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原告たちを苦しめているのはHPVワクチンの副反応症状です
〜副反応の病態に関する医学的知見を整理しました〜
原告たちは、HPVワクチン副反応によるさまざまな症状に苦しめられています(被害者の声)。
国の研究班では、副反応の症状を、ワクチン接種に関連するストレス反応、あるいは機能性身体症状として、認知行動療法を推奨しています。
しかし、日本において、HPVワクチン接種後の遷延する多様な症状の診療に当たってきた医師・研究者らは、異なる知見を報告しています。
これらの医師・研究者は、異なる研究背景をもち、独立した立場で、HPVワクチン接種後の症状に苦しむ患者の診療をしてきたものであるにもかかわらず、到達した知見はほぼ共通しています。
ここでは、それらの医師・研究者の報告から、
〇 HPVワクチン接種後に神経症状を訴える患者の病態を、既知の疾患では説明しつくせない症候群であると捉えていること
〇 それらの多様な症状が起こる仕組みについて、その患者群を対象として、さまざまな客観的検査を行ってあきらかにしようとしており、その結果も概ね一致していること
〇 そのような研究成果を踏まえて多くの医療機関で免疫治療(ステロイドパルス、免疫グロブリン大量投与、血液浄化法、免疫抑制剤投与等)が行われており、一定の成果を挙げていること
など、原告たちの病態が、HPVワクチンの副反応による免疫介在性神経障害という一つの症候群であることを示す知見を整理しました。
このような患者群は、全国で同時多発的に、HPVワクチンの接種者増加とともに現れたものです。そして、積極勧奨が中止され、HPVワクチンの接種者が激減すると、このような患者の新規発症は見られなくなりました。
このことは、原告たちの多様な症状が、HPVワクチンの副反応であることを示しています。
少し長くなりますが、お読みいただければ幸いです。
目次
第1 HPVワクチン接種後に出現する共通の病態
1 国内外の研究報告が示す病態の共通性
(1)横田・西岡・黒岩医師らの研究
ア 横田俊平、西岡久寿樹医師らは、線維筋痛症の治療を専門分野のひとつとしていたところ、2013(平成25)年初め頃より若年性線維筋痛症と類似するが異なる病態の症例が多数受診するようになったことから、一般財団法人難病治療研究財団に神経内科医らを含む検証チームを組織し、集積した症例を解析して、HANS(HPVワクチン関連神経免疫症候群)の概念を提唱しました。
その提唱の理由について、2015(平成27)年7月の文献において、「十分な病歴聴取を行い、慎重な経過観察をしている間に多くの症例で同様の症状が時系列的に重層化してくる事実や諸外国からも同様の症例報告がみられることから、本症は1つの症候群(HANS)としてとらえるべきものと考える」と述べ、「きわめて重要なポイントは、自律神経・内分泌・認知・感覚・運動・免疫のすべてのドメインに関わる病像が一人の患者に重層的に生じていることである」と指摘しています[1]。
そして、集積した104例の解析の結果、患者に共通する臨床症状について以下のとおり報告しています[2]。
① 自律神経・内分泌系障害:過敏性腸症候群、過食、過呼吸、喘息、発熱、低体温、発汗過多、サーカディアンリズム障害(睡眠障害)、生理不順、ナルコレプシー、尿崩症
② 認知・情動系障害:無気力、だるさ、焦燥感、幻視、幻聴、妄想、暴言、登校拒否、パニック発作、相貌認知障害、計算障害、集中力低下、学習能力低下
③ 感覚系障害:四肢・全身の疼痛、光過敏・音過敏・嗅覚過敏、激しい生理痛
④ 運動系障害:姿勢保持・起立・歩行障害、不随意運動、痙攣
イ 2018(平成30)年3月時点で、横田医師がフジ虎の門整形外科小児病院小児難病・リウマチ・センターで診療した67名の患者に共通する症状にも、4系統の症状が共通して認められています[3]。
ウ 横田医師らは、横浜市立大学における48症例について、症状の出現頻度も調べています。このうち頻度50%以上の症状として報告されているのは、計43症状に及び、その一例を挙げると、以下のとおりです[4]。
① 自律神経・内分泌障害では、日中傾眠(85.4%)、起床困難(83.3%)、めまい/失神(87.5%)
② 認知情動系障害では、集中力低下(91.7%)、暗算困難(79.2%)、持続性の倦怠感(95.8%)、頭がすっきりしない/けだるさ(89.6%)
③ 感覚障害では、まぶしい(日光、LED照明)(85.4%)、聴覚過敏(58.2%)、頻繁な頭痛(95.8%)
④ 運動障害では、体が高速で震える(66.7%)、ペットボトルのふたを開けにくいほどの虚弱状態(60.4%)、座位維持不能(56.3%)等
このように、多くの症状が高い頻度で出現しており、4領域にわたる様々な症状が患者間で共通していることが明らかになっています[5]。
(2)池田医師らの研究
ア 池田修一医師は、神経内科の専門医であるが、HPVワクチンの接種の積極的勧奨が中止された2013(平成25)年6月当時、厚生労働省の「難治性神経因性疼痛の基礎疾患の解明と診断・治療精度を向上させるための研究班」の主任研究者を務めていたことから、厚生労働省より、子宮頸がんワクチン接種後の病態に関する一つの研究班の統括研究者を依頼され、HPVワクチンの副反応患者の診療に当たることになりました[6]。
イ そして、2013(平成25)年6月から2016(平成28)年12月末までに、信州大学において、163名の患者を診察し、このうち、HPVワクチン接種後の副反応であると診断した72名の所見に基づいて、臨床像を次のように指摘しています[7]。
主な症状は全身倦怠感、頭痛、四肢・体幹の痛みと振るえであること。全身倦怠感や頭痛からくる起床困難を伴う患者について、小児の起立性調節障害の診断基準に照らしてみるとほぼ合致していたこと。四肢の疼痛を訴える患者の多くは、手首、肩、膝、足首の関節部位を中心とする移動性の痛みを訴え、体幹に出現する疼痛としては、胸痛や背部痛があったこと。手足の振るえはミオクローヌスに分類される。37.5%に手指と足趾の皮膚温の低下が見られたこと。
脳障害は手足の症状より遅れて出現することがあり、その主体は学習障害と睡眠障害であること。学習障害は、教師の話す内容が頭に入らない、2つ以上の課題を示された場合に判らなくなる、教科書などの長文が理解できないなどであり、睡眠障害は1日20時間以上眠っているような過剰睡眠などであること。
ウ また、別の報告では、この72名に頻繁にみられた症状・徴候について、遷延性全身疲労感、慢性頭痛、広範囲の痛み(四肢では炎症徴候を伴わない移転性関節痛、体幹部では胸壁・腹壁の間欠性神経痛、背部痛、腰部痛など)、異常感覚(錯感覚、異痛症、刺痛、灼熱痛、むずむず脚症候群など)、睡眠障害、運動機能障害(遠位部優位の四肢筋力低下、多発性神経炎類似症状、片麻痺、対麻痺、四肢不全麻痺)、四肢のけいれん、自律神経失調症状(失神、しゃがみ込み、下痢を伴う頻繁な腹痛、腹部膨満を伴う慢性便秘)、学習障害(教科書の長文を覚えられない、異なるテーマを同時に理解できない)、月経異常であると整理しています[8]。
エ さらに、池田医師らは、2015(平成27)年5月に厚生労働科学研究費「子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療方法の確立と情報提供についての研究」班として「子宮頸がんワクチン接種後症候群の診断ガイドライン」を作成しています。
その診断基準中の「主症状」は、①異様な倦怠感(4週間以上持続する)、②慢性頭痛(特に起立時に増悪)、③広範な痛み(移動性の関節痛、四肢の痛み、筋痛)、④四肢の振え(振戦様もしくはミオクローヌス様)、⑤自律神経障害(立ちくらみ、体位変換性頻脈、消化管運動異常)、⑥運動障害(突発性の脱力、四肢の麻痺、歩行障害)、⑦感覚異常(四肢の冷感、異常感覚、羞明)、⑧睡眠障害(過眠、不眠)、⑨学習障害(記銘力障害、集中力低下、長文の読解不能)、⑩月経障害(無月経、過多月経)です。
そして、これらの症状のうち5項目以上が認められることを、「確実」及び「疑い」判定の要件としていることからも[9]、池田医師らが、多様な症状が一人の患者に重なり合うことを、臨床症状の特徴ととらえていることが分かります。
オ 作成したガイドライン名に「子宮頸がんワクチン接種後症候群」とあることが示すとおり、池田医師らは、HPVワクチン接種後の症状を1つの症候群として捉えており、その病態は、既に述べた横田医師らや後述する高橋医師ら、髙嶋医師らと同様、自律神経・内分泌系、認知・情動系、感覚系、運動系に及ぶ多様な症状が重層的に発現するものとして報告していることは明らかです。
このことは、厚労省が2018(平成30)年に作成した医師向けのパンフレットにおいて、症状を ①知覚に関するもの、②運動に関するもの、③自律神経に関するもの、④認知機能に関するものという4項目に分けて記載していることを捉えて、池田医師が、われわれが従来論文で発表した内容を認めてくれたと理解できると述べている点にも示されています[10]。
(3)高橋医師らの研究
国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターは、てんかん、神経難病等の診療を専門とする医療機関です。
同センターの高橋幸利医師らは、2014(平成26)年8月までに、少なくとも1回のHPVワクチン接種を40歳未満で受け、その後に知覚障害、運動機能障害、自律神経障害、認知機能障害、脳神経障害、その他の中枢神経障害(睡眠障害、不安障害等)の少なくとも1つ以上の症状を呈した39例のうち、髄液検査を受けていない者や以前に免疫調節治療を受けていた者などを除いた32例について、病態を調べ[11][12]、その症状を、以下のとおりに分類して整理しています(括弧内は32例中の症例数)。
① 運動障害(24例):歩行障害、不随意運動(ミオクローヌスや振戦等不随意運動)、運動失調、突発性衰弱
② 知覚障害(13例):錯感覚、しびれ、体性感覚異常(錯感覚を含む)、掻痒感および味覚異常
③ 自律神経障害(8例):失神、発熱、動悸、体位性低血圧、体温調節不調
④ 認知機能障害(26例):記憶障害(漢字や年号が覚えられない、前日の行動を覚えていないなどの短期記憶障害および相貌失認、他)、計算障害(簡単な暗算ができない、他)、地誌的失見当、失語症、注意欠損(勉強を10分しか続けられない、他)、学習障害(文書のあらすじが理解できない、他)
⑤ 脳神経障害(16例):羞明、めまい、聴覚障害、聴覚過敏、耳鳴り
⑥ 精神障害(20例):不安、高換気症候群、心因性非てんかん発作
⑦ その他:視覚障害(5例)、睡眠障害(23例中22例)、心因性非てんかん発作(11 例)等
これらの分類は、横田医師らの4系統の分類と類似しており、また、列挙されている症状も同様であって、高橋医師らが、横田医師らや池田医師ら、後述する髙嶋医師らと同様に、HPVワクチンの副反応の病像を、自律神経・内分泌系、認知・情動系、感覚系、運動系に及ぶ多様な症状が重層的に発現するものと捉えていることは明らかです。
(4)髙嶋医師らの研究
ア 髙嶋博医師らは、鹿児島大学病院の神経内科において、自己免疫脳症の患者などの治療に当たってきましたが、同病院が地方の中核病院として以前から県内全域の原因不明の神経疾患の患者を受け入れていたことから、HPVワクチンの緊急促進事業が開始された2011(平成23)年頃より、原因不明の症状を呈する若年女性が紹介患者として多数受診するようになりました[13]。
イ 髙嶋医師らは、2018(平成30)年5月までに58名の患者を診療し、その臨床症状について次のとおり報告しています[14]。
臨床症状として、頭痛、四肢疼痛、全身倦怠感、睡眠障害、羞明、四肢脱力、立ちくらみ、思考能力の低下、学習障害、月経不順、発汗障害などがみられたこと。頭痛は、90%以上の患者に見られ、慢性的で薬剤抵抗性のことが多かったこと。四肢疼痛は、1箇所とは限らず、複数の部位にまたがることがあり、疼痛部位が移動したり、疼痛の程度が時間によって変動したりするもので、末梢性の炎症や外傷に伴う疼痛とは異なる非典型的な疼痛であったこと。慢性的な倦怠感は患者の70%以上で、60%以上で過眠などの睡眠障害が認められたこと。
ウ また、2012(平成24)年から2016(平成28)年に受診した36例の患者についての報告では、頭痛や四肢体幹などの疼痛を89%と高率に認め、四肢脱力や不随意運動などの運動障害が72%、立ちくらみ、体位性頻脈、発汗障害、尿閉などの自律神経症状が64%にみられ、その他には高次機能障害(記憶障害、学習障害、てんかん様発作、睡眠障害、羞明)や激しい疲労等を報告しています[15]。
そして、この論文の表1では、①運動障害、②疼痛、③自律神経症状、④その他の神経症状(記憶障害、性格変化、尿閉、排尿障害、不随意運動、倦怠感、ふらつき、発汗過多、四肢異常感覚、下肢異常感覚、起床困難、不眠、睡眠障害、羞明、視野欠損、眼振、てんかん、笑い発作等)に分けて患者の症状を分類しています。
これらの分類は、横田医師らの4系統の分類と類似しており、また、列挙されている症状も同様であって、髙嶋医師らが、横田医師らや池田医師ら、高橋医師らと同様に、HPVワクチンの副反応の病像を、自律神経・内分泌系、認知・情動系、感覚系、運動系に及ぶ多様な症状が重層的に発現するものと捉えて、報告していることは明らかです。
(5)デンマークのBrinth医師らの報告
デンマークのBrinth医師らは、ガーダシル接種後の53例の副反応症例について、報告しています[16]。
Brinth医師らは、患者らに、頭痛(100%)、起立不耐症(96%)、疲労(96%)、認知障害(89%)、睡眠障害(85%)、視力障害(70%)、神経障害性疼痛(66%)、運動障害(66%)、呼吸困難(66%)、血管異常(51%)肢の脱力(57%)、月経不順(48%、31例中の15例)、乾燥症(40%)、過換気(34%)、などの症状があると述べ、症状発現率からみて、多様な症状が重複して発現している病態を捉えて報告していることは明らかです。
(6)デンマークと日本との共同研究
黒岩義之医師らは、HPVワクチン接種後に複合症状を発現したデンマーク人患者48名と日本人患者104名との比較研究を行い、それぞれの患者群における症状の発現頻度を比較しています[17]。
両群で75%を超える発生率が認められた症状として報告されているのは、疲労感、頭痛、注意障害及びめまいです。
また、40%を超える頻度の症状として、以下のとおり報告しています。
睡眠関連症状:不眠症、過睡眠、情動不安、悪夢、突発的入眠
心循環器症状:起立失調、動悸、末梢冷感
消化器症状:悪心、嘔吐、腹痛、便秘
月経関連症状:月経痛、月経過多、経血凝固
情動・認知症状:過敏性気分、学習障害、記憶障害
感覚症状:関節痛、筋痛、眼痛、しびれ、羞明、聴覚過敏
運動症状:筋力低下
そして、「両国間で報告された症状は一致しており、HPVV後の複合症状に著しい類似性が認められた。日本人女性とデンマーク人女性に共通してみられた特徴的臨床像は、自律神経・認知・感覚・運動症状により構成される広スペクトル(範囲)のHPVV後複合症状であった。」と指摘しています[18]。
(7)数か国間での共同研究
アメリカのBlitshetyn医師、デンマークのBrinth医師、メキシコのLavin医師らは、数か国から報告されたHPVワクチン接種後に重度の副反応を起こした疑いのある患者に関する症例を共同して検討し概説しています[19]。その内容とまとめると以下のとおりです。
各国から報告された症状群(池田らが末梢交感神経機能障害を示したとして報告した40例や横田らが線維筋痛症様症状を呈したとして報告した25例も含まれている)は著しく類似しており、日常生活を困難にする疲労感、頭痛、広範囲疼痛、失神、胃腸運動障害、四肢脆弱化、記憶障害エピソードによる意識上の変化及び異常体動などの症状がみられていること。こうした症状・徴候について、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、起立性頻脈症候群(POTS)、小径線維神経障害(SFN)、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)あるいは、線維筋痛症などの異なる診断名が付されているが、各患者らの有する症状の多くは共通していること。
数か国の複数の報告者たちによって非常に似通ったHPVワクチン接種後の症候群が個々に報告されてきたという事実は、これらの症候群がHPVワクチンとの間に実際に相関がある可能性を示しています。
(8)PMDAへの副反応報告
HPVワクチンの販売開始から2017(平成29)年4月30日までの間の副反応疑い報告は、3080症例とされています。そして、重篤症例一覧の症状名欄には、遷延性めまい、重度頭痛、けいれん、失神、意識喪失、光過敏症、体位性頻脈症候群、自律神経失調、精神異常、認知障害などの症状の組み合わせとして報告されています[20]。
報告されている症状は、自律神経・内分泌系、認知・情動系、感覚系、運動系のドメインに関わる多様なもので、既に述べた国内外の研究者の研究と同様の病態の患者が副反応として報告されていることを示しています。
(9)小括
各研究グループは、HPVワクチンの副反応患者を診察するに至った経緯も、医療機関の所在地や機能、主な研究分野なども異なる独立した研究グループです。
にもかかわらず、各研究で把握されたHPVワクチンの副反応の臨床像は、①自律神経・内分泌系、②認知・情動系、③感覚系、④運動系という4ドメインにまたがる多彩な症状が一人の患者に重層的に発現するという点においても、主要な症状の内容や症状のレパートリーについても一致しています。しかも、国内外において臨床像が共通しています。
黒岩医師らが、「多彩な症候を(中略)臨床的に解析してきたが(中略)、『HPVワクチン接種後神経障害』の症状はランダム(無秩序)でなく、そこには一貫性を示すルールがあることを確信するに至った」[21]と述べ、髙嶋医師らが、「症状は多彩であったが、一定の傾向は認めていた」[22]、「患者の症状は多彩であるが、自律神経症状、頭痛や疼痛、高次脳機能障害などの脳症状がある点で、一定の傾向を認めていた」[23]と述べるなど、現にHPVワクチンの副反応の診療に携わった臨床現場の医師らが、HPVワクチン接種後の症状をひとつの症候群としてとらえて病態の特徴を指摘しており、しかもその内容が一致していることが重要です。
2 既知の1つの疾患では説明し尽くせないこと
加えて、患者らを実際に診療している臨床研究者らは、HPVワクチン接種後の患者らの病態について、以下のとおり、既知の1つの疾患では説明し尽くせないと捉えています。
(1) 西岡、横田医師らは、「複数の神経内科医が観察した客観的な理学的所見(体温上昇、ナルコレプシー様過眠症、体重減少、生理周期延長、頻脈発作、尿崩症、乳汁分泌過多、遂行機能障害、計算障害、漢字記憶障害、相貌失認様認知障害、歩行障害、不随意運動、痙攣、アレルギー反応)からなる病像は既知の疾患にはない」[24][25]と述べています。
また、黒岩、西岡、横田医師らは、HPVワクチン接種後の複合症状について日本人女性とデンマーク人女性の比較研究を行い「日本人女性とデンマーク人女性に共通してみられた特徴的臨床像は、自律神経・認知・感覚・運動症状により構成される広範囲のHPV後複合症状であった。こうした複合症状は、既知のいかなる症候群の診断基準にも当てはまらないものであった」[26]と述べています。
(2) 池田医師は、HPVワクチンの副反応について、「他に類を見ない特徴的な疾患」「他に類を見ない特徴的なHPVワクチン接種後障害」と表現しています[27]。
また、尾澤一樹・池田医師らは、HPVワクチンの副反応について、「痛みに注目すればCRPSや線維筋痛症に、立ちくらみや失神に注目すればPOTSに、疲れやすさに注目すれば慢性疲労症候群」等に似ていると述べ、「既知の疾患概念のどれとも厳密には同一ではない。子宮頸がんワクチン接種後の副反応全体の病像を把握しなければ、その実態に到達することは難しい」[28]とも述べています。
(3) 髙嶋医師らも、四肢運動障害、異常感覚・疼痛、不随意運動、歩行障害、自律神経症状、記憶障害、構音障害等の症状が、橋本脳症をはじめとする既知の自己免疫脳症と類似していることを強調しつつ、それに加えて、発熱、頭痛、頸部痛などの炎症症状や末梢自律神経障害による自律神経症状が強いという既知の疾患とは異なる特徴を指摘しています[29]。
第2 患者らに見られる他覚的検査所見について
1 はじめに
HPVワクチン接種後に様々な症状を発現している患者らを診察した臨床医らは、診断、病態把握、そして原因を調べるために、他覚的な検査を行っています。
患者らを診察した臨床医が行う検査は、それぞれの医療機関の診療科が日常的に行う検査や、専門性や主な研究テーマなどの違いから、必ずしも一致するわけではありませんが、HPVワクチンの副反応について、神経障害、脳障害、自己免疫等を疑い、これらを調べる検査を行っています。
以下、HPVワクチンの副反応患者に行われた特徴的な検査とその結果について説明します。
2 脳血流(SPECT)
SPECT(single photon emission computed tomography)は、シンチグラフィ(scintigraphy)の断層撮影です。シンチグラフィは、放射性同位元素(RI)で標識された薬剤を体内に投与して、放出される放射線を画像化することによって薬剤の分布を調べる検査であり、血流量や代謝機能などの情報が得ることができます。3D-SSPは、脳血流SPECTの原画像の視察による評価を補う目的で行う統計処理画像の一つであり[30]、複数の正常例から作成した正常データベースと比較し、正常平均から乖離した部位を画像表示することにより脳血流低下部位を検出しようというものです[31]。
HANSを提唱したグループの平井利明、黒岩義之医師らは、HPVワクチンの副反応患者に脳血流(SPECT)検査を実施、3D-SSPを用いて分析し、29例中24例(83%)で視床部分の血流低下を認めたほか、19例に前部帯状回の、10例に楔前部に、10例に上側頭回に、8例に下側頭回に著明な相対的血流低下がみられたと報告しています[32]。平井、黒岩医師らは、上記SPECT検査の結果から、HPVワクチンの副反応患者では、視床及び大脳辺縁ネットワークに高度の活動低下が認められ、患者の特徴的な一連の症状が視床下部の機能障害に由来するものという仮説と整合すると述べています[33][34]。
池田医師らも、学習能力の低下ないし記銘力低下を訴えたHPVワクチンの副反応患者らに脳血流(SPECT)検査を実施しています[35][36]。
SPECT検査を行った16名のうち12名に、内側前頭/頭頂部及び側頭/頭頂部に脳血流の低下が認められ、SPECT画像所見に対応して認知機能検査のスコア低下がみられました[37]。
なお、池田医師らは、高次脳機能障害に関し、HPVワクチンの副反応患者に対し、WAIS-Ⅲによる高次脳機能検査やTMTによる前頭葉機能検査も実施しており、事象の処理速度が標準の60%前後まで低下していることや、動作性IQ、知覚統合IQの低下等を確認しています[38][39]。
静岡てんかんセンターの高橋、松平医師らも、HPVワクチンの副反応患者らに脳血流(SPECT)検査を実施しています[40][41]。
認知障害(記憶障害、計算不能、相貌失認様症状、空間失認等)の認められるHPVワクチンの副反応患者17名にSPECT検査を実施し3D-SSP解析をしたところ、主として大脳辺縁系につながる領域において、脳血流量の有意な低下が認められました[42][43]。
また、上記17名のHPVワクチンの副反応患者についてWAIS-Ⅲによる高次脳機能障害の検査を実施したところ、SPECT検査における脳血流低下所見と認知機能検査の指数の間に相関関係が認められたことから、大脳辺縁系の低灌流が原因で認知機能障害や情動関連症状が生じている可能性があると述べています[44]。
鹿児島大学の髙嶋医師らも、HPVワクチンの副反応患者らに脳血流(SPECT)検査を実施し、35名中、25名(約71%)の患者で、大脳に巣状の多発性血流低下部位が認められました[45]。また、3D-SSPによる解析では、80%以上の患者で、帯状回や脳室周囲、脳幹部での有意な血流低下が認められました[46]。
髙嶋医師らは、このような患者らのSPECT所見について、血流の分布に左右差を認め、亢進部位が散在する脳炎・脳症のパターンを呈する例が多く見られており、患者の臨床所見と一致すると述べています[47]。
HPVワクチン接種後の副反応患者を診察するに至った経緯も、医療機関の所在地や機能、主な研究分野なども異なる、それぞれ独立した研究グループの研究者らが、SPECT検査を実施したのは、HPVワクチンの副反応の臨床症状の特徴の一つとして高次脳機能障害などの認知系症状が高頻度に認められることや、それ以外の症状のスペクトラムも広範にわたることから、その原因として中枢神経障害や脳障害が想定されたからです。
その結果、いずれの研究グループの結果によっても、HPVワクチンの副反応患者では、広範囲に脳血流の低下、特に、視床、脳室周囲、大脳辺縁系における血流低下が共通して認められ、SPECT検査の血流低下所見と高次脳機能障害に一定の相関性も認められました。
3 PET検査
静岡てんかんセンターの松平敬史医師らは、PET検査を行い、HPVワクチン接種後に広範囲の疼痛、精神症状、認知機能障害などHPVワクチンの副反応症状が遷延化した患者12名と健常者28名を比較しました[48]。
PET(陽電子放出断層撮影)は、放射性薬剤を体内に投与して行う画像検査であり、松平医師らは、糖代謝を調べる〔18F〕FDG-PETと、神経炎症を調べる〔11C〕DPA713PETを実施しました。
検査の結果、HPVワクチンの副反応患者群で、視床、内側側頭領域及び脳幹部において有意に糖代謝が低下し、神経炎症が増大する所見が見られました。松平医師らはこれまでSPECTにより脳血流量の検査をしてきましたが、脳内糖代謝低下は脳血流量と関係があり、糖代謝低下を示した内側側頭部と視床は、SPECT検査で血流低下を認めた部位であると指摘しています[49]。
また、脳の特定部位における糖代謝低下と神経炎症性反応増大と、認知機能検査(WAIS-IIIとWMS-R)における知能及び記憶スコアとの相関を認めています[50]。
本研究は、視床-辺縁系-脳幹領域に生じる神経炎症を伴った脳代謝低下が、HPVワクチンの副反応患者の臨床症状と関連することを示しています[51]。
4 髄液及び血液の免疫学的指標
(1)髄液中の免疫学的指標
高橋医師らは、HPVワクチン接種後に遷延性中枢神経症状を示した患者32例において、脳脊髄液(CSF)中の一般指標・免疫指標を測定し、対照群である非炎症性てんかんを有した女性患者の髄液と比較しました。
その結果、HPVワクチンの副反応患者群では、対照群と比較して、髄液中のインターロイキン4(IL-4)平均値およびインターロイキン13(IL-13)平均値、CD4+T 細胞値が有意に高いことが示されました[52]。
CD4+T 細胞は液性免疫の活性化等に作用するT細胞です。また、インターロイキン(IL)は、細胞間の情報伝達物質であるサイトカインの一種で、IL-4及び IL-13は、免疫の司令塔の役割を果たすヘルパーT細胞のうち、B細胞分化や抗体産生を促進して液性免疫を活性化するTh2細胞が産生するサイトカインです[53](もう一つのヘルパーT細胞は細胞性免疫を促進するTh1であり、Th1/Th2バランスは調整されています)。
従って、上記の結果は、「Th2シフト」すなわちTh2細胞の活性化が起きていることを推測させる所見です[54][55]。
高橋医師らは、Th2シフトによる髄液中のB細胞の活性化が神経分子に対する抗体誘発を起こす可能性があると指摘しています[56]。
(2)血清中の免疫学的指標
高橋医師らは、HPVワクチンの副反応患者群では対照群と比較し、IgG(免疫グロブリンG)、IL-4が高かったことを報告しています[57]。このことは、血清中においても、抗体産生等が促進されるTh2シフトが起きていることを示しています。
5 自己抗体
(1)NMDA型グルタミン酸受容体抗体
高橋医師らは、HPVワクチン接種後に中枢神経症状を呈した32名の患者について、脳脊髄液、及び血清中のNMDA型グルタミン酸受容体抗体(NMDA型GluR抗体)をELISA法で測定し、非接種群と比較して有意に抗体量が多かったことを報告しています[58]。
グルタミン酸は、中枢神経系での主要な神経伝達物質で、NMDA型グルタミン酸受容体(NMDA型GluR)は、主に中枢神経系に存在し、記憶・学習等に関与すると考えられています。
高橋医師らは、NMDA型GluRのサブユニットの一部であるGluN2B―NT2に対する抗体の上昇時期がHPVワクチン初回接種後10-30ヶ月後であること、認知障害が初回接種後21ヶ月ごろに顕在化することを指摘し、HPVワクチン接種後の認知障害とNMDA型GluR抗体との間に関連のあることを裏付けていると考察しています[59]。
なお、ELISAによるNMDA型GluR抗体測定法は、高橋医師が開発したもので、高橋医師は、鹿児島大学を受診した患者19例ほか、他の医療機関からも依頼を受けて、同検査を行っています。HPVワクチンの副反応患者について、Cell-based assay(ダルマウ法)でもNMDA型GluR抗体を検出した旨の報告もあります[60]。
(2)自律神経受容体抗体
池田医師らは、患者らに見られる自律神経障害に免疫が関与しているかどうかを調べるため、HPVワクチン接種後に複数の症状を呈して入院した少女55名とHPVワクチン接種を受けなかった少女57名を対象に、自律神経系の神経伝達物質受容体に対する抗体の血中濃度を測定しました[61]。
その結果、HPVワクチンの副反応患者群は、対照群と比較して、自律神経系の神経伝達物質受容体に対する自己抗体(抗α1アドレナリン受容体抗体、抗α2アドレナリン受容体抗体、抗β1アドレナリン受容体抗体、抗β2アドレナリン受容体抗体、抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体)が、有意に上昇していました[62]。
この研究から、池田医師らは、HPVワクチン接種後のいくつかの症状はHPVワクチン接種後の自己免疫応答異常に起因する可能性を指摘し、それゆえに、これらの病的な自己抗体の除去および/または血清中におけるその産生を抑制する免疫調節療法を、HPVワクチン接種後症状のある患者に対して使用しうると述べています[63]。
(3)抗ガングリオニックアセチルコリン受容体抗体
ア 髙嶋医師らの研究
髙嶋医師らは、抗ガングリオニックアセチルコリン受容体抗体(抗gnAChR抗体)を測定し、HPVワクチンの副反応患者37例のうち27%(10例)が陽性であったと報告しています[64]。
この抗体は、自己免疫性自律神経節障害で検出される自己抗体として知られているものです[65]。
イ 平井・黒岩医師らの研究
平井・黒岩医師らも、患者らの自律神経障害に免疫が関与している可能性を疑い、抗ガングリオニックアセチルコリン受容体抗体を検査しています。
検査の結果、検査したHPVワクチンの副反応患者15名中4例で、抗ガングリオニックアセチルコリン受容体抗体が陽性であり[66]、HPVワクチンの副反応患者15例の抗体インデックスの平均は健常群や他疾患群よりも高く、AAG(自己免疫性自律神経節障害)群に近い傾向にあったと述べています[67]。
(4)抗ガングリオシド抗体
髙嶋医師らは、ギランバレー症候群、フィッシャー症候群といった免疫介在性の神経疾患の発症に強くかかわっていると考えられている抗体である[68]抗ガングリオシド抗体が測定した患者の38%で陽性であったと報告しています[69][70]。
(5)小括
それぞれ独立した研究グループの研究者らが、自己抗体についての検査を実施したのは、その臨床症状やTh2シフトを示す検査所見などから、免疫介在性の神経障害が疑われたからです。
その結果、HPVワクチンの副反応患者では、髄液中の抗NMDA型グルタミン酸受容体抗体が高率で検出され、血清中の自律神経受容体に対する抗体が有意に高いことが判明したほか、抗ガングリオニックアセチルコリン受容体抗体等の自己抗体陽性例もみられており、HPVワクチンの副反応が免疫介在性の神経障害であることを示す結果が得られています。
6 末梢神経(皮内神経密度等)
(1)皮内神経密度
ア 池田医師らの研究
HPVワクチンの副反応患者の症状には末梢自律神経障害によるものがあると考えた信州大の池田医師らは、HPVワクチンの副反応患者の3名について、皮膚生検を行い、真皮組織における神経線維束を顕微鏡で観察しました。
その結果、2名について、皮内神経の個々の神経束において、内膜浮腫の所見がみられることや無髄神経線維の減少と残存無髄神経の変性像が観察されたことを報告しています[71][72]。
イ 荒田・髙嶋医師らの研究
鹿児島大学の荒田仁・髙嶋博医師らも、同様に末梢神経障害を疑い、HPVワクチンの副反応患者30名について皮膚生検を行い、表皮内神経線維密度を調べました。
その結果、19名(約63%)の患者に表皮内神経密度の有意な低下のあったことを報告しています[73]。
髙嶋医師らは、上記の結果は、HPVワクチンの副反応では、末梢自律神経が障害されていることを示唆すると述べています[74]。
(2)指尖容積脈波
指尖容積脈波検査とは、自律神経機能をみる検査の一つで、手や足の指に赤外線をあて、指先への血液の流入による容積の変化をとらえ、指尖の細動脈の状態や血行状態を調べる検査です。
池田医師らは、HPVワクチンの副反応患者で手足の皮膚温の低下など、自律神経障害の症状が認められたため、手指と足趾について、指尖容積脈波検査を行いました。末梢性平坦波のパターンを呈することが多く、血管拡張剤の投与により脈波が正常パターンに戻り、手足の皮膚温が上昇したことを報告しています[75][76]。
7 まとめ
HPVワクチン接種後の副反応患者を診察するに至った経緯も、医療機関の所在地や機能、主な研究分野なども異なる、それぞれ独立した研究グループの研究者らが、多様で複合的なHPVワクチンの副反応の病態や機序の解明のため、それぞれに患者の他覚的所見についての研究を行ってきました。
そのアプローチは一様ではありませんが、注目した臨床症状の特徴と研究の視点は共通しており、また研究結果の一致も認められています。
複数の研究グループが、高次脳機能障害や症状のスペクトラムの広さから、中枢神経障害や脳障害を疑い、SPECT検査を行い、脳血流の低下、特に、視床、脳室周囲、大脳辺縁系における血流低下やSPECT検査の血流低下所見と高次脳機能障害に一定の相関性を認めています。また、さらに脳血流が低下した部位である視床-辺縁系-脳幹領域に生じる神経炎症を伴った脳代謝低下が、HPVワクチンの副反応患者の臨床症状と関連することも示されました。
また、ワクチンの性質や多様な症状から自己免疫を疑った複数の研究グループが、多様な自己抗体を検出し、髄液や血清の免疫学的指標の変化を認めており、臨床症状と整合する結果も得られています。
HPVワクチン接種後の副反応の病態や他覚的所見から、研究者らは、HPVワクチンの副反応を免疫介在性の神経障害と捉え、免疫学的治療法を実施し、一定の効果を上げています。
静岡てんかんセンターの松平、高橋医師らは、HPVワクチン接種後の副反応患者らにステロイドパルス療法を実施しています。
松平、高橋医師らは、HPVワクチン接種後に中枢神経症状を呈した患者21例に対し、ステロイドパルス療法を実施し、初回パルス治療後の効果判定では寛解2例、改善11例、判定保留4例、悪化4例であったと報告しています。そのうち、3回以上のパルス療法を実施できた10例では、睡眠障害は75%で改善、運動障害は60%で改善、認知機能障害は75%で改善しており、結論として60%程度の症例で中枢神経症状の改善が得られたと報告しています[77]。
また、松平、高橋医師らは、ステロイドパルス療法を受けたHPVワクチンの副反応患者10例について、治療効果と治療前後の脳血流変化を報告しています[78]。治療後のADLは5例で改善し、症状別では認知機能障害は75%、睡眠障害は62.5%、難治性疼痛は50%、運動障害は37.5%で改善するなどの効果が認められたが、短期的な効果にとどまる例が多かったとしています。脳血流は、中脳、左視床、右海馬傍回・眼窩回、両側前帯状回などで治療後に有意な血流増加を認められています[79]。
鹿児島大学の髙嶋医師らは、HPVワクチンの副反応患者に対し、免疫学的な関与が疑われるとして、免疫吸着療法(IAPP)、ステロイド療法、免疫抑制剤などの免疫学的治療法を実施しています。
2015年(平成27年)の髙嶋医師の報告では、ステロイド治療を行った20例のうち8例で若干の効果を認めたものの、改善程度は限定的であったとしています。また、免疫吸着療法については、実施した17例中15例で何らかの効果を認め、著効例も存在し、特に脱力や精神症状は改善することが多かったと述べています[80]。
上記治療法の中では、髙嶋医師らは免疫吸着療法が最も有効であると報告し[81]、免疫吸着療法を行った患者の約80%で何らかの効果を認め、約60%でADL(日常生活動作)が改善し、症状が消失した著効例もあったと述べています[82]。
HPVワクチンの副反応の治療例では、症状の再燃する例が多いが、この点につき、髙嶋医師は、維持療法としてアザチオプリン(免疫抑制剤)を使用したことを報告しています。髙嶋医師は、副作用のためにアザチオプリンを十分増量できなかった例では再燃することが多かったと報告しており[83]、十分な維持療法を行えた症例では、効果が持続したものと考えられます。
平井、黒岩医師らは、ステロイドパルス療法や免疫吸着療法をHPVワクチンの副反応患者に実施しています。
平井、黒岩医師らは、呼吸停止を伴うほど重篤なHPVワクチンの副反応患者の症例報告において、ステロイドパルス療法、γグロブリン療法、免疫吸着療法(IAPP)などの免疫療法を行ったことを紹介し、HPVワクチンの副反応患者の治療として、ステロイドパルス療法は短期的に有効で、免疫吸着療法はステロイドパルス療法よりも有効だが、治療を止めるとまた悪化することが多いと報告しています[84]。
また、大西孝宏、横田俊平医師らも、免疫吸着療法の有効性について報告しています。すなわち、大西、横田医師らは、HPVワクチンの副反応症例につき、免疫学的な関与が疑われたため、ステロイド剤や免疫抑制剤の治療を行ったものの、治療効果が不十分であったため、免疫吸着療法を行いました。HPVワクチンの副反応患者5例に免疫吸着療法を行ったところ、疼痛は全例で軽減し(face scale で10から平均2.6まで低下)、相貌失認、学習能力障害、手の運動障害、視力低下なども改善したが、治療後に再発する例もあったと報告しています[85]。
第3では、HPVワクチンの副反応患者を多数診療している研究者らの報告を取り上げましたが、それ以外の全国の医療機関からも、症状とその発現経過、髄液中のグルタミン酸受容体抗体が上昇していること、免疫学的治療の結果などについて報告されています。
これらの報告の内容は、HPVワクチンの副反応が免疫介在性の神経障害であることを示しています。
北海道立子ども総合医療・療育センターの高山留美子医師らは、HPVワクチン接種後に(サーバリックス3例、ガーダシル1例)中枢神経症状が出現したHPVワクチンの副反応症例と思われる4症例を経験しました。全例で頭痛が持続し、2例では全身の移動性疼痛が認められ、中枢神経症状としては、全例に知覚障害、認知機能障害、精神機能障害、自律神経障害を認め、3例で運動機能障害、内分泌障害を認めたと述べています。また、3例で髄液中のグルタミン酸受容体抗体の上昇を認め、免疫学的異常から中枢神経障害をきたしている可能性が考えられたと報告しています[86]。
山口大学の本田真也医師らは、サーバリックス接種後に関節痛、微熱、全身倦怠感、移動する疼痛、全身疼痛、歩行不能等を呈したHPVワクチンの副反応と思われる1症例を経験しました。この症例では、血清中、脳脊髄液中ともにGluR抗体(グルタミン酸受容体抗体)が検出されたため、本田医師らは免疫学的機序を想定し、ステロイドパルス療法を1クールと免疫吸着療法を3クール施行しました。その結果、治療後、痛みは半分程度になり、短距離の歩行が可能になりました。本田医師らは、HPVワクチンの副反応では免疫学的機序が想定され、免疫治療に反応する症例が存在することが明らかとなったと報告しています[87]。
JAとりで総合医療センターの太田正康医師らは、ガーダシル接種後に接種側上肢挙上困難、嚥下障害、両側大腿しびれ感、全身の筋力低下、易疲労性、発疹、起立困難、歩行困難、多発関節痛、側頭部痛、左上肢振戦、ミオクローヌス様の動きなどを呈したHPVワクチンの副反応と思われる1症例を経験しています。この症例では、髄液中のグルタミン酸受容体抗体(GluN2B-NT2 抗体)が軽度高値であり、当初、ステロイドパルス療法を6クール施行したが、効果は一過性にとどまったため、その後メトトレキサート(免疫抑制剤)を投与したところ、ミオクローヌスは消失し、多発関節痛が軽減したと報告しています[88]。
沖縄県立南部医療センター・こども医療センターの神里尚美医師らは、HPVワクチン接種後17~20週間後に手指麻痺を生じた2症例について、ステロイドパルス療法と、ヒト免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)を行ったことを報告しています[89]。
神里医師らは、この症状について、HPVワクチンにより、Th1/Th2バランスがTh2にシフトした免疫応答が強く誘導され、遅発性に神経障害を惹起したものと推測しています[90]。
なお、神里医師らが経験したHPVワクチン関連神経合併症7例の症状は、慢性頭痛5例、うつ状態5例、運動・感覚性ニューロパチー4例、神経障害性疼痛3例、記銘力/認知機能障害2例と多様で、4例で抗NMDA型グルタミン酸受容体抗体が陽性でした[91]。
千葉大学の大谷亮医師らは、HPVワクチン接種後に頭痛、移動性の疼痛、体位性起立性頻拍、歩行障害、高次脳機能障害など多彩な症状が出現したHPVワクチンの副反応と思われる1症例を経験しました。大谷医師らは、この症例で脳血流SPECT検査や高次脳機能検査を実施して異常を確認し、治療については血漿交換を行って、歩行障害や自律神経症状の改善を認めたと報告しています[92]。
血漿交換は、免疫吸着療法などと同じく血液浄化療法に含まれ、免疫性神経疾患に対する治療法の一つです[93]。
京都桂病院の冨井康宏医師らは、HPVワクチン接種後に癇癪、情動脱力発作を伴うナルコレプシー、意識消失を伴う全身性けいれんなどの症状を呈したHPVワクチンの副反応と思われる1症例を経験しました。冨井医師らは、種々の抗てんかん薬を投与しても発作はおさまらなかったが、髄液中のグルタミン酸受容体抗体(GluR抗体)が陽性と判明したことから、ステロイドパルス療法を行ったところ、発作は著減したと報告しています[94]。
琉球大学の土田幸男医師らは、サーバリックス接種後に過呼吸、強直・硬直発作、頭痛、倦怠感、集中力低下などを呈したHPVワクチンの副反応と思われる1症例を経験しました。
上田医師らは、この症例が、横田・西岡医師らが提唱したHANS予備診断基準[95]を満たしていること及び抗ガングリオシド抗体陽性であったことなどからHANS疑いと診断してステロイドパルス療法を行い、倦怠感の改善などの効果が認められたと報告しています[96]。
1 患者の発生とHPVワクチン接種期間との関係
HPVワクチン接種後に症状を発現した患者らを診療している研究者らは、HPVワクチン接種後の特徴的な病態を呈する患者が、HPVワクチンの接種率上昇とともに出現し、積極勧奨中止による接種率低下に伴って減少したという時間的相関性を指摘しています。
たとえば、西岡医師は、HPVワクチン接種後の特徴的な病態を示す患者の発生について「2013年初頭頃より、疼痛性障害、慢性疲労症候群類縁の症状、生理異常、種々の自律神経障害、ナルコレプシー、光過敏・音過敏、高次脳機能障害など重複症状が重層的に現れ、さらに、学習能力が阻害され、著しい生活障害に至る例が散見されるようになってきた。われわれは、既知の疾患カテゴリーに入りきらないと不可思議に思い、何らかの共通のいわゆる『引き金』を探っていたところ、『HPVワクチン接種後』というキーワードが浮かび上がった」[97]と述べています。
2 池田医師らの報告
また、池田医師らは、2010(平成22)年5月から2021(令和3)年3月までの期間について、信州大学病院を受診しHPVワクチンに関連した症状があると診断した患者87名それぞれの1回目のワクチン接種時期、症状発現時期、信州大学病院を受診した時期をグラフにプロットして、その関係を検討しました。
その結果、患者らのワクチン接種のピークが2011(平成23)年7月から2012(平成24)年9月、症状発現時期のピークが2011(平成23)年9月から2013(平成25)年8月と、ワクチン接種のピークにやや遅れる形で、症状発現時期のピークを迎えていること、HPVワクチン接種の接種勧奨の中止後2年4ヶ月後の2015(平成27)年10月以降、症状発現した新たな患者が出ていないことがわかりました。
池田医師らは、これらの結果から、2010(平成22)年5月から2013(平成25)年5月の間にHPVワクチンを集中的に接種したことで、特徴的なHPVワクチン接種後障害をもつ日本人患者が集団で発生したことが示されると述べています[98]。
髙嶋医師らもまた、鹿児島大学病院を受診したHPVワクチン接種と関連する症状を発現している58名の発症時期を検討しています。
その結果、HPVワクチン接種勧奨が開始された2011(平成23)年から患者が急増し、接種勧奨が終了した2015(平成27)年以降、新規患者が激減し、2017(平成29)年以降現れていないことを報告し、ワクチン接種数と比例して患者発生数が連動していると考察しています。
このことは、HPVワクチンと接種後に出現している症状との間に関連があることを強く示すものです[99]。
このように、全国で同時多発的に、HPVワクチンの接種者増加とともに既知の1つの疾患では説明し尽くせない特徴的な症候群が現れ、HPVワクチンの接種者激減(積極的勧奨中止)とともに発症者がいなくなったということは、HPVワクチン接種と接種後の神経症状との間に因果関係のあることを示していると考えられます。
[1] 横田俊平ら「ヒト・パピローマウイルス・ワクチン関連神経免疫異常症候群の臨床的総括と病態の考察」・日本医事新報4758巻・2015年7月4日(52頁)
[2] 同上
[3] 横田俊平ら「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)とautoimmune/inflammatory syndrome induced by adjuvants(ASIA)」・アレルギー・免疫25巻6号・2015年6月(61頁)
[4] 横田俊平ら「Human papilloma virus(HPV) vaccination-associated neuro-
immunopathic syndrome(HANS):a unique symptomatic spectrum and the pathological role of hypothalaus」・自律神経55巻3号・2018年
[5] 横田俊平ら「Human papilloma virus(HPV) vaccination-associated neuro-
immunopathic syndrome(HANS):a unique symptomatic spectrum and the pathological role of hypothalaus」・自律神経55巻3号・2018年
[6] 池田修一「子宮頸がんワクチン接種後の副反応:わが国の現状」・昭和学士会雑誌第78巻4号・2018年(304頁)
[7] 同上(304~306頁)
[8] 池田修一ら「Suspected Adverse Effects After Human Papillomavirus Vaccination: A Temporal Relationship Between Vaccine Administration and the Appearance of Symptoms in Japan.(ヒトパピローマウイルスワクチン接種後に疑われた副反応:日本におけるワクチン接種から症状発現までの時間的関係)」・Drug Safety・2017年7月25日(5頁)
[9] 池田修一「子宮頸がんワクチン接種後の副反応:わが国の現状」・昭和学士会雑誌第78巻4号・2018年(305頁表2)
[10] 同上(311頁)
[11] 高橋幸利ら「Immunological studies of cerebrospinal fluid from patients with CNS symptoms after human papillomavirus vaccination(ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の中枢神経症状患者における脳脊髄液の免疫学的検討)・Journal of Neurommunology 298巻71~78頁・2016年7月
[12] 高橋幸利ら「ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん)ワクチン接種後にみられる中枢神経系関連症状」・日本内科学会雑誌106巻8号・2017年
[13] 髙嶋博ら「子宮頸がんワクチンに関連した自己免疫性脳症」・神経内科89巻3号・2018年(316頁)
[14] 同上(313頁)
[15] 髙嶋博ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫性脳症の範疇から」・神経内科85巻5号・2016年
[16] Louise S.Brinthら「Suspected side effects to the quadrivalent human papilloma vaccine.(4価ヒトパピローマウイルスワクチンによるものと疑われた副反応)」・Danish Medical Journal 62巻4号・2015年4月
[17] 黒岩義之ら「Human papilloma virus vaccination(HPVV)-associated neuro-immunopathic syndrome(HANS):a comparative study of the symptomatic complex occurring in Japanese and Danish young females after HPVV(ヒトパピローマウイルスワクチン接種[HPVV]関連神経免疫異常症候群 [HANS]):HPVワクチン接種後若齢日本人・デンマーク人女性に生じた複合症状の比較研究)」・自律神経55巻1号・2018年(25頁Table2)
[18] 同上
[19] Svetlana Blisthetyn他「Autonomic dysfunction and HPV immunization: an overview(自律神経機能障害とHPV予防接種:概観)・Immunologic Research 66巻6号・2018年11月28日
[20] 厚生労働省「これまでの報告一覧(第32回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応部会、平成29年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)参考資料2)」・2017年11月
[21] 黒岩義之ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:その病態仮説」・神経内科85巻5号・2016年(568頁)
[22] 髙嶋博ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫性脳症の範疇から」・神経内科85巻5号・2016年(547頁)
[23] 髙嶋博ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経症状は、なぜ心因性疾患と間違われるのか」・神経治療35巻4号・2018年(536頁)
[24] 西岡久寿樹「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の中枢神経障害を中心とする多彩な病態をどのように把握するか:わが国と諸外国の調査成績の検討」・神経内科85巻5号・2016年11月
[25] 横田俊平ら「ヒト・パピローマウイルス・ワクチン関連神経免疫異常症候群の臨床的総括と病態の考察」・日本医事新報4758巻・2015年7月4日(52頁)
[26] 黒岩義之ら「Human papilloma virus vaccination(HPVV)-associated neuro-immunopathic syndrome(HANS):a comparative study of the symptomatic complex occurring in Japanese and Danish young females after HPVV(ヒトパピローマウイルスワクチン接種[HPVV]関連神経免疫異常症候群 [HANS]):HPVワクチン接種後若齢日本人・デンマーク人女性に生じた複合症状の比較研究)」・自律神経55巻1号・2018年
[27] 池田修一ら「A Long-Term Observation on the Possible Adverse Effects in Japanese Adolescent Girls after Human Papillomavirus Vaccination(ヒト・パピローマウィルス・ワクチン接種後の日本の思春期女子における考えられ得る副反応に関する長期的観察)」・Vaccines9巻8号・2021年
[28] 尾澤一樹ら「子宮頸がんワクチンの接種後の末梢性交感神経障害の検討」・自律神経54巻2号・2017年(122頁)
[29] 髙嶋博ら「自己免疫性脳症を見きわめるための新しい神経診察の提案-身体表現性障害との鑑別-」・神経治療33巻1号・2016年(12~13頁)
[30] 西村恒彦「最新 脳SPECT/PETの臨床 脳機能検査法を究める」・メジカルビュー社・1996年(38頁)
[31] 同上(45頁)
[32] 平井利明ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:他覚的検査所見について」・神経内科85巻5号・2016年(539頁、544頁)
[33] 平井利明ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:他覚的検査所見について」・神経内科85巻5号・2016年(544頁)
[34] 横田俊平ら「Adverse effects of human papilloma virus vaccination on central nervous system: Neuro-endocrinological disorders of hypothalamo-pituitary axis(ヒトパピローマウイルスワクチン接種の中枢神経系に及ぼす副反応:視床下部—下垂体軸の神経—内分泌障害)」・自律神経53巻1号・2016年
[35] 池田修一ら「Suspected Adverse Effects After Human Papillomavirus Vaccination: A Temporal Relationship Between Vaccine Administration and the Appearance of Symptoms in Japan.(ヒトパピローマウイルスワクチン接種後に疑われた副反応:日本におけるワクチン接種から症状発現までの時間的関係) ・Drug Safety・2017年7月25日
[36] 池田修一「子宮頸がんワクチン接種後の副反応:わが国の現状」・昭和学士会雑誌第78巻4号・2018年
[37] 同脚注35
[38] 池田修一ら「子宮頸がんワクチン関連の神経症候とその病態」・神経治療33巻1号・2016年)
[39] 同脚注36
[40] 高橋幸利ら「ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん)ワクチン接種後にみられる中枢神経系関連症状」・日本内科学会雑誌106巻8号・2017年8月)
[41] 松平敬史ら「Cognitive dysfunction and regional cerebral blood flow changes in Japanese females after human papillomavirus vaccination(ヒトパピローマウィルス接種後の日本女性における認知障害と局所脳血流量の変化)」・Neurology and Clinical Neuroscience 4巻・2016年
[42] 同脚注40(1593~1594頁)
[43] 同脚注41
[44] 同上
[45] 髙嶋博ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫性脳症の範疇から」・神経内科85巻5号・2016年(547~548頁)
[46] 髙嶋博ら「子宮頸がんワクチンに関連した自己免疫性脳症」・神経内科89巻3号・2018年(314頁)
[47] 同脚注43
[48] 松平敬史ら「Coexistence of cerebral hypometabolism and neuroinflammation in the thalamo limbic-brainstem region in young women with functional somatic syndrome(機能性身体症候群を有する若年女性の視床-辺縁系-脳幹領域における脳代謝低下と神経炎症の併存)」・EJNMMI Research 10巻29号・2020年
[49] 同脚注46
[50] 同上
[51] 同上
[52] 高橋幸利ら「Immunological studies of cerebrospinal fluid from patients with CNS symptoms after human papillomavirus vaccination(ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の中枢神経症状患者における脳脊髄液の免疫学的検討)」・Journal of Neurommunology 298巻71~78頁・2016年7月
[53] 齋藤紀先「休み時間シリーズ 休み時間の免疫学」(第2版)・講談社・2015年(180~181頁)
[54] 高橋幸利ら「Immunological studies of cerebrospinal fluid from patients with CNS symptoms after human papillomavirus vaccination(ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の中枢神経症状患者における脳脊髄液の免疫学的検討)」・Journal of Neurommunology 298巻71~78頁・2016年7月)
[55] 高橋幸利ら「ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん)ワクチン接種後にみられる中枢神経系関連症状」・日本内科学会雑誌106巻8号(1593~1594頁)
[56] 同脚注52
[57] 高橋幸利ら「Immunological studies of blood from patients with CNS-symptom after human papillomavirus vaccination(ヒトパピローマウィルスワクチン接種後のCNS症状の患者由来血液の免疫学的研究)」・脳と発達47巻Suppl. S215頁・2015年
[58] 同脚注52
[59] 同脚注52
[60] 同脚注55
[61] 同脚注52
[62] 池田修一ら「Autoantibodies against Autonomic Nerve Receptors in Adolescent Japanese Girls after Immunization with Human Papillomavirus Vaccine(ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の思春期の日本人少女における自律神経受容体に対する自己抗体)」・Annals of Arthritis and Clinical Rheumatology・Issue 2 Article 1014・2019年
[63] 同上
[64] 髙嶋博ら「子宮頸がんワクチンに関連した自己免疫性脳症」・神経内科89巻3号・2018年(314頁)
[65] 中根俊成ら「免疫系と自律神経系のインターフェース」・日本臨床免疫学会会誌40巻5号・2017年(355頁)
[66] 平井利明ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:他覚的検査所見について」・神経内科85巻5号・2016年(541頁)
[67] 同上
[68] 梅田賢一ら「ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、抗ガングリオシド抗体の神経障害作用」・臨床神経学52巻・2019年(914頁)
[69] 髙嶋博ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫性脳症の範疇から」・神経内科85巻5号・2016年(549頁)
[70] 髙嶋博「子宮頸がんワクチン接種後に生じた症状と病態の解析、治療法の検討」(子宮頸がんワクチン接種後に生じた症状に関する治療法の確立と情報提供についての研究 平成29 年度 分担研究報告書)2018年(24頁)
[71] Kinoshita Tomomiら「Peripheral Sympathetic Nerve Dysfunction in Adolescent Japanese Girls Following Immunization with the Human Papillomavirus Vaccine(
ヒトパピローマウイルスワクチンによる免疫化後の青年期日本人少女における末梢交感神経機能障害)」・Internal Medicine 53巻19号・2014年
[72] 池田修一「子宮頸がんワクチン関連の神経症候とその病態」・神経治療33巻1号・2016年
[73] 髙嶋博ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫性脳症の範疇から」・神経内科85巻5号・2016年 (547~549頁)
[74] 同上(551頁)
[75] 同脚注72
[76] 池田修一「子宮頸がんワクチン接種後の副反応:わが国の現状」・昭和学士会雑誌第78巻4号・2018年
[77] 高橋幸利ら「HPVワクチン後に中枢神経症状が出現した症例のステロイドパルス治療」・第29回日本臨床リウマチ学会・2014年11月
[78] 松平敬史ら「HPVワクチン接種後に新たな症状を呈した症例に対するステロイドパルス治療の効果と脳血流変化の検討」・神経治療学32巻5号・2015年9月
[79] 同上
[80] 池田修一ら「厚生労働科学研究費補助金新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業『子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究』」・平成27年総括・分担研究報告書・2016年3月
[81] 髙嶋博ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫性脳症の範疇から」・神経内科85巻5号・2016年(551頁)
[82] 髙嶋博ら「子宮頸がんワクチンに関連した自己免疫性脳症」・神経内科89巻3号・2018年(316頁)
[83] 同脚注78(12~13頁)
[84] 平井利明ら「複数回の呼吸停止後に人工呼吸器管理を要した人パピローマウイルスワクチン関連神経免疫異常症候群の1例」・脳神経内科91巻5号(620頁、623~625頁)
[85] 大西孝宏ら「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(human papillomavirus vaccination associated neur-immunopathic syndrome 以下HANS)に対する免疫吸着療法の有効性」・日本リウマチ学会総会・学術集会プログラム・抄録集62回491頁・2018年
[86] 高山留美子ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後に中枢神経症状が出現した4症例の臨床経過についての検討」・脳と発達47巻Suppl.S231頁・2015年
[87] 本田真也ら「子宮頸癌ワクチン接種後の副反応の特徴および治療法の検討」・臨床神経学55巻Suppl.S446頁・2015年12月
[88] 太田正康ら「メトトレキサート内服が有効出会った子宮頸癌ワクチン後の多発関節痛と中枢神経症状」・日本小児科学会雑誌120関連2号519頁・2016年2月
[89] 神里尚美ら「ヒトパピローマウイルス・ワクチンの分子免疫機構と神経合併症」・沖縄医報52巻5号・2016年(100頁、104頁)
[90] 同上(100頁)
[91] 同脚注87(106~107頁)
[92] 大谷亮ら「子宮頸がんワクチン接種後に多彩な症状を呈した17歳女性例」・
千葉医学雑誌92巻5号200頁・2016年10月
[93] 辻省次ら「免疫性神経疾患 病態と治療の全て」中山書店・2016年3月(158頁)
[94] 冨井康宏ら「子宮頸癌ワクチン接種後のGluR抗体陽性難治性てんかんの一例」・臨床神経学56巻11号793頁・2016年11月
[95] 横田俊平ら「ヒト・パピローマウイルス・ワクチン関連神経免疫異常症候群の臨床的総括と病態の考察」・日本医事新報4758巻・2015年7月4日
[96] 土田幸男ら「子宮頸がんワクチン副作用による認知機能障害が疑われた自閉スペクトラム症患者の認知機能把握に知能検査簡易実施法の施行が有用出会った1例」・琉球医学会誌37巻1−4号85−90頁・2018年12月
[97] 西岡久寿樹「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の中枢神経障害を中心とする多彩な病態をどのように把握するか:わが国と諸外国の調査成績の検討」・神経内科85巻5号512-519頁・2016年11月
[98] 池田修一ら「A Long-Term Observation on the Possible Adverse Effects in Japanese Adolescent Girls after Human Papillomavirus Vaccination(ヒト・パピローマウィルス・ワクチン接種後の日本の思春期女子における考えられ得る副反応に関する長期的観察)」・Vaccines9巻8号・2021年(856頁)
[99] 荒田仁、高嶋博「子宮頸がんワクチンに関連した自己免疫脳症」・神経内科89巻3号・2018年