2022年1月17日(月)、今年最初の九州訴訟の期日が開かれました。
当初は公開法廷での口頭弁論期日が予定され、その準備をすすめていたところ、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、直前に非公開のウェブ会議期日に変更となり、2年ぶりの公開法廷での期日はかないませんでした。
もっとも、弁護団は期日までに4通の準備書面を提出し、おおむね弁護団の「総論」立証が終わるなど裁判は着実に前へとすすんでいます。
午後6時から開催したオンラインでの報告集会には、北海道を含む全国各地から約50名の方にご参加いただきました。
報告集会では、まず九州弁護団代表の小林洋二弁護士から情勢報告を行いました。残念ながら、HPVワクチンの積極的勧奨が再開されたものの、深刻な副反応に苦しむ被害者が増えることを憂慮し、各自治体へ8項目の要望書を提出し、支援体制を求めていく旨の説明がありました。
(自治体への要望書について詳しくはこちらhttps://www.hpv-yakugai.net/20220111jititai/)
また、弁護団が日本国内で行なわれた「名古屋市調査」と「祖父江班調査」という二つの疫学研究に関する各論的な主張を行なっていた点に関連して、疫学の基本的な考え方について総論的な主張を補充主張したうえで、被告企業の主張の誤りについて述べた準備書面44の概要を中心に、島翔吾弁護士より提出した書面の説明を行いました。
続いて、佐川民弁護士が、公開法廷で予定をしていた、原告17番さんの意見陳述の代読を行いました。原告17番さんは、現在24歳、今年3月に大学の卒業を予定しているものの定期的な入院が必要でフルタイムの就労は難しく、卒業後の進路は未定であり、ハロワークに相談しても紹介できる仕事はないと言われた、夢に向かってチャレンジするということさえできないという現状についてその思いを述べられました。入学・卒業シーズンを前に、原告たちの多くが置かれている現状や抱えている将来への不安を改めて認識することができました。
原告17番さんの意見陳述を聞いた他の原告たちからは、同じ年齢で同じ状況におかれていて久しぶりに胸の痛む思いがしたということや学生時代の辛かったことを思い出したこと、体調がすぐれないこと、就職した後も入院を繰り返すなどして休職を余儀なくされていることなどのお話をいただきました。今回、公開法廷での原告さんの意見陳述は叶わなかったものの、久しぶりに意見陳述を聞いて、改めて裁判所や被告企業に対してHPVワクチン接種によって原告たちに生じた被害を訴え続けていくことの必要性、重要性を痛感しました。
支援者の方からは、積極的勧奨再開によっても新たな被害が生じないよう全国で働きかけていきたいといった決意表明、HPVワクチン接種副反応を多くの人に知ってもらうための活動が広がっていることを報告していただきました。
次回九州期日は、2022年4月18日(月)14時(非公開の手続き)と指定されています。新型コロナウイルス収束の目途は見えませんが…大事な1年を皆で力を合わせて乗り越えていきましょう。