確立しないまますでに10年以上も社会から放置されたばかりか、根深い差別的扱いを経験してきたことも、あらためて明らかとなりました。

 

 被告らは、原告らの症状が、いわゆる「ストレス」によるものと主張し、公開の法廷において生活歴等のプライバシー性の高い事項に関する質問を執拗に繰り返しました。

 しかし、原告らに共通する特徴的な症状が「ストレス」で生じるとする医学的根拠自体が認められません。

 また、被告らが指摘した「ストレス」の大半は、中高生が成長する過程で誰しもが経験するようなありふれたエピソードをことさらに強調したものに過ぎません。

 そして何よりも、「ストレス」なるものの有無や程度が原告らの間で様々であるのに、特徴的な病態が原告らに共通して出現しているという事実は、原告らの症状が「ストレス」では説明できないことを示しています。

 

 すでに多くの科学論文や原告側申請の専門家の証言によって、HPVワクチン接種後の症状は「ストレス」では説明できず、HPVワクチンが引き起こした免疫介在性の神経障害であることが示されてきましたが、こうした原告らの証言によって、「ストレス」原因論の誤りは、より一層明らかとなりました。

 そうであるのに、ネット上では、苦しい体調を押してようやく証言台に立った原告らの証言の一部を切り取ってセンセーショナルに紹介したり、本件訴訟に対して「反ワクチン」などと不当なレッテル貼りをする言説が横行していますが、わたしたちは、本件被害の全体像を歪め、本薬害訴訟の目的を誤解させるものとして、強く抗議します。

 

 本年10月からは、全国各地で被告側申請証人の尋問が始まりますが、わたしたちは、反対尋問を通じて、被告らの主張の誤りを一層明らかにしていきます。

 

 引き続きのご理解とご支援をお願いいたします。

以上


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