1999年8月24日、厚生省(当時)は薬害エイズ事件を反省し、薬害再発防止を決意する「誓いの碑」を建立しました。その翌年から8月24日は薬害根絶デーとして、全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)が毎年国との間で薬害根絶に向けた交渉を行ってきました。
第19回を迎えた今年も、HPVワクチン薬害全国原告団は、薬被連の一員として、薬害根絶デーの各行事に参加しました。
まず、薬害根絶デー前日である8月23日の夜には、東京都内でで前日集会が開催され、約140名が参加し、薬害の歴史や現状について学びました。
水口真寿美弁護士(全国弁護団共同代表)からは、全国4地裁で進行中のHPVワクチン薬害訴訟の現状を説明しました。
水口代表はHPVワクチンの副反応被害が海外でも発生していることを、今年3月の国際シンポジウム「世界のHPVワクチン被害は今」でスペイン・コロンビア・イギリス・アイルランドの被害者団体から報告された内容を説明し、HPVワクチン薬害は、薬害のあらゆる要素をはらんだ薬害事件であり、必ず勝たなければならない裁判であることを伝え、来場者に引き続きの支援を求めました。
続いて東京原告団から、山田莉奈さんと原告15番さんが登壇し、それぞれの想いを来場者に伝えました。
山田さんは、強い痛みを中心とした副反応による被害を周囲に理解してもらえず孤独感を覚えていたけれども、提訴したことで自分を支えてくれる多くの人たちがいることを知ることができたことを語り、今もかつての自分と同じように孤独感を抱えたままの被害者がいるはずであり、そうした子たちへの継続的な支援をお願いしたいと会場に呼びかけました。
車椅子で壇上に挙がった東京原告15番さんは、接種前はバスケットボール部で活躍していたのに、接種後には階段を昇ることもできなくなったことや、まだ子供である自分の意見を伝えていくためには裁判を起こすしかないと決意して訴訟に参加したことを説明しました。そして15番さんは、これからも声を上げ続けていきたいという覚悟を持っていることを、大勢の来場者に伝えました。
続いて会場では、『過去の薬害と被害救済制度』とのテーマの下で、薬害スモン事件のドキュメンタリー映像が上映され、キノホルム製剤が惹起した未曾有の薬害の歴史と被害者の闘いの経緯を学びました。
集会の最後には、この集会の企画と準備に携わってきた学生さんを中心とする支援者のみなさんから、『支援の輪を広げよう』というキーワードに基づく行動提起が行われました。
壇上からの行動提起の呼びかけを受け、前夜集会の来場者全員で、被害者の生の声を聞き、周りに伝え、薬害被害に理解のある人を増やしていくことの大切さを、共有することができました。
明けて8月24日の薬害根絶デー当日は、台風20号の上陸に伴う風雨が心配されましたが、幸いにも曇り空に時折晴れ間がのぞくという天候となりました。
リレートークでは、様々な立場の方々から、現に進行中の問題であるHPVワクチン薬害について、その問題点を力図良くアピールする発言を、たくさんいただくことができました。
HPVワクチン薬害全国原告団のメンバーも、大勢の支援者のみなさんからいただいた寄せ書きを持って、厚生労働省に向かって、被害回復の必要性を訴えました。
東京原告の園田絵里菜さん(左から2人目)は、不自由な身体をおして厚生労働省の前に立ち、HPVワクチン薬害の不当さを訴えました。
リレートーク終了後、例年は厚生労働省中庭の「誓いの碑」の前で厚生労働大臣に薬被連からの要望書を交付していますが、今年は台風の影響を避けるために、厚生労働省3階の会議室が会場となりました。
大勢の薬害被害者が見守る中、花井十伍薬被連代表(右)から、加藤勝信厚生労働大臣(左)に、要望書が手渡されました。要望事項には、HPVワクチンの被害実態把握や定期接種見直し、HPVワクチンのリーフレットの全面的な修正等が含まれています。
続いて、薬被連加盟団体として、HPVワクチン薬害全国原告団の園田さん(右)と山田さん(中央)から、HPVワクチンによる副反応被害の実情をまとめた資料を、加藤厚生労働大臣(左)に渡しました。
加藤厚労大臣から握手を求められた園田さんと山田さんは、その手を握り返して、HPVワクチン薬害問題の解決を求める気持ちを伝えました。
加藤厚労大臣は、台風が心配されたため、今年の薬被連との面会を「誓いの碑」の前で行うことができなかったことを踏まえて、自ら「誓いの碑」の碑文全文を読み上げ、薬害根絶に向けた決意を薬被連のメンバーの前であらためて示しました。
加藤厚労大臣との面談後は、引き続き厚生労働省内にて、薬被連と厚生労働省との協議が開催され、HPVワクチン薬害の被害者本人も協議に参加しました。
2日にわたる行事に参加し、HPVワクチン薬害訴訟が多くの方々によって力強く支援されていることを、あらためて実感することができました。
引き続き、多くの皆さんからご支援をいただけるように、原告団・弁護団ともにこの問題の解決に向けて全力を尽くしていきたいと思います。
どうかこれからもよろしくお願いいたします。