2020年7月30日、HPVワクチン薬害名古屋訴訟の期日が半年ぶりに開催されました。
本年1月23日に名古屋地裁大法廷で前回の口頭弁論を開催した後は、本来なら4月24日に口頭弁論が行われる予定でしたが、新型コロナウイルス問題の影響で中止となってしまいました。
残念ながら今回も大法廷で口頭弁論を行うことはできず、オンラインで代理人のみが参加して裁判所と協議をするという手続によって、裁判を進めることとなりました。
このように、原告本人の参加や支援者の方の傍聴が実現できないままとなったことは本当に残念ですが、原告団と弁護団は支援ネットワークと共同で、当日の午後6時よりオンラインでの報告会を開催しました。
こうしたオンライン報告会は、本年7月20日の九州訴訟期日後に初めて開催されましたが、名古屋では今回が初となります。当日は、東海北陸地域だけではなく、北は北海道から南は九州まで、全国各地の原告や支援者のみなさんにも画面上でお集まりいただき、大変活気のある報告会となりました。
オンライン報告会のメイン会場となった弁護団の事務所では、アクリル板を立てて飛沫対策を施した上、換気を確保するために窓を開け放った状態で報告会を進行しました。時折外から蝉時雨が聞こえる中ではありましたが、和気藹々とした雰囲気で各地からの参加者ともお話をすることができました。
今回のオンライン報告集会では、まず名古屋弁護団代表の堀康司弁護士より、4月期日は延期となってしまったものの、今回の7月の期日までの間に、6本の準備書面を提出するなど、着々と裁判手続を進めていることを解説しました。
続いて、全国弁護団共同代表の水口真寿美弁護士より、MSD社製の9価HPVワクチン「シルガード9」がこの新型コロナウイルス問題の渦中で承認されたことに対する抗議活動の経緯や、国がHPVワクチンのリーフレットの改訂案を副反応検討部会に提示して「情報提供を装ったアンフェアな接種勧奨」の実施を目論んでいることの不当性について、参加されたみなさんに解説を行いました。
参加された支援者のみなさんからも、今後の新しい形での支援活動に向けた決意や、各地での取り組みの実情などについて、順番に話していただきました。
お話の中では、6月13日には山梨在住の原告と支援者を中心として、また、7月11日には静岡在住の原告と支援者を中心として、それぞれ実施されたオンライン学習会の様子の紹介もありました。体調が悪いためにこうした集会にこれまで参加することが難しかった原告も、オンラインであれば学習会に参加して発言することが可能です。そのため、こうした学習会は、被害者の生の声を伝えるとても良い機会となっています。
名古屋訴訟原告の落合晴香さんも、自宅からオンライン報告会に参加して、近況を報告しました。
落合さんは、最近も体調が優れず、体の痛みがあることに加えて、考えをまとめたりすることが難しく感じられ、自分で話をしていても途中で話していることがわからなくなってしまうというような、HPVワクチン接種後にみられる認知障害・学習障害の症状に苦しんでいます。
そうした中でも、被害体験を社会に伝える活動を続けて来たことで、少しずつではあるけれども、理解してくれる人が増えてきていることを実感できていると語った落合さんは、新型コロナの問題はあるものの、こうした状況だからこそ出来ることを増やしていきたいという決意を、画面を通じて大勢の参加者に伝えました。
名古屋でははじめての試みでしたが、参加された方々からの暖かい声に励まされながら、盛況のうちにオンライン報告会を終えることができました。
次回の名古屋訴訟期日は2020年11月25日です。オンライン期日ですので裁判所での傍聴はできませんが、この日も午後6時30分から、今回同様のオンライン報告会を開催する予定です。
また、次々回の名古屋訴訟期日は2021年2月8日14時から、名古屋地裁大法廷で開催される見込みです。
弁護団では、これからも様々な工夫を凝らしながら裁判の状況を皆様にお伝えしていきたいと考えておりますので、是非、ご参加いただけますようご予定下さい。