2020年6月19日、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・弁護団は、MSD社の9価HPVワクチン「シルガード9」の承認を前提とした生物学的製剤基準・検定告示の改正についてパブリックコメントの募集がなされたことに対し、シルガード9を承認すべきでなく、これらの改正も行うべきではないとする意見を厚生労働省に提出しました。
緊急事態宣言中に持ち回りで行われたシルガード9の審議の不当性については、こちらも是非ご覧下さい。
2020(令和2)年6月19日
HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
代 表 酒井 七海
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団
共同代表 水口真寿美
共同代表 山西 美明
<連絡先> 千代田区二番町12番地13 セブネスビル3階
樫の木総合法律事務所内 電話03(6268)9550
https://www.hpv-yakugai.net/
HPVワクチンに関する
「生物学的製剤基準の一部を改正する件(案)について」
に対する意見
意見の趣旨
シルガード9は承認すべきではない。
したがって、本案にかかる生物製剤基準の改正は行うべきではない。
意見の理由
1 これまでの経過
意見募集の対象である「生物学的製剤基準の一部を改正する件(案)について」は、MSD社の9価HPVワクチン「シルガード9」を承認することを前提に、生物学的製剤基準に「組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)」の条を追加するものです。
シルガード9については、新型コロナウイルス問題にかかる緊急事態宣言発令中の本年4月15日、厚労省が、薬事食品衛生審議会医薬品第二部会における審議をWeb会議および電子メールを用いた持ち回り審議をもって審議することを発表しました。
承認申請から5年近くの審議が行われてきたシルガード9の承認については、あえて緊急事態宣言が出されている最中に薬事食品衛生審議会の審議を行うべき緊急性はなく、私たちは、厚生労働大臣に対し、シルガード9の承認に反対するとともに、より慎重な審議を求める意見書を提出しました。
そして、5月23日に本意見募集がなされるに至っています。
2 シルガード9の承認について
(1)日本におけるHPVワクチンとしては、既にMSDのガーダシル、GSKのサーバリックスが承認されていますが、これらによって、頭痛、全身の疼痛、光過敏、音過敏、嗅覚障害、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な副反応が一人の患者に重層的に表れることが報告されています。その深刻さは、他の定期接種ワクチンと比較したデータからも明らかです(別紙1、2)。
そして、承認から10年近くを経過した現在においても、どのような人に発症するかは分からず、治癒が期待できる有効な治療法はありません。被害者が安心して受診できる医療機関は乏しく、差別的な対応をされる例が後を絶ちません。接種者の多くは2010年から開始された国の緊急促進事業(公費助成)によってHPVワクチンを接種し、成人となる年代を迎えていますが、進学や就職も満足にできず、先の見えない不安を抱えながら、もう10年もの間、辛い症状に耐え続けています。
現在は、HPVワクチン接種の積極的勧奨が中止され、接種者数が激減していることにより、新規の副反応患者の発生もきわめて少なくなっていますが、この間、厚労省は、接種による副反応を防止しうる手段を何ら示しておらず、接種者が増加すれば新たな副反応患者も増加することが容易に予想されます。
(2)シルガード9は、ウイルス様粒子(L1タンパク)を主成分、アルミニウムをアジュバントとし、高い抗体価を長期に維持することを目的として設計され、その基本的成分と設計をガーダシルと同じくしています。しかも、副反応の原因である可能性が指摘されているウイルス様粒子(L1タンパク)およびアジュバントの量はいずれもガーダシルの2倍となっており、臨床試験では、ガーダシルよりも有害事象が増加していることが指摘されています。
したがって、シルガード9においても、ガーダシルと同様の副反応が生じることは容易に推測でき、現にシルガード9を先だって承認している国では、深刻な副反応に苦しむ被害者が多数生まれており、その副反応症状はガーダシルと異なりません。
そもそも、厚労省は、これまでにわが国で発生した副反応の十分な調査・検討を行っていません。HPVワクチンの副反応の検討は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会および薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議において行われてきましたが、合同会議は、いまだ副反応についての十分な情報が得られていなかった2014年1月の会議において、副反応は接種の痛みと痛みに対する不安が惹起する心身の反応(機能性身体症状)であるとの見解をまとめると、それ以降現在までに数多く発表されたわが国の研究者による副反応患者の研究報告を全く審議していません。また、合同会議には、障害認定された患者を含む多くの重篤な患者の詳細な情報が報告されず、審議されないままとなっています(別紙3「HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の審議に関する意見書」参照)。そして、合同会議において、副反応患者のヒアリングが行われたこともありません。
このように、既存のHPVワクチンによる副反応の検討も十分に行わず、安全性を確認しないまま、さらなる危険性も危惧されるシルガード9の承認を急ぐ厚労省の姿勢はきわめて不当です。
自分たちと同じ被害を繰り返さないで欲しいということが、被害者たちの願いです。既に承認されているHPVワクチンの被害者の治療と救済を置き去りにしたまま、新たな被害を生むことになる同種のHPVワクチンの承認を認めることはできません。
よって、シルガード9を承認することに強く反対します。
そして、シルガード9の承認審査については、「薬事分科会における確認事項」(平成13年1月23日薬事分科会確認)に基づき、本剤は「副作用等からみて慎重に審議する必要がある」ものとして薬事分科会の審議対象とするとともに、「社会的関心の極めて高いもの」として、主要な資料の概要を公表した上でパブリックコメントを実施すること、及び副反応被害者や研究者も参加する公開の検討会を開催することを求めます。
以 上
2020(令和2)年6月19日
HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
代 表 酒井 七海
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団
共同代表 水口真寿美
共同代表 山西 美明
<連絡先> 千代田区二番町12番地13 セブネスビル3階
樫の木総合法律事務所内 電話03(6268)9550
https://www.hpv-yakugai.net/
HPVワクチンに関する検定告示の改正案に対する意見
意見の趣旨
シルガード9は承認すべきではない。
したがって、本案にかかる検定告示の改正は行うべきではない。
意見の理由
1 これまでの経過
意見募集の対象である検定告示の改正は、MSD社の9価HPVワクチン「シルガード9」を承認することを前提に、検定告示に「組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来)」 を 追加するための改正です。
シルガード9については、新型コロナウイルス問題にかかる緊急事態宣言発令中の本年4月15日、厚労省が、薬事食品衛生審議会医薬品第二部会における審議をWeb会議および電子メールを用いた持ち回り審議をもって審議することを発表しました。
承認申請から5年近くの審議が行われてきたシルガード9の承認については、あえて緊急事態宣言が出されている最中に薬事食品衛生審議会の審議を行うべき緊急性はなく、私たちは、厚生労働大臣に対し、シルガード9の承認に反対するとともに、より慎重な審議を求める意見書を提出しました。
そして、5月23日に本意見募集がなされるに至っています。
2 シルガード9の承認について
(1)日本におけるHPVワクチンとしては、既にMSDのガーダシル、GSKのサーバリックスが承認されていますが、これらによって、頭痛、全身の疼痛、光過敏、音過敏、嗅覚障害、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な副反応が一人の患者に重層的に表れることが報告されています。その深刻さは、他の定期接種ワクチンと比較したデータからも明らかです(別紙1、2)。
そして、承認から10年近くを経過した現在においても、どのような人に発症するかは分からず、治癒が期待できる有効な治療法はありません。被害者が安心して受診できる医療機関は乏しく、差別的な対応をされる例が後を絶ちません。接種者の多くは2010年から開始された国の緊急促進事業(公費助成)によってHPVワクチンを接種し、成人となる年代を迎えていますが、進学や就職も満足にできず、先の見えない不安を抱えながら、もう10年もの間、辛い症状に耐え続けています。
現在は、HPVワクチン接種の積極的勧奨が中止され、接種者数が激減していることにより、新規の副反応患者の発生もきわめて少なくなっていますが、この間、厚労省は、接種による副反応を防止しうる手段を何ら示しておらず、接種者が増加すれば新たな副反応患者も増加することが容易に予想されます。
(2)シルガード9は、ウイルス様粒子(L1タンパク)を主成分、アルミニウムをアジュバントとし、高い抗体価を長期に維持することを目的として設計され、その基本的成分と設計をガーダシルと同じくしています。しかも、副反応の原因である可能性が指摘されているウイルス様粒子(L1タンパク)およびアジュバントの量はいずれもガーダシルの2倍となっており、臨床試験では、ガーダシルよりも有害事象が増加していることが指摘されています。
したがって、シルガード9においても、ガーダシルと同様の副反応が生じることは容易に推測でき、現にシルガード9を先だって承認している国では、深刻な副反応に苦しむ被害者が多数生まれており、その副反応症状はガーダシルと異なりません。
そもそも、厚労省は、これまでにわが国で発生した副反応の十分な調査・検討を行っていません。HPVワクチンの副反応の検討は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会および薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議において行われてきましたが、合同会議は、いまだ副反応についての十分な情報が得られていなかった2014年1月の会議において、副反応は接種の痛みと痛みに対する不安が惹起する心身の反応(機能性身体症状)であるとの見解をまとめると、それ以降現在までに数多く発表されたわが国の研究者による副反応患者の研究報告を全く審議していません。また、合同会議には、障害認定された患者を含む多くの重篤な患者の詳細な情報が報告されず、審議されないままとなっています(別紙3「HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の審議に関する意見書」参照)。そして、合同会議において、副反応患者のヒアリングが行われたこともありません。
このように、既存のHPVワクチンによる副反応の検討も十分に行わず、安全性を確認しないまま、さらなる危険性も危惧されるシルガード9の承認を急ぐ厚労省の姿勢はきわめて不当です。
自分たちと同じ被害を繰り返さないで欲しいということが、被害者たちの願いです。既に承認されているHPVワクチンの被害者の治療と救済を置き去りにしたまま、新たな被害を生むことになる同種のHPVワクチンの承認を認めることはできません。
よって、シルガード9を承認することに強く反対します。
そして、シルガード9の承認審査については、「薬事分科会における確認事項」(平成13年1月23日薬事分科会確認)に基づき、本剤は「副作用等からみて慎重に審議する必要がある」ものとして薬事分科会の審議対象とするとともに、「社会的関心の極めて高いもの」として、主要な資料の概要を公表した上でパブリックコメントを実施すること、及び副反応被害者や研究者も参加する公開の検討会を開催することを求めます。
以 上