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2019年9月12日、残暑というには強すぎる陽射しの中、HPVワクチン薬害大阪訴訟第12回口頭弁論期日が開かれました。
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期日に先立って、今回も淀屋橋駅前において、弁護団が期日への参加を呼びかけるビラ配りを行いました。
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HPVワクチン薬害訴訟に注目し、取材を続けている関西大学社会学部の学生さんたちも、撮影と応援に駆けつけてくれました。
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今回の期日も、大変暑い中にも関わらず、多くの支援者が駆けつけてくれました。傍聴希望者の中には学生さんらしい方が多く見られました。
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本日の法廷では、大阪原告9番さんの意見陳述と弁護団によるプレゼンテーションが行われました。
原告9番さんは、まず、HPVワクチンの接種を受けることになったきっかけから話し始めました。
中学1年生の時に、学校から手紙を渡され、担任の先生から「必ず3回受けるように。期限までに受けると無料だが期限を過ぎると5万円が必要になる。ワクチンを受けることで子宮頸がんを予防できる。」と説明され、ワクチンを受けることを決めたそうです。
1回目と2回目の接種後、いずれも高熱、腕の痛み、しびれ、頭痛、吐き気等が起こり、3回目を受けたくないと親に訴えましたが、「3回受けないと効果がないから」と聞いていたこともあって、渋々3回目の接種を受けました。
3回目の接種後は、1回目と2回目の接種後の症状に加えて、顎の痛みがひどく、口が開けられなくなり、食事はスプーンで流し込めるものしか食べられなくなりました。首の痛みもひどく整形外科に通院しました。右半身の麻痺症状や痛み、だるさから登校にも支障が生じるようになりました。
学力低下で家庭教師に来てもらうようになったのですが、その家庭教師は、あまりにも簡単な計算ができない原告9番さんを見て、脳の病気ではないかと疑い、両親に大きな病院での診察を勧めてくれました。しかし、脳外科でも異常は見つかりませんでした。
その後、全国に同じような症状で苦しむ子がたくさんいることを知り、HPVワクチンの副反応かもしれないと考えて役所に相談したところ、そこで勧められたHPVワクチンの副反応に対応しているという病院に入院しました。しかし、入院後のトイレに歩行することもできず車椅子を希望した原告9番さんに医師がかけた言葉は、「演技をしてるんじゃないの?」というものでした。この言葉を聞いて、原告9番さんはベッドの上で悔し涙を流したそうです。
その後、幸いにも原告9番さんは、HPVワクチン被害について理解のある医師に出会うことができ、その医師の下で治療を受けました。症状のいくつかには改善が見られたものの、現在も割れそうなほどに痛む頭痛や吐き気、体のしびれ、記憶力低下、食べ物アレルギー、排尿困難、腹痛、過呼吸などの症状が残っており、こうした症状となんとか上手くつきあいながら生活しています。
原告9番さんは、当初受診した病院等での心無い医師の言動や、周囲の無理解に傷つき、様々な症状を抱えて辛い日々を過ごしましたが、理解のある医師に出会い治療を受けながら、前向きに進もうとしています。
最後に、原告9番さんは、これまで支えてくれた家族への感謝の言葉を綴り、「次は私が誰かの支えになりたい。まだ全国で苦しんでいる人がたくさんいます。その人たちを一日も早く助けてあげてください。私の願いはそれだけです」と述べて意見陳述を締めくくりました。
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大阪弁護団の甲斐みなみ弁護士が担当したプレゼンテーションでは、本件ワクチンが異例の拙速さの中で承認され、十分な審議を経ずに緊急促進事業が開始された背景には、被告企業らの莫大な資金量を背景にした政府や各種団体に対する働きかけがあり、また、医薬品の法規制を潜り抜ける巧妙な広告宣伝活動が存在したことを明らかにしました。

被告GSKと被告MSDは、大量の資金を医師や団体に提供して、一般消費者に向けて子宮頸がんが恐ろしい病気であるということを強調し、HPVワクチンのマーケティングを推し進めました。

HPVワクチンについて被告企業らが行った広告宣伝は、医療用医薬品の一般向け広告を禁止する法規制を巧みに潜り抜ける方法で行われ、大規模かつ徹底的なものでした。しかも、こうして行われた広告宣伝の中では、ワクチンの危険性などについて正確な情報は伝えられていませんでした。
原告らは、このような方法でHPVワクチンを広告宣伝した被告GSKと被告MSDには、実際にワクチンの接種を受けようとする人に対し、HPVワクチンの危険性についての正しい情報や、有効性の程度が限られることを正確に伝えるべき義務があったと主張しました。

期日終了後は、大阪地裁の記者クラブにおける弁護団会見と並行して、東梅田の会議室に場所を移して報告集会を行い、様々な大学に所属する学生の方も大勢参加して下さいました。
報告集会でも、こうした若い支援者のみなさんから、これまで報道でしか接したことがなかったHPVワクチン薬被害の実情を大阪原告9番さん本人の言葉で聞いたことの重みや、法廷で精一杯の勇気を振り絞って意見を述べた原告9番さんへの敬意についての発言が相次ぎました。

次回の大阪訴訟期日は2019年12月3日(火)午後2時開廷です。
是非引き続き大勢の方が傍聴に参加して下さることを願っています。