HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は、全国の主要自治体のホームページにおいて、国が今もHPVワクチンの積極的接種勧奨を中止していることについての情報の提供状況を調査しました。
この調査は、国がHPVワクチンのリーフレットを改訂して積極的接種勧奨の中止が読み取れる情報を削除した上で、全市区町村に対し、HPVワクチンの定期接種対象者に対する個別通知による「情報提供」を行うことを要請していることに対して、主要な自治体がどのような対応をとっているのか、その実情を確認することを目的としたものです。
調査は、2021年5月30日に政令指定都市・道府県庁所在地・東京23区(合計74自治体)のホームページを閲覧する方法で行いました。
その結果、これらの主要な自治体の91.9%では、ホームページにおいて、国による積極的勧奨中止の事実を中止している旨を明記していることを確認できました(74自治体中68自治体)。
明記がないのは、青森市・金沢市・福岡市・長崎市・川崎市・中央区。
金沢市のHPには、「保護者の方は、この説明書をよく読んで、接種回数や他の予防接種との接種間隔を守った上で、接種期限内に予防接種協力医療機関において接種を受けるようにしてください」という接種を推奨する文言が記載されていました)。
調査結果の詳細はこちらの報告書でご覧いただけます。
この調査結果は、主要な自治体の多くが、国がHPVワクチンの積極的接種勧奨を今も中止しているという情報を、定期接種対象者に対して積極的に伝える必要があると認識していることを示しています。
国によるHPVワクチンのリーフレット改訂の問題点については、昨年7月28日の意見書において指摘したとおりですが、今回の調査によって、現行のリーフレットには、実際に定期接種を行う立場の自治体の大半が伝えるべきと考えている重要な情報が欠落しているという重大な欠陥が認められることが一層明確となりました。
こうしたリーフレットの重大な欠陥によって、問題意識の乏しい一部の自治体に居住する定期接種対象者には、国がHPVワクチンの積極的な接種勧奨を中止しているという重要な情報が提供されないという格差がもたされています、極めて不当です。
当弁護団は、引き続き、国が現行のHPVワクチンリーフレットを撤回するよう強く求めるとともに、全国の市区町村に対しては、定期接種対象者に対してHPVワクチンの危険性を含めた正しい情報を提供するよう呼びかけていく予定です。
2021/06/11追記
報告書添付の一覧表の中で、高知市の記述引用内容について誤記がありましたので訂正しました。集計結果に訂正はありません。