【HPVワクチン薬害名古屋訴訟】原告本人尋問(2回目)が行われました

2024年5月31日(金)、名古屋地方裁判所においてHPVワクチン薬害名古屋訴訟の原告本人尋問が行われました。

前回、2月26日の期日に引き続き、名古屋訴訟では2回目の本人尋問期日です。

台風も近づいていた中、当日の天候が大変心配されていましたが、なんとか天候も持ちこたえ、期日前集会・入廷行動を行うことができました。

【期日前集会の様子】

当日は、原告2名の尋問が予定されていましたが、おひとりについては非常に体調が悪化してしまったために出廷することができず、原告番号14番の女性のみの尋問が行われました。

 

原告14番さんは、現在もなお身体の痛み・痺れや不随意運動、倦怠感、記憶障害などのほか、足の筋力低下、息苦しさ、食事が思うようにできないといった症状もあり、当日も、酸素療法用のボンベと栄養剤の点滴を抱え、両足には装具も装着した状態で証言台に立ちました。

また、悪寒がするのに大量の汗をかいてしまう体温調節異常もあることから、常に背中にタオルを入れて日常生活を送っていますが、この日も尋問の前に汗で濡れたタオルを交換してきたことを法廷で説明していました。

 

現在26歳の原告14番さんは、中学1年生から2年生にかけて、サーバリックスの接種を3回受けました。

接種直後から、接種部位の痛みだけにとどまらず、原因不明の腹痛や強い生理痛を生じるようになり、徐々に登校に支障を生じるようになり、特に3回目の接種の数週間後には、これまでにない激しい生理痛のために学校で倒れてしまうというエピソードを経験しています。

 

最初は左腕から始まった身体の痛みも次第に全身に広がり、高校2年生になる頃には、お箸を使ったり、着替えや入浴などの日常の動作もひとりではできなくなってしまい、日常的に両親による生活介助が必要となってしまいました。

 

高校でも周りの同級生と同じ机と椅子では痛みで座っていられなかったり、身体を支えることもできなくなり、リクライニングの車椅子やベッドを教室に運び込んで、身体を横たえた状態で授業を受けるといった努力を重ねる必要がありました。

 

こうした病状を経る中で、原告14番さんは近隣の大学病院に緊急入院して不全片麻痺と診断され、その後、HPVワクチンの重篤な副反応症状の症例を数多く経験する大学病院を受診し、詳細な病歴の確認結果を踏まえてHPVワクチン関連免疫神経異常症候群と診断されています。

 

原告14番さんは、こうした病院受診を繰り返す中で看護師になることを志し、高校卒業時には体調不良のために大学を受験することもできず、看護専門学校への入学も拒否されてしまいましたが、独学で勉強を続け、同級生よりも1年遅れて看護大学に入学を果たしました。

 

進学後も、遠方にある医療機関での検査や免疫吸着療法などの治療を受ける必要もあったため、夏休みなどの長期休暇はすべて治療にあてなければならず、入院先に教科書などを持ち込んで必死の思いで努力を重ねた結果、試験に合格し、念願の看護師としての仕事を開始することができました。

 

しかし、体調はその後も改善せず、不随意運動といった深刻な症状の悪化により、就業開始から2年足らずで休職を余儀なくされ、ほぼ1年間の療養を経て何とか復職したものの、現在もなお、家族による様々な支えの下でもパートタイムでの就労が精一杯であるため、いつまた症状が増悪して看護師を辞めなければならなくなるのではないかとの不安を抱え続けています。

 

原告14番さんは、最後にHPVワクチンの問題について思うところを尋ねられた際には、副反応症状のためにこれまでたくさんのことを諦めてきた、たとえ症状が出てしまったとしても、それを理解し、治療に専念できる体制がきちんとできていれば自分たちも生きやすくなると思う、そうした実態をこの訴訟を通して知って欲しいと訴えました。

 

期日後は、桜華会館において報告集会を行いました。

 

原告14番さんの尋問を担当した伊藤麻衣子弁護士が尋問の概要を報告し、原告14番さんからも尋問を終えた感想を傍聴にかけつけた多くの支援者に伝えました。

 

前回尋問に臨んだ原告の落合晴香さんをはじめ、会場に駆けつけていただいた大勢の支援の方からは、勇気をもって法廷に立った原告14番さんへのはげましとねぎらいの言葉が伝えられました。

【尋問を担当した伊藤麻衣子弁護士】

【報告集会でコメントする落合さん(名古屋原告)、長南さん(名古屋支援)、隈本さん(東京支援)、渡辺さん(沖縄支援)】

報告集会終了後、原告14番さんは、弁護団とともに名古屋地方裁判所の司法記者クラブで記者会見しました。

【尋問後に司法記者クラブで会見中の原告14番さん】

 

(会見における原告14番さんの発言より)

 

「裁判長には、私のこの今までの辛かったことや、進路を変えながら、自分の夢を諦めながらも前に進んで生きている、頑張って生きているということは、遠くまで治療を受けに行ってる、その治療の大変さがあったりとかをわかってもらえたらいいなと思って、今日は法廷で話しました。」

 

「このワクチンを打ってこのような症状が出てるので、それは国と製薬会社がこのワクチンの症状を認めて、国全体で治療のバックアップをしてほしいっていう思いから、自分が原告になって参加して訴えていこうっていう風に思いました。」

 

「私たちがこのように裁判を行っていて、原告が先立ってこうやってこういう症状がありますって声を上げてるにも関わらず、国は接種を再開して、男子にも打とういう活動をしている中で、打とうとしている年代の子にはこの声は聞こえているのだろうかなっていうのが私たちが思ってることで、もっといろんなメディアだったり、いろんなところに発信をして、もっとこの状況、この被害を見てもらって、ワクチン打つのどうしようかなって思いとどまる一つの材料となってくれたらいいなと思ってます。」

 

「やっぱり打つ打たないは本人の判断になってしまうんですけども、判断するには材料が必要で、その材料が国から言われてる、もう子宮頸がん予防できますとか、いいですよっていう言葉だけで打っていいのかっていうところで、本当にこうやって同じようなワクチン打って被害を受けている人たちがここにいっぱいいるので、その声を少しでも聞いて判断材料となってくれたらいいなっていう風に思ってます。」

 

「この症状が出てしまったっていう時に、すぐその病院だったり、そのドクターが治療をすぐできるように、何かしら対処療法でもいいので手を打ってくれれば、私たちみたいに悪化して、重たい症状まで移行することはないのかなと思ってるので、病院にも先生にも、こういう症状で打って数ヶ月後にこういう症状が出てきたってなった時に、すぐ治療をしてあげようっていう気持ちになってもらえたらなって思っています。」

 

前回期日同様、今回も大勢の方々に傍聴にお越しいただくことができました。

前回の本人尋問期日に引き続いて傍聴にお越しいただいた皆さまには、原告の女性たちが同じような症状を抱え、共通した悩み・苦労を抱えながらなんとか日々過ごしていることをより立体的に感じていただけた尋問であったように思います。

是非、次回(2024年8月22日(木))も法廷にお越しいただき、彼女たちが語る被害の実情に耳を傾けてください。