私は事実を伝えています~HPVワクチン薬害東京訴訟第11回口頭弁論期日

中央:期日前のリレートークで思いを伝える金澤佑華さん(東京訴訟原告)
中央:期日前のリレートークで思いを伝える金澤佑華さん(東京訴訟原告)

 2019年9月11日、HPVワクチン薬害東京訴訟の第11回期日が開かれました。

 今回も開廷に先立ち、支援者と弁護団とで有楽町マリオン前で街頭行動を行い、期日傍聴を呼びかけました。

右:浅川身奈栄さん
右:浅川身奈栄さん

 HPVワクチン薬害訴訟を支える会・北海道の浅川身奈栄さんからは、将来の子宮頸がんを防げると思ってワクチンを打った多くの中高生の女性が、高校を中退したり、進学を諦めてしまっているという現実があることを訴えました。

藤竿伊知郎さん(薬剤師)
藤竿伊知郎さん(薬剤師)

 HPVワクチン訴訟東京支援ネットワークの藤竿伊知郎さん(薬剤師)は、この裁判は、被害の状況を伝えること、そして被告企業と国の責任を明らかにすること、さらにはいま現在苦しんでいる多くの被害者のために医療体制を整えてもらうことに目的があることを説明しました。

 午後1時からは裁判所前でリレートークを行いました。

 東京弁護団の阿部哲二弁護士からは、7月19日の追加提訴で全国の原告数が132名となり、東京訴訟の原告数は61名に達したことを報告し、多くの被害者が勇気を振り絞って国とGSK・MSDの責任を追及する裁判に参加していることを説明しました。

追加提訴を報告する阿部哲二弁護士
追加提訴を報告する阿部哲二弁護士

 東京訴訟原告の金澤佑華さんは、痙攣と失神を繰り返してしまうことが原因で高校を退学せざるを得なくなり、小さい頃からの看護師になりたいという夢を諦めなくてはならなくなったという被害体験を語りました。金澤さんは、こうした被害が実際におきていることを知ってほしいという思いで裁判に参加したことを、傍聴に集まった支援者のみなさんに伝えました。

 裁判所に同行した金澤さんの母は、接種したころに戻れるなら絶対に打たせることはなかったのに、当時HPVワクチンを何の疑いもせず娘に打たせてしまったことを後悔しているという、被害者の親としての切実な心情を語りました。

 支援者として傍聴に参加した学生さんからは、HPVワクチン再開に向けた動きがあるのは、まだまだ支援活動が足りていないからだと感じており、引き続き被害者のみなさんを支えて頑張っていきたいという、頼もしい決意表明の言葉をいただきました。

 

 午後2時に開廷した口頭弁論では、東京原告4番さんが意見陳述を行いました。


 4番さんは、小学生のころから薬剤師になるのが夢で、中学受験では志望校である私立の中高一貫校合格し、中学では吹奏楽部でサックスを担当するなど、学校に行くのが楽しみな毎日を過ごしていました。

 しかし中学生のときにサーバリックスを接種したことで、彼女の日常は奪われてしまいました。接種を受けた後には膝の関節の痛みを感じるようになり、その後も様々な症状が出現し、不随意運動や感覚過敏、睡眠障害といった深刻な症状のために、高校1年で学校を中退せざるを得なくなってしまいました。中退後も4番さんは薬剤師となる夢を諦めることなく、高卒認定試験に合格して通信制の短期大学に入学しましたが、今でも様々な症状に苦しめられています。


「副反応の危険性を知っていれば、このワクチンは打たなかったし、今頃は薬学部に進学して頑張って勉強していたと思います。本当に悔しいです。」


「だから私は、同じような被害にあう人が出ないように、ワクチン接種後に体調が悪くなったという事実を伝えています。それなのに、なぜワクチンによる副反応であることを認めてもらえず傷つけられなければならないのでしょうか。」


「裁判官の方には公平な立場で判断して欲しいですし、公平に判断してくださると私は信じています。」

 

 4番さんは自身の思いを、3人の裁判官に直接伝えました。

 

 

 続いて東京弁護団の山本大地弁護士が、緊急促進事業が行われるようになった当時には、すでに国内外で本件HPVワクチンの危険性を示す知見が集積していたことについて、裁判官にスライドを示しながら意見陳述を行いました。


 山本弁護士は、まず、海外においても極めて多くのHPVワクチン接種後の有害事象報告が報告されており、アメリカでは2009年の段階で、32の死亡例を含め、ワクチン接種10万件あたり52.9件の有害事象報告がなされていたことや、メディアや論文でもHPVワクチンの危険性が問題視されて社会問題化していたことを説明しました
 そして日本においても、製薬会社と医療機関による症例報告(ケースカード)で様々なワクチン接種後症例が報告されており、神経障害が疑われる重篤な副反応報告例が複数あったことを説明しました。

 

 山本弁護士は、被告らはこうした知見を適切に評価しておらず責任を免れないと主張した上で、これ以上、将来ある若い女性たちに、人生を狂わせる深刻な副反応被害を生み出してはならないと述べて意見陳述を締めくくりました。

 

報告集会での配付資料より
報告集会での配付資料より

 口頭弁論終了後に弁護士会館で開催された報告集会には、原告ご本人、ご家族、支援の方々など、多くの皆様にご参加いただきました。
 報告集会では、はじめに、木下正一郎弁護士と水口瑛葉弁護士が、当日の法廷でのやり取り、原告・被告双方の主張や意見陳述の内容を説明しました。

木下正一郎弁護士
木下正一郎弁護士
水口瑛葉弁護士
水口瑛葉弁護士

 報告後には、意見陳述を行った原告番号4番さんの母や他の原告さんから、口頭弁論の感想やメッセージをいただきました。原告ご本人やご家族たちがお互いに励ましあう言葉には、原告・家族・支援・弁護士それぞれが大きく勇気づけられました。
 原告の皆さんやご家族の声が伝わり、裁判を闘っていく原動力をより一層強くした報告集会でした。

支援ネットワークへの参加を呼びかける大久保秀俊弁護士
支援ネットワークへの参加を呼びかける大久保秀俊弁護士

 次回は2019年11月25日(月)午後2時開廷です。これまでの期日は水曜日でしたが、次回は月曜日ですので、どうかご留意下さい。

 また次々回は2020年2月26日(水)午後2時開廷と指定されました。

 是非引き続きご支援下さい。