2018年9月19日、まだまだ残暑厳しい中、六本松に移転したばかりのピカピカの裁判所で九州訴訟の第9回口頭弁論期日が開かれました。
全身の痛みや不自由な身体を抱えながらも期日に参加する原告の少女たちとそれを支える家族。
「彼女たちの被害をなかったことにはさせない!」という思いで、門前集会からたくさんの支援者が駆けつけてくれました。
福岡地方裁判所101号法廷。新しい法廷になっても、傍聴席は満席です。
法廷では、弁護団の小出真実弁護士がHPVワクチンの有効性について意見を述べました。
被告企業らは、HPVワクチンは、臨床試験で「100%」や「90%以上」の効果が確認されたと主張しています。
しかし、実際にはサーバリックスによる絶対リスク減少率は約0.24%に過ぎません。これは、1000人にワクチンを打っても、998人には打っても打たなくても意味がなかったというくらいの有効性にとどまるということなのです。被告企業の主張する数字のマジックに惑わされてはなりません。
この程度の有効性で、なぜ公費を用いた異例の緊急促進事業をしてまで、新規性が極めて高いワクチンを、多くの少女たちに接種しなければならなかったのでしょうか?
続いて、井芹美瑛弁護士からは、WHOやワクチンの安全性に関する諮問委員会(GACVS)の委員らと被告企業との間に利益相反関係があることについて意見を述べました。
WHOは収入の約78%を寄付に頼っていますが、被告企業やその関連企業、ワクチン接種を推奨する民間団体から年に数十億の寄付を受けています。GACVSの委員も、その半数以上が被告企業等から寄付を受けるなど利益相反の関係にありました。
WHOは、HPVワクチンの有効性・安全性を認める声明を出しています。しかし、その公正性・中立性には大きな疑問があると言わざるを得ません。
この日は、裁判終了後に「HPVワクチン薬害九州訴訟を支える会」の立ち上げ会も行われました。
発起人のひとり、薬害スモン原告の草場佳枝さんは語りました。
「私も20代の頃、スモンの原告として、クリスマスイブにデパートの前で支援を呼びかける行動に参加しました。でも周りはプレゼントやケーキを持った人たちばかり…ついにその日私は一枚もチラシを配ることができませんでした。
でも、相手にはお金も権力もある。そんな相手と戦うにはどうすればいいんだろう?私たち原告が頑張るしかないじゃないかと思うようになったのです。そうやって頑張っていると、周りに応援してくれる人たちが増えてきました。
支援というのは、原告に共感して、一緒に頑張るということです。
この裁判でも原告は自分よりずっと大きな相手と闘わないといけない。一緒に頑張っていきましょう。」
ほかの発起人の方々、弁護団の徳田靖之弁護士からもメッセージがあり、沖縄からは沖縄でも支える会の立ち上げがあったことが報告されました。
裁判も今日で9回目。にもかかわらず、被告である国や製薬企業は、未だ責任逃れの主張を繰り返すばかりで、具体的な被害救済に向けての取り組みは始まっていません。
原告である少女たちは、様々な未来を思い描いていました。
HPVワクチンの副反応に苦しめられ、諦めざるを得なかった未来・・・
この裁判は、それを取り戻すためのたたかいです。
「取り戻そう!少女たちの未来を」
このスローガンをかかげ、私たちのたたかいは続きます。
九州訴訟の次回期日(第10回口頭弁論)は、2018年12月12日(水)午後2時からです。
次回もたくさんの方の傍聴をお待ちしています。