2017年3月22日午後、九州訴訟の第3回口頭弁論期日が開かれました。
福岡はうららかな春の陽射し、残念ながらまだ桜は開花せずですが、ぽかぽか陽気の中、今日も沢山の支援の方が駆けつけての門前集会となりました。
カネミ油症原告でもある福岡医療団労組の方、薬害肝炎の原告、薬害エイズの原告、昨日卒業式を迎えたばかりの学生、薬害オンブズパースンタイアップ福岡代表…、さまざまな方がマイクを握り、応援のスピーチを行いました。
中でも圧巻だったのは、薬害スモンの原告草場佳枝さんのスピーチです。
「厚労省に交渉に行った時、沢山の車椅子に乗ったり杖をついた少女達とお母さん達を見ました。いったい何? 私はこの問題のことを知らなかった。今日ここに来て『これは何?』と思いました。私は、かつて、友だちの結婚式に出るのにニキビがあるのが恥ずかしくて、受診した医療機関でキノホルムを投与されました。たったそのために服用したキノホルムで私の人生は滅茶苦茶にされました。被害を訴えてたたかい、国に薬事二法をつくらせました。その法律で国は二度と薬害を起こさないと誓ったのに、そのあとも次々に薬害が起きています!」
「皆さんが、恐れずに恥ずかしがらずに、自分の苦しみを、被害を訴えていくことこそが大事です。私も最初に話した時は、話し終えた後、その場に崩れ落ちました。勇気を持って、皆さんが話した内容を、聞いた人が周りの人に伝えることによって、大きな力になります!」
まさに「被害を語る」ことを実践してこられた草場さんの力強いことば、きっと原告とご家族の心に火を点したのではないかと思います。
さて、本日の口頭弁論では、私たちが提出した「本件各ワクチンには有用性がない」という準備書面の内容について、馬場彩弁護士が意見陳述を行いました。手もとにパワーポイントのハンドアウトを配っての、分かりやすい意見陳述でした。
しかし、本日のメインはやはり原告の意見陳述です。今日は、原告番号7番さんのお母さんが、娘さんに代わって証言台に立ちました。裁判長からは腰掛けてという促しがありましたが、敢えて立ったまま、意見陳述されました。
はじめは淡々と、けれど次第に熱を帯びて、時に涙ぐみながら、中学生の時に受けたワクチン接種の副反応により、希望の高校への進学を断念しなければならなかったこと、ようやく入学できた高校でさえ、通うことができず、中退せざるを得なかったこと、多様な症状に苦しむ娘さんを前に、どんなに日々辛い思いをしているかを切々と訴えられました。
報告集会でのお話によれば、読み上げはじめてすぐに、被告代理人席から発せられる冷たい空気が嫌と言うほど感じられ、訴えが届いていかないもどかしさに、しだいに怒りが募ったとのこと。
「娘は現在19歳です。既に10代の輝かしい、かけがえのない日々はワクチンの副反応によって奪われてしまいました」
「製薬会社は、HPVワクチンの安全性が確立されていると繰り返し言っています。しかし、被害に苦しむ娘の前でよく安全性が確立されているなんて言えるなと呆れるとともに、怒りがわき上がって仕方ありません」
お母さんは、声に力を込めて、こう叫びました。
「ふざけるな、というのが正直な思いです」
法廷が震撼するかのように感じた瞬間でした。
期日後、別室で進行協議が行われ、並行して報告集会も開かれました。
報告集会とそれに続く懇親会にも沢山の支援者に参加していただきました。
まさに、草場さんがおっしゃったように、被害者である原告自身が、自分の被害について語り、訴える、そのことばが支援者を通して、たくさんの人の心に響く、その連鎖を大きくひろげていきたいと思いました。
支援の中でも今日はたくさんの学生さんがかけつけてくれたことはとりわけうれしいことでした。原告達と同年代の彼ら、原告達の苦しみは、実は自分が受けてもおかしくなかったのだという大きな共感は、きっとこの訴訟にとって力強い味方になるはずです。
次回は、6月14日。
ぜひ、次回も、たくさんの支援のみなさんが傍聴席を埋め尽くしていただけますようにお願いします。
弁護団は、抽選に外れたみなさんのための裏企画も用意していますので、どうぞ沢山おいでください。