HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・弁護団は、2021年9月3日午後、厚生労働省の記者クラブにおいて会見を行い、接種勧奨再開の動きに抗議し、製薬会社から国に対する不透明な働きかけが行われた事実関係を明らかにするよう求める厚生労働大臣宛意見書と自民議連宛公開質問書を提出したことを説明しました。
全国弁護団共同代表の水口真寿美弁護士からは、MSD社による、HPVワクチンを廃棄することになれば今後のワクチン供給に悪影響を及ぼす可能性があるとするような不当な働きかけによって、医薬品行政が歪められてはならないことを説明し、製薬会社と厚労省の水面下での不透明な交渉過程が明らかにされるべきであることを指摘しました。
本日の会見では、全国各地からオンラインで参加した原告から、被害者が放置されたままHPVワクチンの接種勧奨が再開されようとする動きがあることについてのメッセージを、記者のみなさんに伝えました。
名古屋原告の落合晴香さんは、「副作用被害のためにあきらめた夢やプライドがたくさんありました。被害者の声よりもワクチンの期限が優先されることに本当に腹が立っています。 私たちの人生にも期限があります。元の体に戻してください」と語りました。
東京原告56番の女性は、地震で揺れているような不快感や、日本語なのに別の言語のように理解できないといった認知機能の障害が日々続いていることを説明した上で、「20代になった今も家族の協力なしには生活できない、健康な若者がこんな状態になるワクチンを再開していいはずがない。国民の健康を思うなら考え直してほしいです」と訴えました。
東京原告15番の女性は、「重度の倦怠感、特に右半身の痛みが強く、殺してほしいと母に頼んだこともあります。 一番症状が重かった当時の状況は記憶がないので、当時の母の日記を見て話す内容を考えました。 今も当時の症状を思い出すのが苦しくてたまりません。厚労省やワクチンを推進する人は、協力医療機関があるから心配ないと言いますが協力医療機関に7年ほど通いましたが、今も治っていません、 積極的勧奨も求める動きを報道で見ましたが、議連の先生が笑顔で要望書を提出しているのを見て、怒りがとまりませんでした。 勧奨中止の間に被害への治療は何も進んでいないです」と自らの気持ちを説明しました。
九州原告梅本美有さんは「現在23歳です。ワクチン接種から8年がたつが未だひどい倦怠感、吐き気が今も続いています。今年の4月から何とか働いているが、症状のため、早退、欠席が多く働き続けることができるか不安です。 誰一人として自分たちと同じ苦しみを味わってほしくないです。積極的勧奨を絶対してはならないと思います」と訴えました。
小池純一弁護士からは、MSDが2021年10月に勧奨が再開されないと在庫が大量廃棄となるとしている点についての疑問点を解説しました。
MSDが製造販売する4価HPVワクチンであるガーダシルの有効期間は「充てん日から3年」と添付文書に記載されています。報道によれば、2021年10月から積極的勧奨が再開されないと、2022年4月から順次廃棄となるとMSDが警告したとのことですが、それは、3年前の2019年4月に充てんされたワクチンの廃棄を意味するはずです。
しかし2019年4月当時、厚労省の審議会で積極的勧奨の再開が議論されていた事実はありません。
なぜ2019年4月に積極的勧奨の再開による需要を見込んだ生産が行われたのでしょうか。
もし審議会での議論もなく、厚労省とMSDが水面下で勧奨再開時期を見越して協議していたのなら、その事実経過は明らかにされなければなりません。
会見の最後には、水口弁護士より、自民議連の国会議員は被害者の声をきき、その声に答える必要があることを指摘しました。
全国原告団・弁護団は、被害者を置き去りにしたまま、製薬企業が国に不当な圧力を掛けようとした経緯を明らかにすべく、さらなる働きかけを続けていきます。
どうか引き続きご支援下さい。