9価のHPVワクチン(MSD社製シルガード9)に関する審議会の承認議決に対する抗議声明


2020(令和2)年5月22日

HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
代  表  酒井 七海
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団
共同代表  水口真寿美
共同代表   山西 美明
<連絡先> 千代田区二番町12番地13 セブネスビル3階
樫の木総合法律事務所内   電話03(6268)9550
https://www.hpv-yakugai.net/

声  明

 本日、厚生労働省より、MSD社の9価HPVワクチン(シルガード9)について、薬事食品衛生審議会医薬品第二部会において、5月20日付で承認を可とする議決がなされたことが公表されました。
 日本におけるHPVワクチンとしては、既にMSD社のガーダシル、グラクソ・スミスクライン社のサーバリックスが承認されていますが、これらによって、全身に及ぶ多様な症状が一人の患者に重層的に表れる深刻な副反応に苦しむ被害者が多数生まれており、HPVワクチン接種の積極的勧奨は中止されています。
 承認から10年近くを経過した現在においても、副反応がどのような人に発症するかは分からず、治癒が期待できる有効な治療法はありません。被害者が安心して受診できる医療機関は乏しく、差別的な対応をされる例も後を絶たず、被害者らは、先の見えない不安を抱えながら副反応症状と闘う毎日を送っています。
 9価HPVワクチンは、ガーダシルとその基本的成分と設計を同じくしており、日本に先だって本剤を承認している国では、ガーダシルやサーバリックスと同様、もしくはそれ以上に深刻な副反応に苦しむ被害者が多数生まれています。
 ところが、厚生労働省は、本剤を、新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由として、Web会議と併せて電子メールを用いた、所属委員のみでの持ち回りで審議することを決定しました。
 そこで、私たちは4月15日付の意見書(別紙)をもって、本剤の承認に反対するとともに、PMDAにおける審査に5年を要した本剤を、緊急事態宣言が出されている最中に、持ち回り審議という異例の方法で審議することに強く反対しました。
 にもかかわらず、厚生労働省が審議を強行したことは、不当という他はなく、ここに強く抗議します。
 また、「薬事分科会における確認事項」(平成13年1月23日薬事分科会確認)に基づき、本剤は「副作用等からみて慎重に審議する必要がある」ものとして薬事分科会の審議対象とするとともに、「社会的関心の極めて高いもの」として、主要な資料の概要を公表した上でパブリックコメントを実施すること、及び副反応被害者や研究者も参加する公開の検討会を開催することをあらためて求めます。
 私たちは、引き続き、訴訟を通じて企業と国の法的責任を明らかにし、被害の全面救済、治療法の開発、医療体制の整備などの恒久対策の実現、被害の拡大の防止を求めていく所存です。

以上


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