勧奨中止8年 九州原告による記者会見

 HPVワクチンの勧奨中止から8年を迎えるにあたり、HPVワクチン薬害訴訟九州原告団・弁護団は、2021年6月10日、福岡県弁護士会館にて、記者会見を行ないました。
 記者会見では、まず、九州弁護団代表の小林洋二弁護士より、厚生労働大臣への要望書提出を報告しました。


 続いて、原告団からの被害の実情を説明しました。

 

 九州原告団代表の梅本邦子さん(九州原告1番母)は、「コロナ禍の中、外出や医療機関の受診が制限され、遠隔地からの通院ができず、自宅で症状をやり過ごしている原告がたくさんいる。被害を知ってもらい、なぜ積極勧奨が中止とされているのかを理解してほしい。」と訴えました。


 九州原告10番さんはZoomを通じて参加し、「仕事や通学ができず、自宅で過ごしている。家族の助けがなければ生活することができず、夢を諦めざるを得なかった。同世代は大学の卒業を控えている。私は日々を生きるので精一杯。私はただ、がんを防ぎたかっただけなのに。メディアの皆さんには平等な情報提供をお願いしたい。」と話しました。

 九州原告番号7番さんもZoomを通じて参加し、「毎日ほぼベット上で生活している。『助けてほしい』という思いで進んできたが、何も変わらないまま10年が経ってしまった。1日も早く治療法が確立し、同世代と同じような生活がしたい。」と語りました。

 ビデオメッセージで参加した九州原告1番の梅本美有さんは、「4月から障がい者枠のあるところに就職したが、8年経っても多様な症状が頻繁に現れる。私たちの被害は過去のものではなく現在も続いているものだということを知ってほしい。」と話しました。

 九州原告13番さんは、ビデオメッセージで、「正社員として就職することが叶わず、1年間フリーランスとして働かざるを得なかった。現在は、会社を起業し、被害者を支援できるような仕組みづくりを目指している。」と力強く訴えました。

 その後、九州弁護団の中山篤志弁護士より、福岡市に対するホームページ記載問題に関する申入れの報告がありました。

 全国弁護団の調査によると、政令指定都市・道府県庁所在地・東京23区の合計74自治体のホームページのうち、91.9%にあたる68の自治体では積極勧奨中止に関する情報に言及がある一方で、福岡市を含む6自治体(福岡市のほかは、青森市、金沢市、長崎市、川崎市、東京都中央区)では積極勧奨中止に関する情報に言及がありませんでした。
 そこで6月9日に九州訴訟原告団・弁護団は、福岡市役所を訪問し、ホームページにおいて積極勧奨中止に関する情報に言及するよう改善を求めました(その結果、すでに福岡市はホームページの記載を修正し、国が勧奨を中止している旨を明記するようになりました)。

 記者会見の結びでは、小林洋二弁護士より、インターネット上での被害者に対する心無い誹謗中傷の実態についても言及がありました。こうした偏見や中傷をなくすためにも、HPVワクチンによる副反応被害についてより広く知ってもらうような中立公正な報道が望まれます。

 

 会見に集まって下さったメディアの皆様には、あらためて御礼を申し上げます。どうか引き続きご支援下さい。