12月6日、名古屋地方裁判所においてHPVワクチン薬害名古屋訴訟第9回口頭弁論期日が開かれました。
午後から降雨の予報でしたが、幸いにも降り出す前に裁判所前で期日前集会を行うことができました。集まって下さった支援者のみなさんからは、法廷に臨む原告さんに対する暖かい応援メッセージをいただきました。
1階大法廷で開催された口頭弁論期日では、この日に提出した準備書面に基づき、弁護団から3名の弁護士が、法廷のモニターにスライドを映しながら意見陳述を行いました。
最初に清原小有里弁護士が、HPVワクチンの危険性について述べた準備書面の概要を説明した上で、HPVワクチンの副反応被害は日本だけの問題ではなく、世界各国でも被害者が多数存在し、被害者団体が設立されたり、訴訟が提起されていることを報告しました。
また、清原弁護士による説明の中では、日本同様にワクチンの接種率が低く止まっていたり、公的接種が認められていない国や地域が多数存在することも解説しました。
次いで、近藤信弘弁護士が、HPVワクチンには子宮頸がん自体の予防効果は臨床試験で実証されておらず、前がん病変の予防効果(絶対的リスク減少率)も非常に小さいことや、HPVに感染してもがんへの進展可能性は非常に小さいものであること、さらには検診というワクチンの型に左右されない有用性が実証された早期発見手段があること等を説明し、HPVワクチンには副反応リスクを上回る有用性が到底認められないことを指摘しました。
最後は、久保晴男弁護士より、国がHPVワクチンの安全性を確認しないまま積極的に接種を推し進めたことの違法性について解説しました。
厚生労働省の感染症対策関係者らが執筆した予防接種法の解説書においても、国が接種を勧奨するワクチンには、通常のワクチンと比較して、より高度の公衆衛生政策上の必要性やより高い安全性・有効性が求められることが解説されています。
しかし被告国は、すでに集積されていたHPVワクチンによる副反応症例の情報を精査せず、接種緊急促進事業を開始してしまいました。久保弁護士は、こうした杜撰な経緯については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の専門委員からも、「少しずつ接種者の人数を増やしながら、有効性と安全性を確認していく作業が必要なのである。数十万人に1人の割合で引き起こされる副作用は、数万人に接種したぐらいではなかなか判明しないことは統計学に精通していない素人でも分かる」という痛烈な批判が加えられていることを、法廷で紹介しました。
期日終了後には報告集会を行い、意見陳述の概要について弁護団から説明を行いました。
また、傍聴に参加して下さった支援者のみなさまからは、原告とその家族に対する熱い激励のメッセージを多数頂きました。
原告団も、また弁護団も、こうした暖かい言葉の数々によって支えられていることをあらためて実感しました。心からのご支援をいただいたことに御礼申し上げます。
弁護団からは東京・大阪・九州の各地訴訟の状況も紹介し、支援の輪の拡がりがそれぞれの地域で着実に感じられていることを報告しました。
報告集会終了後は名古屋地方裁判所の司法記者クラブに移動して記者会見を行いました。
同日の法廷で、被告GSKより、原告らの症状は心因性のものであって、重篤な症状に苦しむ原告らには「疾病利得」が認められるとするような意見陳述が行われたことに対し、名古屋原告団の谷口鈴加代表からは、「なんとかして今の症状を治して学校に行きたい」「普通の生活を取り戻したい」と願い続けて来た原告やその家族の思いを踏みにじる発言であり、怒りを感じざるを得なかったことを、各社の記者に伝えました。
次回期日は、2019年3月8日(金)です。
国や製薬企業を相手に闘い続けるためには、多くのからのご理解とご支援が欠かせません。
引き続き大勢の皆さんの傍聴をお待ちしています。