9価HPVワクチン(シルガード9)が承認されたことに対し、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・弁護団は、本日、以下のとおりの声明を公表しました。
2020(令和2)年7月22日
HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
代 表 酒井 七海
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団
共同代表 水口真寿美
共同代表 山西 美明
<連絡先> 千代田区二番町12番地13 セブネスビル3階
樫の木総合法律事務所内 電話03(6268)9550
https://www.hpv-yakugai.net/
9価HPVワクチン(シルガード9)承認に関する声明
MSD社の9価HPVワクチン(シルガード9)が、7月21日付で薬事承認されたことが公表されました。
日本におけるHPVワクチンとしては、それ以前に、MSD社のガーダシル、グラクソ・スミスクライン社のサーバリックスが承認されていますが、これらによって、頭痛、全身の疼痛、光過敏、音過敏、嗅覚障害、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な副反応が一人の患者に重層的に表れることが報告されています。
重篤な副反応報告は他のワクチンと比べて圧倒的に多く、その深刻さは、副作用被害救済制度において障害年金の対象となる障害(日常生活が著しく制限される程度の障害)の認定数(100万人あたり)が、他の定期接種ワクチンの死亡及び障害の認定数の約15倍であるということにも示されています(別紙1及び2)。
承認から10年近くを経過した現在においても、どのような人に発症するかは分からず、治癒が期待できる有効な治療法はありません。国は協力医療機関を公表していますが、被害者が安心して受診できる医療機関は乏しく、差別的な対応をされる例が後を絶ちません。救済制度も十分には機能していません。医療機関から申請に必要な協力を得られないケースや、申請しても、認定までに長期間を要した挙げ句、判定不能等として給付が受けられないケースが多数存在しています。また、認定を受けられたとしても多くは医療費(あるいはその一部)のみであり、深刻な被害に対する補償としてきわめて不十分です。
接種者の多くは2010年から開始された国の緊急促進事業(公費助成)によってHPVワクチンを接種し、成人となる年代を迎えていますが、進学や就職も満足にできず、先の見えない不安を抱えながら、もう10年もの間、辛い症状に耐え続けています。
シルガード9は、その基本的成分や設計をガーダシルと同じくしています。しかも、副反応の原因である可能性が指摘されているウイルス様粒子(L1タンパク)およびアジュバントの量はいずれもガーダシルの2倍であり、日本に先立ってシルガード9を承認している国では、サーバリックスやガーダシルと同様、深刻な副反応に苦しむ被害者が多数生まれています。
そもそも、HPVワクチンが子宮頸がんを予防する効果は実証されておらず、ワクチンの効果の持続期間も限定的です。一方、子宮頸がんは検診による早期発見・早期治療により治癒が可能です。ワクチンには治療薬よりも高い有効性と安全性が求められます。有効性が不確実で、深刻な被害を生むHPVワクチンを承認しなければならない理由は見いだせません。
自分たちと同じ被害を繰り返さないで欲しい、それが被害者の願いです。既に承認されているHPVワクチンの被害者の治療と救済を置き去りにしたまま、新たな被害を生むことが明らかなシルガード9を承認したことに強く抗議します。ましてや、今後、シルガード9を定期接種化することなどあってはなりません。
私たちは、引き続き、訴訟を通じて企業と国の法的責任を明らかにし、被害の全面救済、治療法の開発、医療体制の整備などの恒久対策の実現、被害の拡大の防止を求めていく所存です。
以上