東京訴訟期日のオンライン報告会を開催しました

オンライン報告会で発言する望月瑠菜さん(HPVワクチン薬害訴訟東京原告団副代表)
オンライン報告会で発言する望月瑠菜さん(HPVワクチン薬害訴訟東京原告団副代表)

 2020年9月24日(木)18時から、東京訴訟の期日報告会が開催されました。

 従来は会場を用意して行っていましたが、今回は東京期日では初めてのオンライン集会となりました。

 まず、全国弁護団代表の水口真寿美弁護士から、この日裁判所との間でオンラインで行われた東京訴訟期日の簡単な報告を行った上で、厚労省が進めようとしているHPVワクチンの接種勧奨に等しいリーフレットの改訂が進められているという問題について解説を行いました。

 次に、東京弁護団事務局長の関口正人弁護士から、今回原告から提出した準備書面の概要を説明しました。特に名古屋市調査については、解析方法の誤りを指摘した2つの重要な論文を引用しつつ、スライドを用いて詳しく解説を加えました。

 続いて東京原告団副代表の望月瑠菜さんからは、山梨県の自宅から、全国各地からオンラインで参加した大勢の支援者のみなさんに、近況を報告しました。

 困っていることとして望月さんがあげた点は、症状が完治しておらず今も苦しんでいること、治療法が早く確立されてほしいこと、自分たちワクチンの被害者ががんを広げようとしているかのような誤解や偏見を持たれていることなどです。

 こうした日々の苦しみの中にいるにも関わらず、望月さんは、不安に感じている多くの被害者が悩みを共有できる場を作りたい、裁判の活動を通じて人のやさしさを感じることが多くなったので、こうしたやさしさを今度は自分から他の人に伝えられるように山梨での活動を続けていきたい、というとても前向きなメッセージを、感謝の気持ちとともに支援者のみなさんに伝えました。

 望月さんに続いて、東京原告62番さんからも、来場者にメッセージを伝えました。

 62番さんは、体を起こすことも難しいほど体調がすぐれない中、羞明症状対策のためのサングラスを着用し、横になった状態で、自身の被害を画面越しに語りました。

 HPVワクチンを接種した後から、以前はできたはずの学校での勉強やピアノの演奏ができなくなったこと、歩行困難等の症状も出てきたこと、高次脳機能障害という診断がなされるまで4年という長い時間がかかったこと。そして、今日、こうした話をする上でも、途中で言葉が出てこなくなり、詰まってしまうこと。

 そうした被害状況を語った62番さんは、ゆっくりと落ち着いた声で、言葉を1つ1つ探しながら、医師になるという夢を実現するために早く治療ができるようになって大学に行けるようになりたい、そして、今は大学に通うことが無理でも今できることを精一杯やっていきたいと考えていることを、参加者に説明しました。

 全国各地から参加して下さった支援者からも、順にご発言をいただきました。
 沖縄のわたなべゆうこさんからは、闘病には肉体的、精神的なつらさがあるが、頑張ってほしい、最近自身がyoutubeを始めて、HPVワクチンの問題も発信しているので、ぜひ見てほしい、という応援のメッセ―ジがありました。

わたなべゆうこさん
わたなべゆうこさん

 九州原告の母である梅本邦子さんからは、他の薬害を経験してきた先輩被害者のみなさんから「楽しく参加できる裁判は勝つことができる」とアドバイスを受けたというエピソードが披露され、早く治療法が確立することを信じながら、いただいたアドバイスのような訴訟活動を続けていきたいとの決意表明がありました。

梅本邦子さん
梅本邦子さん

 名古屋訴訟の支援ネットワーク代表世話人である長南謙一さんからは、名古屋周辺での活動に留まらず北陸方面でのウェブ学習会を企画中であり、今後も各地の支援ネットワークと協力しながら、原告さんとその家族を支えていきたい、というご発言をいただきました。

長南謙一さん
長南謙一さん

 薬害エイズ被害者でもある北海道の井上昌和さんからは、薬害は薬が起こすものではなく人が起こすものであり、これ以上被害者も加害者も生まれないようにしたいと願っている、これからもZoomによるミーティングや映像の配信などの工夫をこらしながら支援活動を広げていきたいと考えている、というメッセージをいただきました。

井上昌和さん
井上昌和さん

 HPVワクチン東京訴訟支援ネットワークの代表である隈元邦彦さんからは、今日のオンライン報告会を通じて、あらためて被害者の声を聴くことの大切さを強く感じたことを、参加者のみなさんに伝えた上で、これまでにも山梨や静岡でウェブ学習会を開催しており、今後も原告さんの声を直接聞く機会を作っていきたいというお言葉をいただきました。そして、今後の予定としては、2020年10月25日(日)の第4回東京支援ネットワーク総会の折りには、メッセージカードの入ったマスクを街頭で配布したり、今後の支援活動のさらなる発展に向けて支援者同士て徹底討論できるようなシンポジウムを行う予定であることも、アナウンスいただきました。

配布予定のマスクを手にした隈本邦彦HPVワクチン東京訴訟支援ネットワーク代表
配布予定のマスクを手にした隈本邦彦HPVワクチン東京訴訟支援ネットワーク代表

 最後に、東京弁護団の服部功志弁護士から、情報発信を工夫しながら、これからも頑張っていきましょうとよびかけて、オンライン報告会は閉会となりました。
 東京期日では初めてのウェブ報告会でしたが、全国各地から59人の方の参加がありました。ウェブでの集会には多くの方が参加できるというメリットがあるので、今後も活用していきたいと思います。
 本日参加してくださった皆様に、あらためて心から御礼申し上げます。

 次回の東京期日は11月30日です。当日の予定などは、新型コロナ問題の情勢などを確認の上で2週間前にはお知らせできると思います。

 どうか今後ともご支援よろしくお願いいたします。