「HPV(子宮頸がん)ワクチン薬害被害者の語り in 静岡」を開催しました

 2020年7月11日(土)14時から、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会静岡県支部主催、HPVワクチン東京訴訟支援ネットワーク共催によるオンライン学習会「HPV(子宮頸がん)ワクチン薬害被害者の語り in 静岡」が開催されました。被害者を交えてのオンライン集会は、今年5月に山梨で行われた集会に続く2回目の開催となります。

 当日は、参加した被害者の方々の語る被害の実情に、皆で耳を傾けました。以下、その様子をご報告申し上げます。

 静岡の被害者である町塚さんの母は、娘さんの症状について報告しました。

町塚さん(左)と母
町塚さん(左)と母

 町塚さんは、高校1年でHPVワクチンの接種を受けました。その約1年後、不自然に倒れるという症状が現れたが、医師からは胃腸炎と診断され、十分な診療を受けることができませんでした。こうした問題が放置されたまま、現在、静岡県では複数の自治体がHPVワクチン接種を勧める案内がなされていることについては、被害者の母として問題であると感じているということでした。

 そして、町塚さん本人からも、副反応が発生したとしても補償が受けられるとは限らないのに、そのことをきちんと説明しないまま、ワクチン接種を勧めていることについて、疑問に感じるとする発言がありました。

 被害者連絡会静岡県支部の塩澤美恵さんは、静岡県では接種者が増えていること、副反応被害のことを知らない人が増えていること、被害者である娘さんが受診した病院では、副反応とは認められないとして副反応報告を拒絶されたこと等が報告されました。

塩澤美恵さん
塩澤美恵さん

 他の被害者の方からも、安全なワクチンだからと説明されて、医師からHPVワクチンの接種を勧められ、2回目のワクチンを接種する際には、1回目に接種した時には問題なかったと問診表に記載するよう医師から指示されたことや、2回目の接種後には、全身を虫が這うような違和感や不随意運動、さらにはペンを持てない、簡単な足し算・引き算ができない、眠気のために授業中起きていられない、感覚過敏で電車に乗れない、といった症状まで現れ、こうした症状のために進学校だった高校を退学せざるを得ず、今も将来の見通しが立たないという不安を抱え続けていることが報告されました。

 また、都道府県が指定する協力医療機関へ行っても治療を受けられない、そもそも医師自身が協力医療機関であることを認識していないといった、今なお医療体制が不備であることへの指摘もありました。

森あかねさん
森あかねさん

 今年2月の国会院内集会でも登壇して発言した森あかねさんからは、HPVワクチンを接種した後、目にもやがかかっているような症状が現れて医療機関を受診したものの、ワクチンの副反応かもしれないと説明しても医師がきちんと診察してくれず、症状が出てから3年後に至って視力は戻らないと診断されたという具体的な被害経過の報告がありました。

 回復困難であることを知ってショックを受けた母の様子を語る森さんの言葉からは、被害者とその家族がHPVワクチンの副反応によって深刻な被害を被っている実情を、改めて痛感させられました。

 HPVワクチン薬害名古屋訴訟の原告である落合晴香さんからは、HPVワクチン接種を受けてから、さまざまな症状を経た後、高校3年ころになると学習障害のために学力も急激に低下する中で、突然意識を失った際、目が覚めると過去19年間分の記憶を失っていることに気がつき、家族の支えの下で名前や生年月日は覚え直したものの、今も意識喪失前の記憶を取り戻すことができていないという、認知障害等にも及ぶ深刻な被害状況の報告がありました。落合さんは、こうした症状のために留年を余儀なくされましたが、努力を重ねて高専を卒業し、現在は医療機器を扱う会社に就職し、仕事の上でも薬や医療機器の安全性について勉強を重ねているとのことでした。

落合晴香さん
落合晴香さん

 HPVワクチン薬害東京訴訟の原告であり、全国原告団の代表でもある酒井七海さんからは、入院を繰り返す中で、2020年3月に大学を何とか卒業したものの、障害を持ちながら就労を継続することはとても難しいため、現在は大学院で社会福祉の研究に従事しているという近況報告がありました。酒井さんは、当日のオンライン報告会の参加者のみなさんに対して、自分の置かれている立場から社会のことを考えることで、社会を変えていきたいと願っているというメッセージを伝えました。

酒井七海さん
酒井七海さん

 主催者からは、こうした学習会を通じて被害者の声を聞き、HPVワクチンの問題点の理解を深めることがとても大切であり、これからも今回のような活動を広げていきたいと考えていることを、参加されたみなさんに伝えて、オンライン学習会は閉会となりました。

 今回のオンライン集会も、多くの方にご参加いただいて、とても良い会合になったと感じました。弁護団としても、引き続き支援ネットワークのみなさんと連携しながら、HPVワクチン薬害の被害者の声をより多くの方に伝えていきたいと思います。
 本日参加して下さった皆様に、心からの御礼を申し上げます。
 どうか今後とも、HPVワクチン薬害訴訟をご支援下さい。