1月23日、HPVワクチン薬害名古屋訴訟の第13回期日が開かれました。
あいにくの雨模様のため、午前に予定していたJR名古屋駅前での街頭アピールを行うことはできませんでしたが、午後には大勢の支援者の方々に名古屋地方裁判所前に集まって下さいました。
今回は、1月14日に行った勉強会をきっかけにして、名古屋市立大学薬学部の学生の皆さんにも傍聴にお越しいただきました。HPVワクチンの問題に関心を持っていただいたことに、原告一同、とても励まされました。
当日の法廷では、サーバリックスやガーダシルに関する危険性を示す情報が、2010年12月に緊急促進事業が開始されるまで集積されていたことを説明しました。
日本では、HPVワクチンが2009年10月に承認されていましたが、2010年12月より、国が多額の費用を支出して緊急接種促進事業を開始したことによって、当時中高生だった女性の多数接種を受けるようになったため、被接種者は飛躍的に増加しました。そして重篤な副反応被害も飛躍的に拡大していきました。
このような緊急促進事業が開始される直前には、HPVワクチンであるサーバリックスの市販直後調査の結果からは、他のワクチンと比較して副反応報告の数が多いことが報告されていました。
また、緊急促進事業が開始されてからわずか数ヶ月後に開催された厚労省の会合には、HPVワクチンによる重篤例の一覧表が配布されています。ここで報告された数だけを見ても、従来の定期接種ワクチンと比較して、重篤な副反応の発生頻度が高いことがわかります。
この2011年2月28日の厚労省の会合に報告された一覧表の元データであるケースカードの内容は、HPVワクチン薬害訴訟が提起された後に原告らが行った情報公開請求によって、初めて明らかとなりました。
そして弁護団がこのケースカードの内容を分析したところ、HPVワクチン接種後に重篤な神経障害の発生が示唆される事例が多数含まれており、多くの事例では、症状が未回復である等と報告されていたこと等が判明したのです。
このように、緊急促進事業が行われた当時に集められていた情報を見ても、HPVワクチンの危険性は明らかであったのに、報告されていた個別症例の精査を行わないまま、国が緊急促進事業によって被接種者を飛躍的に増大させたことで、被害の著しい拡大がもたらされたのです。
意見陳述を担当した中根祐介弁護士は、こうした状況を詳しく解説し、被告国と被告GSK・被告MSDの法的責任を厳しく指摘しました。
期日終了後は、桜華会館に場所を移して、報告集会を開催しました。
大勢の支援者の皆さんより、次々に心暖まる激励の言葉をいただきました。
各地の若手の弁護団員からは、地元の裁判の状況を説明し、この訴訟の代理人に参加した意気込みを語りました。
名古屋弁護団代表の堀康司弁護士からは、本日の法廷で解説したような副反応報告や有害事象の集積状況からすればHPVワクチンの危険性は明らかであるのに、こうした個別症例情報を軽視して、重篤な副反応被害の病像を検討しようともしないGSKやMSDには、製薬会社としての基本的姿勢に誤りがあることを指摘しました。
HPVワクチン薬害名古屋訴訟原告団代表の谷口鈴加さんからは、傍聴来場の御礼を申し上げるとともに、2月5日には国会内で集会を行うこと、そして2月15日には、各地の支援ネットワークの方々に集まっていただいて名古屋で記念シンポジウムを開催することを紹介し、参加を呼びかけました。
次回の名古屋訴訟は4月24日午後2時開廷です。引き続きご支援下さい!