2017年10月31日午後2時より、名古屋地方裁判所において、HPVワクチン薬害名古屋訴訟第4回口頭弁論が開かれました。
台風一過の秋晴れの空の下、午後1時より裁判所西側にて期日前集会を行いました。
10月21日に開催された全日本民主医療機関連合会(民医連)東海北陸地協主催の第5回初任薬剤師研修に参加された薬剤師のみなさんも、原告さんへの応援のメッセージを書いた横断幕を持って、傍聴に駆けつけて下さいました。
いただいた横断幕の中央に書かれた花はリンドウです。その花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」「正義」「誠実」です。心のこもった温かいメッセージに、とても励まされました。
本日の法廷では、まず原告5番さんが、被害者としての意見陳述を行いました。
高校1年のときにサーバリックスの2回目の接種を受けた後から体に変調を来すようになり、高校2年生で3回目の接種を受けた後は、足の不随意運動や全身の硬直といった症状で病院に運び込まれたこと。
その後も断続的に現れる全身硬直の症状や関節の痛みに悩まされるようになったこと。
そのために東京の美術大学に進学してデザイナーになりたいという中学のころからの夢を断念せざるを得なかったこと。
5番さんは、自身が経験してきた被害の実情を、はっきりした言葉で、裁判官に向かって説明しました。
「もしも時間を戻せるなら、ワクチンを打つ前に戻りたいです。以前の私のように、痛みや吐き気の無い自分に1日も早く戻り、普通の生活を送りたいです。」
5番さんは、とてもささやかな、そしてとても切実な願いを述べて、意見陳述を終えました。
弁護団からは、伊藤麻衣子弁護士が、HPVワクチン接種と症状との因果関係について述べた準備書面の骨子を説明しました。
原告が苦しんでいる副反応症状には一人の患者に、運動系・感覚系・自律神経内分泌系・認知情動系などの様々な系統にまたがる多様な症状が複数重なって現れ、緩解と増悪を繰り返すという共通の特徴があること。
これらの患者に症状が出現したのが、本件各ワクチン接種後であるという点でも、共通していること。
デンマークをはじめとする海外においても、本件副反応症状と共通する症例が報告されていること。
接種と本件副反応症状との間に生物学的関連性が認められること(例えば、HPVワクチン接種後に中枢神経系関連症状を示した多くの患者の髄液に認められた免疫学的な変化は、患者の中枢神経系に関連する症状を説明しうるものであると報告されていること)。
他方でHPVワクチン接種以外の原因は具体的に指摘されていないこと(「心身の反応」であるという説では、学習障害・記憶障害・見当識障害などを説明することはできず、SPECTや髄液中の免疫マーカーの異常などの他覚的所見も説明できないこと)。
祖父江班調査や名古屋市調査の結果では、月経異常、羞明、記憶力低下、不随意運動、歩行障害、脱力、握力の低下といった本件副反応被害に特徴的に見られる症状の発現は、非接種群よりもワクチン接種群の方が多くなっていること。
このように積み上げられた間接事実の数々によって、個別の原告さんに現れた症状とHPVワクチン接種との間には、法的な因果関係が優に認められるということを、わかりやすく解説しました。
期日終了後は、裁判所向かい側の桜華会館において、記者会見と報告集会を行いました。原告5番さんも、各社の記者の方々の前に座って、自分の言葉で、今日の法廷の感想を説明し、集まった支援者の皆さんに、これからも頑張っていきましょうと呼びかけました。
続いて、12番さん本人と15番さんの母からも、来場した支援者の皆さんに対して、被害の実情の説明と支援の呼びかけを行いました。
東京訴訟では10月21日に支援ネットワークが立ち上がりましたが、名古屋訴訟でも、期日を重ねる毎に、いろいろな立場の方々から、支援をいただけるようになってきました。
こうした社会からの支援の輪の広がりを大切にしながら、引き続きこの訴訟を闘って行きたいと思います。
次回期日は12月21日午後2時開廷です。
引き続き大勢の方に傍聴にお越しいただけることを願っています。