ワクチンの危険性を示す研究結果~HPVワクチン薬害名古屋訴訟第10回口頭弁論が開かれました

 2019年3月8日、HPVワクチン薬害名古屋訴訟口頭弁論期日が開かれました。名古屋訴訟での期日は、今回で第10回となります。当日は春らしい暖かな日和に恵まれた中で、裁判所前での期日前集会を行うことができました。

 集傍聴にお越しいただいた方々からは、これから法廷に臨む原告さんに対する激励のメッセージをいただきました。春休みということもあって、普段はなかなか傍聴に来ることが難しい大学生の方にも足を運んでいただいており、HPVワクチンによる薬害の問題に対する社会の理解が少しずつ拡がっていることを感じました。

薬害肝炎名古屋訴訟原告の金田和子さん
薬害肝炎名古屋訴訟原告の金田和子さん

 金田和子さんからは、薬害被害を経験した立場から、今まさに被害に苦しむ原告のみなさんに対する暖かい応援の言葉をいただきました。

 HPVワクチン名古屋訴訟支援ネットワークの長南謙一代表からは、支援の輪をもっと広げていきたいと願っていることを、来場者に呼びかけました。

 原告団と弁護団は、支援者に見守られながら名古屋地裁に入廷しました。

 法廷は午後2時に開廷しました。体調不良を押して法廷に臨んだ原告も少なくなく、口頭弁論中に意識を失った原告が母に付き添われて控え室に退出するという心配な場面もあり、原告の身体に深刻な病状が続いていることを感じずにはいられませんでした。

 口頭弁論の中で、弁護団からは、今回提出した準備書面に沿って25分間のプレゼンテーションを行いました。

期日後の報告集会でプレゼン内容を解説する北川喜郎弁護士(手前)
期日後の報告集会でプレゼン内容を解説する北川喜郎弁護士(手前)

 前半を担当した北川喜郎弁護士は、HPVワクチン接種後に多様な症状を呈した患者の脳脊髄液中に免疫学的変化が認められたことが国内の研究者によって報告されており、この論文に対する被告の批判はいずれも的を射ないものとなっていることを解説しました。

裁判官に交付したスライドより
裁判官に交付したスライドより
プレゼン後半を担当した清原小有里弁護士
プレゼン後半を担当した清原小有里弁護士

 後半では、清原小有里弁護士から、国内の複数の研究者が、副反応症状を呈した患者に脳血流を調べる画像検査を実施した結果脳血流の部分的低下を示す所見が得られたと報告していることや、やはり複数の研究者が末梢神経の病理学的変異の存在を報告していることを紹介し、これらの研究結果に対する被告らの批判が失当であることを説明しました。

 副反応被害を呈した多くの患者を診察してきた国内の研究者によるこれらの報告は、HPVワクチンと副反応症状との因果関係を示す重要な医学的知見です。

 ところで名古屋地裁には2つの大法廷があり、裁判員裁判用の2号法廷ではスライドを上映できます。あいにくこの日は2号法廷が裁判員裁判事件で使用されており、1号法廷での開催となりましたので、法廷でスライドを直接上映することができませんでした。

 そこで弁護団では、目と耳とでご理解いただけるよう、傍聴に参加された方に、裁判官に交付したスライドの内容を1枚に要約した資料をあらかじめ配布しました。傍聴された方からは、弁護団の主張の内容がよく分かったとの感想をいただき、準備した弁護団としてもとても嬉しく感じました。ちなみに次回は2号法廷を使用できる予定です。

 口頭弁論終了後は、桜華会館に移動して報告集会を行いました。

 集会では、HPVワクチン薬害名古屋訴訟支援ネットワークの方々を中心に、当日の期日を傍聴していただいた感想をお話いただきました。

 この裁判に対する支援の輪を広げたい、支援の声を盛り上げていきたい、そのためにも支援ネットへの参加や次回期日の傍聴を呼びかけていきたいという、熱意あふれる呼びかけをたくさんいただきましたので、体調不良に苦しむ原告のみなさんも本当に心強く感じたことと思います。

 当日の法廷に参加した大阪弁護団と東京弁護団の若手メンバーからは、各地の裁判の状況やこの裁判に参加した想いについてスピーチしました。

大阪弁護団の脇山美春弁護士(左)
大阪弁護団の脇山美春弁護士(左)
東京弁護団の森立弁護士(左)
東京弁護団の森立弁護士(左)

 最後に、HPVワクチン薬害名古屋原告団の谷口鈴加代表(名古屋原告1番母)から、被害者とその家族の置かれた状況が今なお苦しいものであることを説明し、引き続きのご支援をお願いしました。

 今回の期日には、学生さんや司法修習生をはじめ、はじめて傍聴に来ていただいた方も大勢いらっしゃいました。このように、少しずつ支援の輪が広がっていくような取り組みを、引き続き行っていきたいと考えています。この記事も、冒頭と末尾のボタンからTwitterやFacebookなどで拡げていただくことができますので、ぜひ、お知り合いの方々にもお伝え下さい。

 次回の名古屋訴訟は2019年7月4日午後2時開廷です。それまでの間も勉強会などの企画を支援ネットワークのみなさんと協力しながら開催していきたいと考えています。

 引き続き応援をいただけますようお願いします。