名古屋訴訟支援ネットワークが設立されました

 2018年2月25日、名古屋市中区の桜華会館内にて、HPVワクチン名古屋訴訟支援ネットワーク設立総会が開催されました。

呼びかけ人として挨拶する神田沙也加さん
呼びかけ人として挨拶する神田沙也加さん

 会の冒頭、ネットワーク設立の呼びかけ人となって下さった神田沙也加さん(薬剤師)から、開会のあいさつがありました。

 神田さんからは、ご自身も原告の皆さんと同様にHPVワクチンの接種を勧められた世代であり、現在は薬剤師として、接種にあたって事前に説明されることのなかった記憶障害等の副反応に関する情報を正しく知ってもらいたいとの思いから、呼びかけ人に加わったことを話していただきました。

谷口鈴加名古屋原告団代表からのご挨拶
谷口鈴加名古屋原告団代表からのご挨拶

 名古屋原告団からは、代表の谷口鈴加さん(名古屋原告1番母)より、支援ネットワークの設立のために足を運んで下さったみなさんに、心からのご挨拶を申し上げました。続いて、来場した原告さんとそのご家族からも、接種から現在までの深刻な被害状況を、集まって頂いた皆さんに、自分の言葉で切々と説明しました。

深刻な被害状況を説明する原告母(右)
深刻な被害状況を説明する原告母(右)

 いずれの被害者も、副反応症状による苦痛にまさに直面しているだけではなく、自らの将来への強い不安にも苛まれ続けています。今回、名古屋でもこうした形で支援ネットワークが立ち上がったことが、こうした被害に苦しむみなさんのとても大きな心の支えになっていることを、発言の端々から感じることができました。

 名古屋弁護団からは、堀弁護士より、HPVワクチン薬害問題の概要と名古屋訴訟のこれまでの歩みを説明しました。

 この裁判では、単に賠償金を得ることではなく、国とGSK・MSDの法的責任を明確にすることによって、治療法の開発や受診体制の整備といった真の被害回復を実現するとともに、同種の薬害の再発を防止しうる社会の仕組みを作り上げることを目指していますので、こうした目的を達成するためにも、この裁判に対する支援の輪を、法廷の外に向けて確実に拡げていきたいと願っていることを伝えました。

総会議事を進行する加藤考一さん
総会議事を進行する加藤考一さん

 本日の設立総会では、呼びかけ人である加藤考一さん(薬剤師)の進行により、規約と役員案が全会一致で承認され、長南謙一さん(鈴鹿医療科学大学准教授)が代表世話人に就任し、名古屋訴訟支援ネットワークが正式に発足しました。

代表に就任した長南謙一さんからの行動提起
代表に就任した長南謙一さんからの行動提起

 長南代表世話人からは、自身が支援者として関与した薬害エイズ訴訟での経験を踏まえ、原告団・弁護団・支援者の三者が団結してこの訴訟を闘っていく必要があることを説明し、来場された皆さんに対して、次の6項目の行動を提起をしました。

・裁判傍聴に参加する。
・被害者を支える。
・被害者の訴えを聞く学習会を開催する。
・HPVワクチン薬害について学習する。
・学んだことを知人に伝える。
・薬害をなくす仲間を増やす。

栗原敦さんからの応援メッセージ
栗原敦さんからの応援メッセージ

 京都から応援に駆けつけて下さった栗原敦さん(全国薬害被害者団体連絡協議会)からは、残念ながら日本では、過去に経験した薬害事件の教訓が風化しては再度被害が起きるということが繰り返されており、国や製薬企業が被害者に寄り添おうとしない中で、HPVワクチン薬害については、その被害実態に理解を示す医師や薬剤師が現れるようになったことは大変心強く感じているとのお話があり、薬被連活動の経験からも、被害者自身が立ち上がって自立して活動していくことが大切であるという熱いメッセージをいただきました。

 本日の設立総会には、HPVワクチン薬害訴訟を支える会・北海道からも、連帯のメッセージを届けて頂きましたので、弁護団が代読する形で、北からの熱い思いを会場に届けることができました。

大阪訴訟の状況を説明する児玉大阪原告団代表
大阪訴訟の状況を説明する児玉大阪原告団代表

 本日は大阪原告団の児玉代表も来場し、2月20日の大阪期日には関西大学や立命館大学の学生さん、民医連のみなさんを含む大勢の方が傍聴のために大阪地裁に駆けつけて下さったことを紹介しました。児玉代表からは、全国4地裁で訴訟を闘う原告が皆で力を合わせて活動していきたいとの決意の言葉を、支援者の皆さんに伝えました。

答礼の挨拶を述べる澤田副代表
答礼の挨拶を述べる澤田副代表

 こうした応援のメッセージをいただいたことについて、名古屋原告団の澤田副代表(名古屋原告4番父)より、答礼のお挨拶と、これからの活動に向けた決意を伝えました。

 最後に、名古屋訴訟支援ネットワークの世話人に就任した金田和子さん(薬害肝炎全国原告団名古屋支部代表)から、閉会の挨拶がありました。

 金田さんからは、薬害肝炎訴訟において多くの方からの支援を受けた経験を踏まえ、今度はそれをお返しする立場にあると感じているとのお話があり、原告団・弁護団・支援者が支え合ってこの訴訟を闘っていこうと思うとの、力強い励ましの言葉で、総会を締めくくっていただきました。

 総会終了後は、原告さんとご家族を交えた形で茶話会を開催し、打ち解けた雰囲気の中でお互いの交流を深め合うことが出来ました。

 今回の設立総会では、様々な立場から大勢の方々にご支援をいただいていることをあらためて実感でき、こうした力に支えられながら訴訟を闘っていけることをとても心強く感じました。名古屋弁護団としても、引き続き、確実に支援の輪を拡げていけるよう、法廷の内と外の双方から活動していきたいと思います。

 次回の名古屋訴訟の口頭弁論期日は、3月6日午後2時からです。
 多くの方々に傍聴にお越しいただけることを、心よりお待ちしています。