2020年2月5日、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団と全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会は、子宮頸がんワクチンの副反応の実態を国会議員のみなさんにも知っていただきたいと願い、参議院議員会館講堂において、院内集会「-HPVワクチン知ってください!わたしたちの今」を開催しました。
会場には、国会議員21名、地方議会議員5名、国会議員秘書45名を含む約250名にお集まりいただくことができました。あらためてHPVワクチンによる副反応被害の問題に対する、社会の関心の高さを感じました。
集会の進行役は、HPVワクチン薬害東京訴訟原告平原沙奈さんの母である平原明美さんが担当しました。
最初に、HPVワクチン薬害東京訴訟原告の金澤佑華さんが、満員の会場で壇上に立ち、自身の想いを涙をこらえつつ、力強く訴えました。
「副反応の症状で大変だった時のことを思い出して言葉にすることは苦しいが、それでも頑張ろうと思うのは、元気になりたいから、見て見ぬふりをして欲しくないからです。」
「これ以上私と同じ思いをする人を増やしてほしくない、ワクチンをうつ前の、自分の足で歩けて、学校や仕事に行ける体になりたい。」
「接種勧奨中止から6年になりますが、被害が置き去りで接種勧奨の再開が議論されているように感じます。この機会に、ネットなどでは伝わらないわたしたちの本当の今を知っていただきたいと思います。どうか、私たちに力を貸してください。」
このように、金澤さんは、来場いただいたみなさんに被害者としての切実な願いを伝えました。
続いて、河村文弁護士(HPVワクチン薬害訴訟東京弁護団)が、「副反応症状と治療、生活の実態調査報告」と題して、今まさに原告らが置かれている状況を調査した結果を報告しました。
本件副反応は、運動障害、感覚障害、自律神経・内分泌障害、認知機能障害等様々な症状が、1人の患者に重なって出現するという特徴を有しています。
こうした症状のため、被害者は今も入通院を余儀なくされており、直近1年間に限ってみても、入院・通院治療を要した原告は113名と、全体の88%を占めています。接種勧奨中止から6年半以上が経った現在でも、未だに治療法は確立されておらず、被害者の苦しみは続いています。
彼女たちの社会生活への影響も大きなものとなっています。
今回の調査では、これまでに、副反応による症状のために進路変更を余儀なくされた原告は107名(84%)に達していることもわかりました。
中高生のころに接種を受けた原告は、すでに20歳を越える年代となっていますが、そもそも副反応症状のために就職自体が困難です。また、就職できても重篤な症状のために退職や転職を余儀なくされた原告も23名(18%)にも及びます。
こうした調査結果を、国会議員をはじめとする来場者のみなさんに説明した河村弁護士は、調査の際に自由記載として寄せられた「親がなくなったら自分の将来がどうなるか不安だ」「このままでは生活できない」といった原告からの声を紹介し、引き続きのご理解とご支援を呼びかけました。
全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会からは、森あかねさん(仮名)が登壇して、自身の症状や、副反応への無理解に対する苦しみなどについて、参加者に語りかけました。
森さんは、ワクチンを接種した直後からひどい頭痛などの症状に苦しめられるようになり、その後、自分の名字や生年月日すら思い出せないほどの記憶障害を来すなど、今も様々な症状に悩まされ続けています。
森さんがこうした症状に苦しんでいるのに、それまで2年近く受診していた産婦人科の医師からは「うちではもう診れません」と診断を断られ、他の病院でも「演技なんじゃないの。嫌なことでもあったんじゃないの」とまるで詐病であるかのように扱われてきました。
森さんは、こうした実際の体験に基づいて、HPVワクチンの副反応被害に苦しむ女性の置かれた実情を、来場者に伝えました。
そして森さんは、現在23歳となり、友人のほとんどが就職して仕事をしている中で、自分は家でじっとしていなくてはならないことに罪悪感を感じてしまうことや、勇気を出して友人に副反応症状のことを打ち明けても、ネットで嘘と書かれていたなどと言われて理解してもらえず、追い詰められた気持ちにならざるをえなかったことを、率直に語りました。
森さんに続いて、HPVワクチン薬害東京訴訟の原告の方(匿名)が登壇しました。
彼女は、HPVワクチンを接種した後、足の痛みや疲労感などの様々な症状に悩まされています。
しかし、彼女が国によって指定された協力医療機関を受診した際、当初は「普通に歩け。君、友達にいじめられてるね。」など心無いことを言われたことがありました。
その後、彼女は、こうした協力医療機関に5年以上通院して、勧められた認知行動療法にも取り組んできましたが、症状は治癒に至ることなく、今もなお副反応の症状に苦しんでいます。
彼女は、こうした被害者の現実を知ってほしいと願っていること、そして、HPVワクチンは国が導入を決め推奨したのだから、被害者をこれ以上置き去りにすることなく、しっかり話を聞いて元の体に戻してほしい、過去の時間は戻らないのだから、せめて未来の時間を奪わないで欲しいと願っていることを、力強く訴えました。
HPVワクチン薬害訴訟東京弁護団の小池純一弁護士からは、「新たな被害を防げるか」とのテーマで、HPVワクチンの積極的接種勧奨の再開が許されない理由を詳しく説明しました。
HPVワクチンの副反応報告の率は、他の定期接種ワクチンと比べて1桁違う非常に高い割合となっています。
また、副反応被害救済制度においても、HPVワクチン接種後の障害として補償対象とされた患者は、他の定期接種ワクチンの平均の15倍以上に達しています。
実際に、信州大学病院や鹿児島大学病院を受診した患者の推移を報告した論文では、接種勧奨が行われた時期に非常に多くの患者が発生し、勧奨中止後は新規患者が激減しているという相関性が報告されています。
このように、HPVワクチンが深刻な副反応被害を生み出していることは、すでに様々なデータからも裏付けられています。
しかし、厚生労働省の副反応検討部会には、実際の被害状況に関する情報が伝えられないままとなっています。現に130名を越えるこの訴訟の原告には、障がい者と認定された者が36名も含まれています。しかし、副反応検討部会に対し、重症例として扱われた原告はわずか19名に留まります。この19名以外の情報は、一覧表にごくわずかな経緯が記載されただけで、その詳細な情報は審議の前提とされていないのです。
あろうことか原告のうち16名については副反応検討部会に報告すらされていないままとなっています。
このように、副反応検討部会は、今なお被害実態を十分把握することができていません。
しかも副反応検討部会での議論を経て厚労省が作成した現行のHPVワクチンのリーフレットには、医師向けのリーフレットの上にはHPVワクチン接種後の認知機能障害(記憶障害等)に関する記載があるにもかかわらず、接種を受けようとする女性やその保護者向けのリーフレットには、接種後の認知機能障害に関する情報が記載されていません。
こうした問題の数々を来場者に解説した小池弁護士は、HPVワクチンの接種を国があらためて推し進めた場合、新たな被害者が出現することを防ぐことができないと考えられることを指摘し、厚生労働省は、まず何よりも被害実態を正しく把握することが必要であることを、来場者に訴えました。
今回の院内集会には、多くの国会議員の先生方にも登壇いただいて、被害者への共感の思いのあふれる激励のメッセージを数多く頂戴しました。
「被害者の声を直接聞くことから解決が始まると思っている。安易な接種再開の声があるが、被害者の状況について考えることが必要だと思う。」
「ワクチン接種による様々な被害については不勉強で、今日は勉強したいと思って来た。冒頭の被害者の方の涙が全てを物語っている。」
「癌になりたくないと思ってワクチンを打って、被害にあって、社会への参加が難しくなっている現状がある。苦しんでいる方、悩んでいる方が社会の中で認められ、救済されるためにはどうしたらいいのか、知恵を絞り国に要請を行っていきたい。」
「誰もが、治るため、予防するための薬によって害が起きるというのは予想していないが、その被害が想像以上であり、大変な痛さ、辛さがあるんだということを感じている。」
「副反応が起きないように検証していくべき、癌が起きないようにすることも検証する必要がある。これからの子供達のためにもしっかり取り組んで行く必要がある。」
HPVワクチン薬害問題に対して、多くの議員の方々に関心を示していただくとともに、このような多くの暖かいメッセージをいただけたことによって、被害者とその家族は、本当にうれしく、また心強く感じたことと思います。
今回の院内集会を通じて、被害者の抱える症状の苦しみや、治療法がない現状に対する切実な想いを、国会議員、地方議会議員の方々を含む大勢のみなさんと共有することができました。
こうした理解と共感の輪を、引き続き少しずつでも広げていきたいと思います。
どうか今後ともご支援下さい。