HPVワクチンの勧奨中止から8年を迎えるにあたって厚生労働大臣に要請書を提出したことについて、本日、名古屋の司法記者クラブにおいても名古屋原告団・弁護団による会見を行いました。
会見には名古屋原告9番さんが出席して、接種から10年ちかくにわたって重い副反応症状に苦しんできたことを記者のみなさんに伝えました。
令和3年6月10日
HPVワクチン薬害名古屋訴訟 原告9番
本日はお忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございます。
私は現在22歳で週3回、事務系のアルバイトで生活してます。ご縁があり、卒業した専門学校に雇っていただいていますが、ここ半年ほどは強い倦怠感や異常な不安感、全身の力が抜けるなどの様々な症状で、まともに出勤ができていない状況です。
中学1年生の時、市から無料接種の案内が届きました。実費だと数万円かかるため、自治体が勧めているなら打たないとという気持ちで接種しました。
中学1年生の3月に3回目のワクチンを接種した後、半月後に筋肉に異常が現れ始めました。約半年間は腰痛が治らず、原因不明のまま腰を90度に曲げて生活しており、痛みに耐えられず学校も早退や休みを繰り返していました。所属していた剣道部に復帰することを諦めざるを得えませんでした。
3回目接種から1年半後の3年生の秋頃より、下半身に突発性の疼痛が始まりました。急に予測不能な場所の骨をドリルで深く掘られるような痛みや、血管にガラスの破片が流れるチクチクした痛みが出始めました。下半身から上半身、顔、頭と徐々に範囲が広がり、3ヶ月後には頭を刺すような痛みの後に全身脱力を起こし救急搬送。下半身脱力のまま入院、3ヶ月ほど足が動かず車いすのまま中学の卒業式を迎えました。
高校1年生の5月頃から突然全身脱力で頻繁に倒れ、6月頃からは船酔いのような倦怠感や過眠症不眠症などが出始めたため学校に通うことができませんでした。突然、手が浮腫み動かせなくなるため、テストの際に答えが解っているのに解答用紙に書くことができず、0点を取ったこともありました。単位がギリギリのため、保健室で休む際には学校の規定の出席時間が足りるようタイマーをかけて横になる時間を計算し、無理にでも教室に入るという分刻みの努力でなんとか卒業することができました。
専門学校に入学し、体調が良い時にはアルバイトにも挑戦しましたが、常に頭の回転が鈍く、1つのことで精一杯で常に気が気ではありませんでした。注文を書く際、症状で時折ひらがなが書けないことがあるため”あいうえお表”を作成したり、ひどい時には”10円玉が10枚で100円”という当たり前の事さえ理解できず、お客様の前で誰にも相談できない…という思いを抱えながら時間を過ごしていたこともしょっちゅうです。
アルバイトの面接の際、体調不良で突然出勤できなくなる可能性があることを伝え、それでも受け入れくださる場所を自ら探しました。それでも、欠勤すると明らかに嫌な顔をする店、体をゆっくり休めてと優しい言葉をかけながら制服をすべて返すように促す店。融通がききやすいコールセンターでさえも、1か月以上出勤がないと…と実質クビになりました。
就職活動をする時期になっても私は何も動くことができず、障害者枠での就職を目指すために障害者手帳を取得しました。障害者対象の就職フェスに行きましたが、人事の方に突然倒れることがあると伝えた途端に顔が険しくなり、結局どこにも採用されませんでした。
現在は時期により波があり、交感神経が高ぶりすぎて常に体も心も緊張しっぱなしの時期もあれば、副交感神経が高ぶりすぎて、ずっと寝たきり無気力の時期もあります。ある時は常に異常に不安を感じ、言葉が幼児のようになりながら、母がいないと大粒の涙をながしながらアンパンマンのぬいぐるみを抱いているときもあります。距離感覚の異常や全身疼痛、理解力の低下や極度の不安、横になっていても船酔いのような感覚もあります。
事務職としてアルバイトをしていますが、体調が悪い日には出勤できないため、周りに迷惑がかかってしまう罪悪感と、毎月の不安定な給料明細を見るたびに将来に不安を覚えます。親がいなくったらどうするのだろう。妹は就職しているのに私は何をやっているのだろう。少女という年齢でもなくなり焦っています。
どれだけ楽しいことがあっても、痛すぎて辛すぎて、今死んだら逃れられるかなと思うこともあります。でも何とか気を紛らわせて、周りの人に助けられながら生きています。
今の私たちに確立された治療法はなく、保険外治療を選択することも多く、費用や交通費などの経済的負担が大きいのが現状です。私は人生の約半分この症状に苦しめられています。この先も治る気配がありません。それなのに、国や製薬企業は被害を認めようともしてくれません。これまでにいくつも病院を受診しましたが、中には精神的な問題だと責められ、母に「お母さん、娘さんの悩みに気づいてあげないと」と、まるで私に悩みがあるかのように、母が私のことを見ていないように決めつけられて憤りを覚えました。国が定めたHPV被害の指定病院も受診したことがありますが、猫背が原因だからストレッチしてくださいなどといわれるばかりで、脚が動かないにも関わらず全く相手にしてくれませんでした。
医療に携わっている方には是非、力を貸していただきたいです。症状の原因究明、治療法の研究を進めてもらいたいです。
お話したことは私一人の体験談ですが、被害者の数だけ同じような辛いエピソードがあるということです。同じような被害者がさらに増えることには耐えられません。
ご自身の娘さんやお孫さん、大切な方に置き換えて考えていただきたいです。このワクチンを接種してから私のようにずっと体調が回復しないままの人がいるということを知っていただくだけでも十分です。そして、少しでも多くの大切な方が被害に遭わずに済むことで、私は今日勇気を出してお話してよかったな思えると思います。
最後まで聞いていただいてありがとうございました。