平成30年12月5日、初冬とは思えない小春日和の中、第9回口頭弁論期日が開かれました。
この日も朝から弁護団が淀屋橋駅前で期日の告知と訴訟の支援を求めてビラ配りをしました。
本日も傍聴券を求めて長蛇の列が並び、この訴訟に対する関心の高さを改めて感じました。
午後2時より、大阪地方裁判所2階大法廷において、口頭弁論手続が開始されました。
まず最初に大阪原告8番さんが意見陳述を行い、HPVワクチンを接種した後に、自分の体におきた変化を1つ1つ説明しました。
左目の奥の痛みやめまい等の症状が日増しにひどくなり、左手足がピクピク動いたり、脱力による転倒が起こりました。また、鈍器で殴られたような頭痛や頭の中をぐちゃぐちゃにかき回されるような症状にも襲われました。不眠、嘔吐、全身の痛み等に苦しめられましたが、検査を繰り返しても原因は不明と言われ、薬を変えても効果がなく、ただ、うずくまって耐えるしかありませんでした。
こうした症状が少しでも楽にならないかと、8番さんは、藁をもすがる思いで、厚生労働省が指定した協力医療機関を受診しました。しかし、医師からは、「ちゃんと歩いてくれる?」とまるで詐病であるかのように言われ、「ワクチンの副作用のわけないからな」と突き放されてしまいました。
高校に進学したものの、左腕が勝手に動いて止まらなくなるなどの症状に苦しみ、夢に描いていたような学校生活を過ごすことはできず、どうしても参加したかった合宿も初日だけで帰宅せざるをえなかったこと。学校側の理解は得られたものの、皆と同じ教室で授業を受けることもかなわず、修学旅行にも参加できなかったこと。こうした経験を語る8番さんは、当時のことが胸をよぎるのか、涙をこらえることができませんでした。
副反応症状の影響は、身体活動だけではなく認知・学習機能にも及びました。英語が得意だったのに単語を覚えることができなくなってしまいました。本を読んでいても、ページをめくると前のページの内容を思い出すことができず、読んだことがあるはずの小説の筋を理解することもできなくなりました。
こうした多様な症状に襲われた8番さんは、将来のことを考えると不安で仕方がなく、自分がこのようになった原因を知りたい、治りたいという思いから訴訟に参加しました。
8番さんは、静かに、力強くこうした意見を述べ、最後に「早く原因を究明して欲しい」と訴えて陳述を終えました。
続いて、弁護団より、本件の争点である有効性・危険性・法的責任の3点について、パワーポイントを使用したプレゼンテーションを行いました。
まず、有効性に関しては、被告GSKの主張は統計を不適切に扱って、ことさらに子宮頸がんの患者数が増えていることを強調する不誠実な主張であること等を指摘し、改めて原告の主張が正しいこと論証しました。
次に、危険性に関しては、被告MSDが原告が提出した医学論文について批判している部分について、それらがいずれも瑣末な批判、的外れな批判、誤解に基づく批判等であり、批判の体をなしていないことを具体的に論証するとともに、原告の主張を裏付ける客観的な知見が存在することを説明しました。
最後に、被告国の法的責任に関して、提訴から2年も経過しているにもかかわらず、被告国が、本件緊急促進事業の違法性の論点について、原告の主張をあえて曲解したうえではぐらかしを続け、正面から反論しようとしないことについて厳しく批判しました。
口頭弁論の終了後、原告番号8番さんの父親と弁護団による記者会見が行われました。
8番さんの父は「娘の意見陳述を聞いて、改めて辛かったことを思い出した。娘や他の被害者のためにも、これからもしっかりと裁判で戦っていかないといけないと改めて決意した」と述べ、娘を見つめる親としての胸の内を記者のみなさんに直接伝えました。
期日終了後、裁判所から場所を移して報告集会が行われ、法廷で行われたやりとりについて弁護団から詳しく解説しました。
また、原告8番さんの父親や他の原告から、来場した支援者のみなさんに挨拶し、引き続き、力を合わせて裁判を戦っていくことを誓い合いました。
次回の口頭弁論期日は来年3月5日です。
今後とも、どうかご支援下さい。