HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・弁護団は、薬害根絶デーである2021年8月24日に、田村憲久厚生労働大臣及び大西真厚生労働省ワクチン評価小委員会委員長にあてて、9価HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の定期接種化に反対する意見書を提出しました。
全文は以下のとおりです。なお、この意見書で引用した「HPVワクチンの真のファクト〜9価HPVワクチン(シルガード9)ファクトシートの問題点」は、こちらからご覧いただけます。
2021(令和3)年8月24日
厚生労働大臣 田村 憲久 殿
厚生労働科学審議会予防接種ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会
委員長 大西 真 殿
HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
代表 酒井 七海
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団
共同代表 水口 真寿美
共同代表 山西 美明
9価HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の定期接種化に反対する意見書
意見の趣旨
9価HPVワクチン(シルガード9)を、予防接種法上の定期接種として用いることに反対いたします。
意見の理由
MSD社の9価HPVワクチン(シルガード9)が、2020年7月21日に薬事承認され、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会(以下、「ワクチン小委員会」と表記する)では、このワクチンを定期の予防接種に用いることの是非について検討しています。
日本におけるHPVワクチンとしては、それ以前に、MSD社のガーダシル(4価HPVワクチン)、グラクソ・スミスクライン社のサーバリックス(2価HPVワクチン)が承認されており、いずれも2013年4月に定期接種ワクチンとなりましたが、深刻な副反応を理由として、定期接種化からわずか約2ヶ月後の同年6月に積極勧奨が中止されました。これらのHPVワクチンの副反応の特徴としては、頭痛、全身の疼痛、光過敏、音過敏、嗅覚障害、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な副反応が一人の患者に重層的に表れることが報告されています。
このような2価及び4価HPVワクチンの問題点及び新たに承認された9価HPVワクチンにおいてもその問題はまったく同様であることは、別添「HPVワクチンの真のファクト〜9価HPVワクチン(シルガード9)ファクトシートの問題点」に整理したとおりです。
要約すれば、以下のとおりです。
・ 日本において、若年女性の子宮頸がん罹患率及び死亡率が上昇しているという疫学状況は存在せず、HPVワクチンの必要性が高いとはいえません。
・ HPVワクチンの有効性としては、未だに前がん病変の予防効果が証明されているに過ぎず、子宮頸がんを予防する効果は証明されていません。むしろ、HPVワクチンをワクチンプログラムに組み込んで以降、かえって子宮頸がんの罹患率が上昇した国もあります。
・ HPVワクチンの危険性については、日本国内及び国外においてエビデンスが集積されつつあります。9価HPVワクチンは、日本で多数の副反応被害を発生させた4価HPVワクチンと基本成分や設計を同じくするものであり、L1タンパクやアジュバントの含有量は4価HPVワクチンの2倍です。臨床試験においても、重篤な副反応が4価HPVワクチンの約2倍報告されています。9価HPVワクチンの危険性の大きさは明らかです。
・ HPVワクチンによって生じた健康被害に対する治療方法は確立しておらず、被害者たちの多くは今も深刻な副反応症状に苦しんでいます。
・ 9価HPVワクチンの費用対効果が良好だとするファクトシートの評価は、ワクチンの有効性や持続期間等多くの不確定要因の上に成立しているものであり、かつ、副反応被害による費用を計上しない不完全なものです。その一方、9価HPVワクチン接種よりも検診強化の方が費用対効果に優れていること、検診率が向上した場合、9価HPVワクチンの費用対効果は悪化することが示されています。
医薬品が承認されるためには、有効性及び安全性の要件を充たすことが必要です。ワクチンを定期接種として、その接種を政策的に推進するにあたっては、承認の要件としてのレベルを超えた、より高い有効性と、より高い安全性が求められます。
上記のようなファクトを踏まえれば、9価HPVワクチンに、定期接種ワクチンに求められる、より高い有効性も、より高い安全性も備わっていないことが明らかです。
自分たちと同じような被害を繰り返さないでほしい、それが被害者の願いです。
現実に発生し、しかも、いまだ救済されていない副反応被害を置き去りにしたまま、新たな被害を生むことが予測される9価HPVワクチンを定期接種として用いることは、絶対に許されません。
以上