2018年8年7日
厚生労働大臣 加藤勝信殿
新リーフレットを全面修正しないままHPVワクチンの情報提供に関する評価を実施することの誤りについて
HPVワクチン薬害訴訟全国原告団 代 表 酒井 七海
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団 共同代表 水口真寿美
共同代表 山西 美明
厚生労働省は、平成30年7月23日に開催された第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成30年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(以下、「合同部会」という)において、HPVワクチンに関する情報提供の評価を実施する方針を明らかにしました。
合同部会で配布された資料によれば、この評価は、平成30年1月に改訂されたHPVワクチンに関する厚生労働省リーフレットを前提とし、①全1741市町村を対象としたリーフレット活用状況等のアンケート調査、②2000名程度の一般国民を対象としたHPVワクチン等の情報把握状況に関するインターネット上のアンケート調査、③②の対象者から5組×2グループ程度を抽出した少人数聞き取り調査という3つの調査によって、「情報がどの程度、国民に届いているか」「届いた情報がどのように理解されたか」を評価する予定であるとのことです。
しかしながら、当弁護団が本年1月19日に「HPVワクチン新リーフレットの全面修正を求める緊急要望書」で指摘したとおり、平成30年1月に改訂された新リーフレットには、HPVワクチンの多様な副反応症状が適切に記載されていない上、他のワクチンと比較して危険性が高いことや、接種後1ヶ月以上経過しても副反応が発症しうることが説明されていません。
また、ワクチンの有効性の限界についての記載は不充分であって、子宮頸がん予防効果の不適切な推計が記載されており、不適切な「祖父江班調査」の結果が引用されている、HPVワクチンの副反応を「機能性身体症状」として説明する等の誤りが多数含まれています。
特に、医療従事者向けのリーフレットには、学習障害・記憶障害が生じうることを小さいながらも記載したのに、本人や保護者向けのリーフレットには学習障害・記憶障害について全く記載していないという問題(別紙参照)は、国民に対して提供されるべき情報が恣意的に割愛されていることを示しており、極めて不当です。
こうした誤った内容の新リーフレットを用いても、HPVワクチンに関する情報提供を正しく行えないことは、一定の費用をかけて厚生労働省が調査を行うまでもなく自明であり、HPVワクチン被害者からの全面修正の申入れを無視したまま上記①~③の調査を実施することは、、行政上の手順を誤ったものと言わざるを得ません。
厚生労働省は、誤った新リーフレットの情報が国民にどうに伝わっているかを評価する以前に、原点に立ち返って、国民に何を伝える必要があるのかを再考すべきであり、被害者の声に耳を傾け、直ちに新リーフレットの全面修正を行うべきです。