2019年12月8日(日)、東京・五反田にて、HPVワクチン東京訴訟支援ネットワークの第3回総会が開かれました。当初10月13日の開催予定が台風で延期となったため、この日の仕切り直しとなりましたが、当日は天候にも恵まれ、会場は140名を超える参加者で満席となり、熱気の溢れる中での開催となりました。
総会では、今期の活動報告と来季の活動方針等の討議を行った後、横田俊平医師(フジ虎ノ門こどもセンター・横浜市立大学名誉教授)による記念講演が行われました。
横田先生は、臨床医の役割が臨床症状から病巣・病因を推察して診断と実証に繋げていくという点にあることを説明した上で、子宮頸がん予防ワクチンとの触れ込みでHPVワクチンを接種した後、深刻な副反応被害に苦しんでいる若年女性には、自律神経・内分泌系の障害、高次脳機能障害、感覚障害、運動障害といった全身に及ぶ多様な症状が経時的に重層化しているという共通の特徴があることを、実際の臨床経験に基づいてご講演下さいました。
そして、横田先生からは、現在フジ虎ノ門こどもセンターを受診中の患者の解析結果などを交えつつ、現在の治療法はいずれも対症療法に留まっており、依然として安定的に効果が認められる治療法が見つかっていないという実情をご報告いただきました。
多くの患者を直接診察する立場から、直近の臨床現場の状況も交えたご講演をいただいたことで、来場者の間では、被害者の置かれた深刻な現状についての理解を深めることができました。
続いてHPVワクチン薬害全国弁護団共同代表の水口真寿美弁護士より、これまでの裁判の経過や直近で行われた東京訴訟第12回期日における原告の主張の状況などを報告しました。
水口弁護士からは、裁判所の外での行動として、提訴から3年を経た原告の思いを伝えるための文集を作成したことや、日本医師会に対して本件ワクチンの積極推奨再開を求める声明を発表しないよう要請を行ったことなども紹介し、来場された支援者の皆さんに、法廷内外の活動についての引き続きのご支援をお願いしました。
原告と家族からも、来場いただいた支援者の皆さんに対してご挨拶を申し上げました。
原告の望月瑠菜さんは、ご支援への感謝の言葉とともに「みなさんから受けた温かい優しさを誰かに分け与えられる大人になりたい」と力強く語りました。
原告の久永奈央さんは「被害は何も変わっていないのに時間だけが過ぎ去っている」という切実な思いとともに、「支援ネットワークの存在が励みになっています」と感謝の気持ちを伝えました。
この他にも、「副反応の症状に加えて医療機関やネットでひどいことを言われたりして正直辛いこともあるけど、未来への希望を絶対に諦めたくない。だから辛くても闘うので、応援してほしい」(原告本人)、「副反応症状のために暗闇の中にいたが、被害者の団体ができ、そして訴訟に参加し、今では自分たちのために支援をしてくださる人がいることに心から感謝します」(原告母)といった当事者の発言に、来場者のみなさんが静かに耳を傾けて下さり、会場は被害者への共感と優しい支援の空気に包まれました。
支援者の皆さんからも、それぞれの立場から、原告さんとそのご家族に対する励ましのメッセージをいただきました。
原告団・弁護団とも、多くの方がこの裁判を支えて下さっていることを実感できる一日となりました。本当にありがとうございました。
どうか引き続きご支援下さい。