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HPVワクチンの副反応被害者が置かれている状況(HPVワクチン薬害訴訟の原告らの状況)
2018/6/14
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団
HPVワクチンの副反応被害者らの多くは、12歳~16歳時に接種を受けました。被害者らは,副反応についての周知がなされない中、医師からさえも詐病扱いを受け、たいへんな思いをして医療機関を探しています。厚労省が指定した協力医療機関も機能しておらず,治療体制があるとは到底言えません。
被害者らが副反応に苦しめられてきた接種後の数年間は、10代~20代という未来が切り開かれる筈の大事な時期です。そのような時期に、被害者らは、本来の学校生活を送ることができなくなり、同級生らからとり残され、将来の見えない生活を送っています。
HPVワクチン薬害訴訟の原告123名(17歳~24歳)の現状は、以下のとおりです。
1 医療機関について
(1)原告らが接種後に受診した医療機関数
1人あたりの平均受診医療機関数 13.4医療機関
- 10病院以下:48名
- 11~20病院:57名
- 21病院以上:18名
(2)厚労省指定の協力医療機関の受診状況
①一度でも協力医療機関で受診したことがある原告 123名中105名
⇒ 現在も協力医療機関を受診している原告 123名中30名
②現在も原告が利用している協力医療機関数 全国85病院中 10病院
ただし,30名中20名は1病院に集中(鹿児島大学医学部・歯学部附属病院)
⇒この1病院を除くと、9病院で10名が受診しているのみ
(3)遠方の医療機関を利用せざるをえない状況
居住する都道府県外の病院を受診した経験 123名中96名(約80%)
(例)
- 北海道→静岡県へ
- 関東地方→鹿児島県へ
- 関西地方→東京都・鹿児島県へ
- 中国地方→三重県へ
(4)医療機関(協力医療機関)における詐病扱いの状況
多くの原告らは。医療機関で詐病扱いを受けており、厚労省指定の協力医療機関も例外ではない。
(原告らが,協力医療機関で受けた扱いの具体例)
- 医師は,娘を見て, 「子宮頸がんのワクチンの副作用という動画をみてまねしている。演技しているだけ。」 というのです。そして,私(親)に向かって, 「親が騒ぐから治らない。」 「副作用と言って騒いでいる人たちの半分はそうです。」 「検査していいの? 検査して異常なしと言われて困るのはお嬢さんですよ。」 と言ったのです。
- 「ワクチンとの因果関係を調べることはしていない,原因究明はしない。ワクチンのせいでこんなふうになったと思わない方がいい」 と言われました。
- 「(国の責任なんて)絶対に認められない。今でも医療費がかかって国の財政が大変なのに,さらに補償を認めたら大変なことになる。線引きも難しい」 などと言われました。その上で 「どうする?(次の)予約とる?」 と聞かれました。予約はしませんでした。
- 「私は,子宮頸がんワクチンによるものとは全く思っていませんし,ありえません。 症状は精神的なものによるもので,娘さんが嘘をついているだけです。」 と言われました。
- 「本当にそうなの?」 「演技,うまいね。」 と言われました。
- 「子宮頸がんワクチンに副作用はない。そんなのない。認めてほしいのか。」 と言われました。
- 車椅子で連れてきた娘に,医師は,歩いてみて,と指示し,娘は車椅子から立ち上がってやっとの思いで歩きました。すると,医師は娘に向かって, 「ちゃんと歩いてくれる?」と言い, 「ワクチンの副作用のわけないからな。」 「何もすることないけど,予約する?」と言われました。
- 「HPVワクチンの副反応は信じていない。一部の医者が因果関係があるというからマスコミが取り上げて,それを見た人が副反応だと言い出して困っている。」 「家庭や学校に問題がある。」 「この年で精神病院もねぇ。」 と言われました。
2 学校生活、中退・卒業後の生活について
(1)進路変更(進学断念、中退、通信制への進学先変更や転校)を余儀なくされた原告
123名中 73名(約60%)
(内訳)
- 高校または大学への進学を断念(受験を断念):18名
- 進学したが中退(通学を断念):13名
- 全日制への進学を諦めて通信制等へ進学(卒業,または在学中):19名
- 進学後,通信制へ転校して卒業(または在学中):23名
注1)志望校や志望学部を変更していても,全日制の普通高校もしくは大学に進学している限り,進路変更としてカウントしてない⇒ 志望校や志望学部等の変更を含めた実質上の進路変更は73名より多い
注2)最終学歴でカウントしている
例:普通高校進学 ⇒ 通信制へ転校 ⇒ 大学進学断念の場合は「進学断念」でカウント
注3)原告123名中,留年経験者は20名。原告らにとって、通学を継続することがいかに困難であるかが判る。それとともに、原告らが、同級生らからとり残されてしまっても、なお、「学校に行きたい」との希望を持ち続けてきたことが判る。
(2)中退ないし卒業後,就職も進学もできず,自宅もしくは入院先で過している原告
123名中 31名(約25%)
以上