海外の被害者との国際シンポジウムに参加しました

 2018年3月24日、東京大学浅野キャンパス内において、薬害オンブズパースン会議(Medwatcher Japan)の主催による国際シンポジウム「世界のHPVワクチン被害は今」が開催されました。

 会場は満席となり、多くのメディア関係者も来場するなど、海外の被害の実情に関する社会の関心の高さが強く感じられました。

 当日は、薬害オンブズパースン会議事務局長でもある水口真寿美HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団共同代表が、日本における被害と訴訟の状況について報告を行いました。

 続いて、海外から来日した4人のシンポジストが、各国での被害の重大さや診療態勢の欠如に加えて、国や製薬企業から不当に圧力をかけられている状況を報告しました。

 コロンビアの被害者団体(Rebuilding Hope Association HPV Vaccine Victims)の代表を務めるモニカ・レオン・デル・リオ(Monica Leon Del Rio)さん。

 スペインの被害者団体AAVP(Association of Affected People due to the HPV vaccines in Spain)の代表を務めるアリシア・カピーラ(Alicia Capilla)さん。

 イギリスの被害者団体AHVID(UK Association of HPV Vaccine Injured Daughters)の科学部門を担当するマンディープ・バディアル(Mandeep Badial)さん。

 アイルランドの被害者団体REGRET(Reactions and Effects of Gardasil Resulting in Extreme Trauma)の広報を担当するアンナ・キャノンさん。

 来日した4人のみなさんは、いずれも被害者の母親として、それぞれの国において、被害者運動の中心的な役割を果たしてきた方々です。また、弁護士でもあるコロンビアのモニカさんは、コロンビア国内でHPVワクチン薬害についてのクラスアクションを提起しています。

 いずれの報告者からも、このワクチンを接種した後に生じる副反応は、時間の経過を追って様々な症状が重層化していくという特徴を持っており、それぞれの国内で患者を多く診察する専門医らが、自己免疫性の疾患として病態を捉えながらその解明を進めようとしていること、そして、HPVワクチンを推進する立場の人々から「反ワクチン団体」であるかのようなレッテル貼りをされ、不当な非難や中傷にさらされていることが、共通して説明されました。

 各国からの報告を通じて、HPVワクチン被害は日本だけで起きている問題ではないこと、そして各国の被害者が、日本と同様に、医療から放置されているだけではなく、激しい攻撃に耐えながら戦い続けていることを、あらためて良く理解することができました。

 後半のパネルディスカッションでは、HPVワクチン薬害全国原告団の代表を務める酒井七海さんが、被害者本人として、このワクチンを接種してから現在までの間、さまざまな症状に苦しめられてきたことを報告しました。

 この日のパネルディスカッションを通じて、同じ症状に苦しむ被害者が国境を越えて交流し、ともに支え合ってこの問題に取り組んで行く必要があることを、このシンポジウムに参加した5カ国の関係者の共通認識とすることができました。

 満開を迎えつつある桜並木に見守られて開催された今回のシンポジウムによって、HPVワクチンの被害者は、国際的な連帯を拡大していくための新たな一歩を踏み出すことができました。

 弁護団としても、こうした連帯をさらに深めるための努力を継続していきたいと思います。