2019年8月23日、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団は、全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)の一員として、薬害根絶デーに参加しました。
1999年に薬害根絶『誓いの碑』が建立された年に始まった薬害根絶デーは、今年で20回目を迎えました。
今年の行動も、まず午前中の薬被連と文部科学省の協議からスタートしました。
小雨のちらつくあいにくの空模様の中、薬被連を構成する様々な薬害の被害者が文部科学省に集合し、小学校から高等学校、さらには医学部・薬学部・看護学部等における薬害に関する教育のあり方や、国公立・私立大学病院における診療記録開示の状況など、幅広いテーマについて協議を行いました。
要望書には、HPVワクチンの重篤な副反応で就学や就労が困難となっている実情の正確な把握や、副反応症状に対する教育機関における配慮や支援を求める項目も掲げられています。
協議の席上では、HPVワクチン薬害訴訟原告からも、実際に被害を体験した私達の話を聞いた上で、次にどう薬害を起こさないようにするのかを考えていってほしいと発言して、薬害教育の現場で被害者の声に直接耳を傾けていくことの大切さを訴えました。
文部科学省交渉終了後は、厚生労働省前に移動し、大勢の支援者のみなさんとともに、薬害根絶に向けたリレートークを行いました。
時折小雨のちらつく中、大勢の支援者の方が、『STOP!薬害』のプラカードを掲げてリレートークを見守って下さいました。
国会議員・地方議会議員のみなさまにも、リレートークにご参加いただきました。
HPVワクチン薬害訴訟の原告も、勇気をもってマイクを握り、厚生労働省に向かって思いを語りました。
午後1時には厚生労働省の前庭に移動し、薬害根絶『誓いの碑』の前で花井十伍薬被連代表から根本匠厚生労働大臣に要望書を手渡しました。
薬害根絶『誓いの碑』の前における厚生労働大臣面談の後、20回目という節目を迎えた薬害根絶デーの趣旨や意義を説明するために、薬害根絶デー実行委員会による記者会見が厚生労働省内において行われました。
望月さんも会見に出席し、人前で自らの経験を話すことには怖いという思いもまだあるとのことでしたが、報道の方の前で被害を伝えることができることへの感謝の気持ちを伝えた上で、自身が接種を受けて被害に苦しんできた経過を説明しました。そして、これだけ多くの方が再発防止に向けて活動してきたのに薬害が繰り返されているけれども、私達で絶対に薬害を止めるという強い気持ちをもっていきたいとの決意を語って、引き続きの支援を呼びかけました。
午後2時からは、厚生労働省11階において薬被連と厚生労働省との協議が行われました。この協議にもHPVワクチン薬害訴訟全国原告団のメンバーが参加しました。
協議事項は多岐にわたりましたが、厚生労働省がHPVワクチン副反応被害の正確な全体像を未だに把握できていないことや、HPVワクチン副反応の診療協力医療機関として指定された病院で、患者を詐病扱いしたり、診療を拒否するといった事例が相次いでいるのに、厚生労働省が改善に向けて対応していないことについては、薬害エイズや薬害肝炎といった他の薬害被害を経験した方々からも強い批判が相次ぎました。
協議に参加したHPVワクチン薬害訴訟原告からは、診療協力医療機関が機能していない実情を説明し、治療法の開発を心から願っているのに全く目途が立たないことへの不安を、口々に語りました。
「協力医療機関を受診して認知行動療法を勧められたから、もう何年も認知行動療法を続けて来たけど、病状は回復していません」
「厚労省はわたしたちのことを見ないようにしているとしか思えません」
こうした原告らの声に心から耳を傾ける気持ちがあるのなら、厚生労働省は治療法の開発と診療体制の見直しに最大の力を注ぐ必要があるはずです。
体調が優れない中、被害者のみなさんが2日間にわたる行動に参加することはとても大変なことでしたが、過去の薬害の被害者とその支援者のみなさんが、HPVワクチン薬害問題について真剣に考え、暖かく支えてくださっていることを心から感じることができました。
そして、過去のいずれの薬害においても、被害者自身が事実を語ることによって支援の輪が拡がり、その輪が今もつながっているという歴史を知ることができ、とても励まされました。
私たち弁護団も、HPVワクチン薬害問題の解決と、2度と薬害が起きることのない社会の実現に向けて、全力を尽くしていきたいと思います。
引き続きご支援下さい。よろしくお願いします。