2023年8月24日、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・弁護団は、厚生労働大臣に対して、男子にHPVワクチンの接種を進めることに反対する意見書を提出しました。
女子への接種勧奨の再開によって協力医療機関に受診する新規患者が急増する中で、男子への接種を進めることは、全く許されません。是非全文をご覧下さい。
厚生労働大臣 加藤勝信 殿
ＨＰＶワクチンの男子への接種に反対する意見書
２０２３（令和５）年８月２４日
HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
代表 酒井 七海
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団
共同代表 水口真寿美
同 山西 美明
＜連絡先＞千代田区二番町１２番地１３ セブネスビル３階
樫の木総合法律事務所内 電話03(6268)9550
https://www.hpv-yakugai.net/
意見の趣旨
ＨＰＶワクチンの男子への接種、公費助成、定期接種化に反対します。
意見の理由
４価のＨＰＶワクチンであるガーダシル（ＭＳＤ社）について、２０２０年１２月に、効能・効果に、前駆病変を含む肛門癌（男女）、及び尖圭コンジローマ（男性）が追加され、男性への接種が可能とされました。
そして、現在、国、自治体において、ＨＰＶワクチンの男子への接種、公費助成、定期接種化を進めようとする動きがあります。
しかし、肛門がんは、予後のよい極めて稀ながんであり、尖圭コンジローマは、イボができる性病（性感染症）であって、自然治癒が多い良性病変であり、治療法も存在します。いずれもワクチンで予防する必要性は高いものではなく、定期接種化するような公衆衛生上の必要性は認められません。
一方、ＨＰＶワクチンには、①知覚に関する症状（頭や腰、関節などの痛み、感覚が鈍い、しびれる、光に対する過敏など）、②運動に関する症状（脱力、歩行困難、不随意運動など）、③自律神経などに関する症状（倦怠感、めまい、嘔気、睡眠障 害、月経異常など）、④認知機能に関する症状（記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下など）など、多系統にわたる多様な症状が一人の人に重層化して現れるという、深刻な副反応が生じています。
深刻な副反応に対応するため、厚生労働省は、全国に協力医療機関を設置せざるを得なくなりましたが、副反応に対する治療法は確立しておらず、副反応症状を訴えて協力医療機関を受診しても、担当する医師が、自院が協力医療機関であることすら知らなかったり、副反応治療をしたことがないとの理由で治療をしてくれない等、協力医療機関も十分に機能していません。
ＨＰＶワクチン薬害訴訟の原告及びその他の被害者らは、深刻な副反応によって、中学や高校での勉学に支障を来し、症状が重ければ医療機関への入通院を繰り返さなければならず、他の生徒が普通に送っている学校生活すら送れませんでした。また、高校では留年や、退学回避の通信制高校への転校を余儀なくされた者もいます。大学などへの進学も断念せざるを得ず、進学できても、障害のため、あるいは体調が許さず、退学した者もいます。そのような結果、思い描いていた進路や夢をあきらめなければなりませんでした。障害が残った者や現在もひどい体調不良がある者は就職もままなりません。重い症状・障害のある原告らは、親に付添や介助を頼らなければなりませんが、親も高齢となっていき、原告らと親たちにとっては将来の不安が募るばかりです。
なお、男子にＨＰＶワクチンを接種する理由として、性交によって女性がＨＰＶに感染することを防ぎ、間接的に女性の子宮頸がんを防ぐということも挙げられていますが、男子へのＨＰＶワクチン接種が、子宮頸がんを減少させることを示す実証的データ、エビデンスはありませんし、そもそも女子へのＨＰＶワクチン接種が、子宮頸がんそのものを防ぐ効果自体が実証されていません。
以上のとおり、男子へのＨＰＶワクチンの接種は、肛門癌と尖圭コンジローマの予防においても、また子宮頸がんの間接的な予防においても、科学的な合理性を見いだすことはできません。
新たな被害者を生み、原告らと同じ苦しみを与えるおそれのある男子へのＨＰＶワクチンの接種、公費助成、定期接種化は、絶対に行わないでください。
以上
