HPVワクチン薬害東京訴訟第13回口頭弁論期日が開催されました

 2020年2月26日、HPVワクチン薬害東京訴訟の第13回口頭弁論が開催されました。

 今回の口頭弁論では、原告56番さんによる被害実態についての意見陳述や、原告代理人である大木奈央子弁護士による意見陳述(被害の原因は心理社会的因子であるとする被告の主張に対する反論)を予定していました。
 しかし、新型コロナウイルスの問題から、期日を短時間で終了する方針が望まれることを踏まえて、裁判所との協議により、原被告双方の法廷意見陳述の実施は見送りとなりました。そのため、今回の口頭弁論は提出された書面の確認等事務的なものにとどまりました。

 残念ではありましたが、期日の前後に予定されていたリレートーク、報告集会等も弁護団の判断により中止としました。

 さて、今回の口頭弁論で原告は4本の準備書面を提出しました。

 

 原告第27準備書面は、被告が提出した専門家の意見書に関する主張書面です。専門家は、その意見書の中で、原告の症状が不定愁訴、機能性身体症状として説明できる、といった被告企業の主張に沿った意見を述べています。しかし、この専門家は被告MSDが提供する講演会で講師を務めるなど、被告MSDと経済的な関係があり、中立的な立場とはいえません。準備書面では、この意見書は本件訴訟で考慮されるべきではないと主張しています。
 
 原告第28準備書面は、緊急促進事業及び定期接種化に関する国の主張に対する反論書面です。国は、大阪訴訟において、ワクチンを定期接種とするためには原告が主張するような公衆衛生の必要性、有効性及び安全性が認められる必要があると認めました。しかし、国は緊急促進事業は単なる公費助成であると主張していることや、定期接種化の要件の内容については原告の主張をそのまま認めているわけではありません。準備書面では、そのような国の主張が誤りであると主張しています。
 
 原告第29準備書面は、ワクチンの接種と被害との間の因果関係に関する主張書面です。HPVワクチンの副反応被害については、様々な研究や報告がなされています。これに対し、東京や各地の原告の16名を例示して、まさに研究報告された症状と共通であることを示しました。準備書面では、以上のことからも、因果関係は明らかであると主張しています。

 
 原告第30準備書面は、原告の症状が心理社会的因子によるものである、という被告の主張に対する反論書面です。原告には自律神経・内分泌系から運動系といった多系統わたる症状が重層的に生じており、日常生活が困難になっている原告も数多くいます。心理社会的因子が原因だとすると、ここまで重篤な症状が生じるとは考え難いです。さらに、ワクチンの積極的勧奨が中止された後、新規の患者数が激減したことも、心因性を否定する理由となります。準備書面では、これらの主張をしています。
    
 次回の東京訴訟の口頭弁論期日は、2020年6月1日午後2時からです。ぜひ傍聴をよろしくお願いします。