HPVワクチン薬害東京訴訟第15回口頭弁論期日が、前回2022年12月の期日に引き続き、公開法廷で開催されました。
開廷に先立ち、支援者が中心となって、有楽町マリオン前で街頭行動を行いました。冷たい風が吹かれる中でしたが、多くの通行人の方に訴えることができました。
続いて、裁判所前にてリレートークを行いました。
HPVワクチン東京訴訟支援ネットワーク代表の隈本邦彦さん、東京原告の平原沙奈さんのお母様、HPVワクチン薬害訴訟を支える会・北海道の浅川身奈栄さん、全国弁護団共同代表の山西美明弁護士から、それぞれ裁判に向けた思いを発言いただきました。
今回の口頭弁論では、原告側から池田修一医師(元信州大学副学長)を証人申請しました。
難治性疼痛に関する厚労省研究班の研究代表者であった池田先生は、HPVワクチンの副反応が問題化して積極的勧奨が中止された2013年6月頃より、厚労省から副反応患者の診察と原因検索について依頼を受けて副反応患者の診療と病態研究を開始し、以後現在までに副反応が疑われる患者約200名を診察し、HPVワクチン接種後の女性に出現している多様な神経症状は同ワクチンの副反応であるとの立場から、国内外の著名医学雑誌に複数の研究論文を発表して高い評価を得てきた研究者・臨床医です。
全国4地裁で進められてきたHPVワクチン薬害訴訟において、専門家証人の尋問を申請したのは、今回が初めてのこととなります。
14時に開廷した大法廷では、東京訴訟原告3番さんが、意見陳述を行いました。
原告3番さんは、現在26歳の女性です。
HPVワクチンを接種する前は、部活動でヴィオラやコントラバスを弾く、全国模試で国語の成績で全国1位をとる、カナダへ短期留学をするなど、充実した中学校生活を送っていました。
しかし、15歳の春休みにHPVワクチンを3回接種した後、頭痛や倦怠感、学校の隣の席の生徒が覚えられない、本が読めない、といった症状に苦しめられました。学校に通うのが難しく、通院も増えていきました。そのように病院へ行く途中、同年代の制服の生徒を見ると、
「なんで私は同じようにできないのだろう、あの子たちに私たちはどういう風に見えているのだろう」
と、悩む日々でした。
原告3番さんがHPVワクチンを接種してから12年が経ちました。
「もっと友人たちと同じ時間を過ごしたかった、もっと授業に出たかった、もっと部活に打ち込みたかった。しかし、たった一度きりの人生において、失った年月は2度と取り戻せることはありません。」
原告3番さんはこのように悲しみを語りました。
そして最後に、
「この先の長い人生を一人の人間として、尊厳を持って生きていくためにも、国はしっかりとした経済的な補償と、何よりも治療のための医療体制を整えてほしいです。」
と、被告らに対して訴えました。
その後、場所を日比谷図書文化館に移し、報告集会が行われました。
報告集会では、東京弁護団の中西弁護士から期日の概要についての報告がなされた後、意見陳述を行った原告3番さんが発言し、緊張して不安な中で意見を述べたが、傍聴席を含めて関係者が真剣に聞いてくれ、また特に裁判官が自分の目を見ながら話に聞き入ってくれていた、5月から始まる証人尋問に向けてみんなで頑張っていきたいと気持ちを新たにしたと、法廷での感想を語りました。
原告3番さんのお母さんからは、娘の人生の悔しさや苦しさを言い表すには10分の陳述は余りに短いが、その中でも真剣に訴えた娘の言葉が裁判官に届かないはずはないと思っている、帰宅したら頑張った娘を褒めてあげたい、との感想が述べられました。
意見陳述を見守った他の原告さんからは、すべての病気が分かっているかのようにいう被告らの姿勢に対して「傲慢ではないでしょうか」と訴えかけた原告3番さんの言葉がストンと胸に落ちた、被害者の気持ちを代弁してくれた、原告たちが最も言いたいことを言ってくれたといった賛同の声が多く寄せられました。
各地の支援者からは、薬害エイズが和解によって治療体制が整ったことを挙げて、HPVワクチン薬害も訴訟を通して治療体制を確立できるように頑張りましょう、とのエールがありました。
報告集会の最後には、原告から、5月以降はいよいよ専門家の証人尋問が始まり、訴訟が終盤に向けて加速していくため、一緒に頑張ろうとの声掛けがなされ、集会は終了しました。
ご参加の皆様、本当にありがとうございました。
次回の東京地裁での裁判では、2023年5月18日(木)13時30分から元信州大学医学部長池田修一先生の証人尋問が行われる予定です。引き続きご支援よろしくお願い致します。
・各地の次回期日
名古屋訴訟2023年2月20日(月)
大阪訴訟2023年3月 9日(木)
九州訴訟2023年4月17日(月)
東京訴訟2023年5月18日(木)