HPVワクチン薬害名古屋訴訟第7回口頭弁論期日が開かれました

名古屋地裁に入廷する原告団
名古屋地裁に入廷する原告団

 平成30年6月1日、HPVワクチン薬害名古屋訴訟第7回口頭弁論期日が開催されました。

 ここ数日の雨模様とは打って変わったような晴天となり、予定通りに期日前集会を行うことができました。

 期日前集会では、HPVワクチン薬害名古屋訴訟支援ネットワークの長南代表と神田世話人が挨拶し、各地から集まって下さった傍聴者のみなさんに、この訴訟への支援を呼びかけました。

長南謙一さん(名古屋訴訟支援ネットワーク代表)
長南謙一さん(名古屋訴訟支援ネットワーク代表)
神田沙也加さん(名古屋訴訟支援ネットワーク世話人・薬剤師)
神田沙也加さん(名古屋訴訟支援ネットワーク世話人・薬剤師)

 当日の法廷では、大勢の傍聴者の方が見守る中、名古屋原告11番さんの母が意見陳述を行いました。11番さんの母は、法廷の中央に立って、裁判官にしっかりと向かい合い、重篤な副反応に苦しみ続ける娘を何年も見つめ続けて来た親としての思いを語りました。

 中学生になってワクチンの接種を受けた娘には、生理がくると右足の付け根から太ももにかけて激しい痛みが出るようになり、次第に学校から歩いて帰れないような日がみられるようになったこと。

 通学に支障を生じるようになり、不登校になったと友人に誤解されたことを娘が知ってとても落ち込んだ様子であったこと。

 自宅で安静にしていても、手足が勝手にぴくぴくと動くようになった娘を見たときに感じた不安と驚き。

 いくつもの医療機関で、精神的な問題だとあしらわれ続け、病院の待合で悔し涙を流す娘を見て、一緒に泣けてしまった日のこと。

 こうした1つ1つのエピソードを語った11番さんの母は、当時の様子が胸に去来するのか、涙で言葉に詰まることもありましたが、目元をハンカチで抑えつつ、最後までしっかりと裁判官に意見を伝えることができました。

「娘からもワクチンのせいではないか言われたこともありました。しかし、娘がワクチンを打つ際にもらったパンフレットには、娘のような激しい副反応があるようなことは書いていませんでしたので、まさかそんなはずはないと思って、あまり気にしていませんでした。」

 娘を長らく診察してくれていた近隣の病院の主治医から、娘の症状がHPVワクチンに関連しているのではないかと指摘を受けるまで、娘の言葉に耳を傾けることができなかったことについて、今も申し訳ない気持ちで一杯であることを、11番さんの母はこのように法廷で語りました。

 この訴訟で、被告企業は、ワクチンに関する情報は、添付文書の上に医師にとって必要な情報が書かれていれば十分である、と主張しています。

 こうした被告企業の主張が誤りであることは、11番さんの母の無念の思いに耳を傾けたすべての人が、はっきりと理解できたのではないでしょうか。

「できるなら、ワクチンを接種する前の普通の生活に戻してあげたいです。接種前の娘に戻してください。失った時間を返してください。以前の家族を返してください。普通の日常生活を返してください。」

 こうした切実な思いを語った11番さんの母は、この裁判で正しい判断がされることを願っていますと述べて、意見陳述を終えました。

 続いて、弁護団の本多朱里弁護士から、HPVワクチンについては、日常生活・集団生活における感染のまん延を予防しなければならないという必要性もなく、そもそも、HPVワクチンに子宮頸がん予防効果も実証されていない中で、極めて異例かつ拙速な経過で緊急促進事業、定期接種へと推し進められたことを、国内で使用されている他のワクチンと比較しながら説明しました。

 HPVワクチンの接種者には、他の定期接種ワクチンと比較して、数倍から数十倍もの副反応が発生していること。

 そして、全く同時期に定期接種化の検討が開始された水痘などのワクチンについては、ファクトシートという基礎資料に基づいて、厚労省の作業部会や小委員会などで順番に公衆衛生上の必要性を丁寧に検討するという手順が踏まれているのに、HPVワクチンだけは、ファクトシートが提出された直後に、こうした手順を踏むことなく、公費助成開始の結論ありきという形だけの会合が開催されて接種が推進されていったこと。

 HPVワクチンの接種を国が推進したことの違法性が、こうした客観的な事実の数々によって裏付けられていることは、法廷での本多弁護士の説明によって、より明確になったと思います。

 期日終了後は、桜華会館において報告集会を行い、期日を傍聴された多くの支援者の方々から、応援メッセージをいただきました。
 足を運んで下さった各務原市議会の議員の方々からは、このワクチン接種を認めてしまった政治家は、この問題の解決から目をそらしてはならないという、誠意あるメッセージをいただきました。

左から波多野こうめ市議、永冶明子市議、三丸文也元市議、杉山元則市議(いずれも各務原市)
左から波多野こうめ市議、永冶明子市議、三丸文也元市議、杉山元則市議(いずれも各務原市)

 また、B型肝炎訴訟名古屋原告団幹事の入江さんからは、まるで傍観者のように被害者を見ている製薬会社の姿勢に対して、強い憤りの思いを語っていただきました。

入江鈴子さん(全国B型肝炎訴訟名古屋原告団幹事)
入江鈴子さん(全国B型肝炎訴訟名古屋原告団幹事)

 薬剤師の方、そして薬学部の学生さんからは、薬剤に関わる専門家として、このワクチン被害をより多くの人に知ってもらえるように引き続き支援していきたいという、心強い応援メッセージをいただきました。

林昭文さん(静岡県民医連)
林昭文さん(静岡県民医連)

 各地弁護団からの報告では、各地裁判所の状況報告に加え、新たに弁護団に参加して、この問題に取り組みたいという弁護士が続々と増えていることが紹介されました。

川廣純也弁護士(HPVワクチン薬害九州訴訟弁護団)
川廣純也弁護士(HPVワクチン薬害九州訴訟弁護団)
笹倉拓人弁護士(HPVワクチン薬害大阪弁護団)
笹倉拓人弁護士(HPVワクチン薬害大阪弁護団)

 最後にHPVワクチン薬害訴訟名古屋原告団の澤田副代表と谷口代表から、半日にわたって参加して下さった方々へのお礼のご挨拶と引き続きのご支援をお願い致しました。

HPVワクチン薬害名古屋原告団の澤田勝則副代表(名古屋原告4番父)
HPVワクチン薬害名古屋原告団の澤田勝則副代表(名古屋原告4番父)
谷口鈴加HPVワクチン薬害名古屋原告団代表(名古屋原告1番母)
谷口鈴加HPVワクチン薬害名古屋原告団代表(名古屋原告1番母)

 次回期日は平成30年9月20日午後2時です。是非引き続きこの裁判の傍聴に足をお運び下さい。